■2006年6月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
Bt綿で1600頭の羊が死亡

 インド・アンドラプラデーシュ州ワカンガルの、殺虫性(Bt)綿を収穫したあとの畑で、草や葉を食べた羊が死亡するケースが相次いだ。
 「持続可能な農業のためのセンター」に所属する人たちがつくった研究チームが調査したところ、イパクダム村の羊の死亡率は2601頭中651頭で25.03%、バレル村の羊の死亡率は2168頭中549頭で25.32%に達し、全体で約1600 頭が死亡したことがわかった。羊飼いの証言によると、主な症状は次のようである。
 @Bt綿を食べた2〜3日後に元気をなくす。
 A鼻水や咳が出る。
 B口が赤く腫れ侵食性の傷害が出る。
 C黒っぽい下痢状の糞。
 D尿が赤くなる。
 E5〜7日で死亡。研究チームは、政府に対して徹底した調査を求めている。
〔GM Watch 2006/4/30〕

未承認GMトウモロコシ「Bt10」の混入容認へ

 昨年5月の名古屋港を皮切りに、荷揚げされたトウモロコシに相次いで未承認GMトウモロコシ「Bt10」が検出され、積み戻し措置がとられた。このトウモロコシは、スイス・シンジェンタ社が開発した除草剤耐性と殺虫性を合わせ持つもので、米国を含め承認した国はない。混入要因は、同社が誤って種子を販売し、2001年から2004年にかけて米国で作付け・収穫され、飼料用トウモロコシに混ざって輸出されたため。
 農水省は、「Bt10」の安全性と混入の許容基準等を食品安全委員会に諮問し、遺伝子組み換え食品等専門調査会で審議されてきた。調査会は4月20日、委員会に評価書を提出、飼料を用いた家畜製品の安全性については判断を下せないとしたものの、これまでの混入率0%を改め1%までの混入を許容する答申を出した。「Bt10」が混入するGMトウモロコシの輸入に道を開くことが確実となった。

花粉症緩和イネの田植え行われる

 4月17日、つくば市にある農業生物資源研究所の圃場で、市民団体の反対の声のなか、8アールの水田にスギ花粉症緩和イネの田植えが行われた。昨年は300sの収穫があったが、動物実験を強化するため今年は二期作で500sを収穫する予定である。このGMイネには、スギ花粉症を引き起こすアレルゲンのエピトープと呼ばれる部分を7 つつないだ遺伝子を導入している。現在、カニクイザルを用いて安全性評価の試験が行われているが、カニクイザルはコメを食べないため、おにぎりの形で口に押し込んで実験を行っている。イネは7月には収穫され、8月に2度目の田植えが行われる予定である。

Bt毒素で皮膚障害

 ニュージーランドの市民団体がまとめた報告書によると、最近のいくつかの研究からBt毒素が免疫システムに影響を及ぼす可能性があることがわかった。殺虫性のトウモロコシの花粉が付近の住民にアレルギー性疾患をもたらすとする研究や、Bt綿を運ぶ労働者の皮膚が黒く変色したり、吹き出物や水膨れが生じる例があったという。 〔GE free NZ 2006/5/1〕
●遺伝子組み換え食品
豆腐・納豆の原産地表示義務化へ

 4月24日、農水省の検討会は、豆腐・納豆の原料である大豆の原産地表示に関する指針をまとめた。承認されれば、輸入大豆は国名を明記しなければならず、国産大豆と明記できるのは国産大豆を100%使用したものに限定されることになる。国産大豆に関しては地名での記載もできる。これによってGM大豆の混入が進んでいる米国産大豆使用の製品が明確になる。今回の指針の象は豆腐と納豆のみで、醤油や味噌は対象から外されている。 〔日本農業新聞 2006/4/25〕
●NGO
4・8国際GMOデー世界同時行動

 4月8日、国際反GMOデーのこの日、世界34カ国258カ所でさまざまなイベントが行われた。翌9日から12日にかけて米シカゴで開かれる、栽培10年目を迎えて大々的に取り組まれた、バイオ企業によるイベント「Bio2006」に対抗して市民団体が呼びかけたもので、シカゴではGM汚染の被害者でありながらモンサント社に訴えられた農家、パーシー・シュマイザーを招いて「BioETHICS2006」が催された。
●企業動向
デュポンとシンジェンタが提携

 4月10日、米デュポン社とスイス・シンジェンタ社がGM作物の種子販売で提携し、合弁企業を設立すると発表した。モンサント社やバイエル・クロップサイエンス社に対抗するためと思われる。 〔日本農業新聞 2006/4/12〕
●南米事情
アルゼンチンのGM大豆栽培さらに拡大

 アルゼンチンの農業局によると、2005−2006年の大豆生産は、最高を記録した前年度を上回り、過去最高の4000万トンに達する見込みである。作付け面積も前年より5.6%増えて1520万ヘクタールに達している。栽培されている大豆の大半は、モンサント社の除草剤耐性大豆である。栽培面積拡大にともなって、熱帯雨林の伐採が進んだと見られる。 〔アメリカ大豆協会週報 2006年4月24日〕
●アジア事情
モンサント社がインドで警告受ける

 インド政府の調査委員会は、モンサント社のインド法人マヒコ・モンサント・バイオテク社に対して、Bt綿の種子独占にかんする警告を発した。これは同社がBt綿の種子を独占し、高額の特許料を取っていることが、独占禁止法に違反する可能性があるというもの。同調査委員会は、インドの農民が高額の種子代に苦しめられている、という全インド農民協会からの訴えを受けて設立されたものである。 〔Busines Line 2006/4/15〕