■2006年11月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
広がる未承認GM米ヨーロッパ違法流通

 未承認作物LLライス601流通問題は、欧州で波紋を広げている。9月11日、EUは検査を行った162検体の米のうち33検体からLLライス601が検出されたと発表、EFSA(欧州食品安全庁)は9月15日、安全性に問題はないとコメントした。その後、スウェーデン、フランス、スイスに加え、ノルウェーでも国の独自の検査で混入を確認した。米国内も含め、予想以上に広がった違法流通は、GM作物の管理の難しさを改めて示したといえる。〔AFP 2006/9/28他〕

違法米流通が米国ライス・ベルトを直撃

 未承認作物LLライス601の流通が、米国ではカリフォルニア州のライス・ベルトに影響を及ぼしつつある。同州の米作農家は、ガソリン代の高騰によって経費が膨らむなか、違法流通によって日本やEUが米の輸入を一部停止したり、検査を強化したため、13%も価格が下落し、経済的に大きなダメージを受けている。この影響は当分つづきそうである。 〔Associated Press 2006/10/11〕

中東でも米製品からLLライス601検出

 グリーンピースは10月10日、インドのニューデリー市で開催される世界米会議(International Rice Congress,IRC)に合わせて同市で記者会見を行い、米国から中東に輸出された米製品からLLライス601が検出されたと発表した。中東は、米国にとって一大米輸出市場である。同会議は、モンサント社やバイエル・クロップサイエンス社などが援助して開かれており、この発表が大きく影響すると見られる。 〔GM Watch 2006/10/10〕

ブラジルでGM綿の違法栽培拡大

 ブラジルでは未承認のGM綿の栽培が拡大している。この事態に対して、同国のバイオセーフティ機関が種子の廃棄とGM綿製品の販売停止を命じているが、従う気配はない。ブラジル政府が栽培を承認しているGM綿は、モンサント社の殺虫性綿のみだが、栽培が拡大しているのは除草剤耐性綿で、この違法栽培が10万haにおよぶと政府は推定している。 〔Cattle Network 2006/9/15〕

米国のGM作物作付け割合増える

 米農務省の集計によると、今年のGM作物の作付け割合が、大豆は89%に、トウモロコシは61%に達し、いずれも増加したことが明らかになった。2003年の作付け割合から比較すると、トウモロコシは40%が61%に、大豆は81%が89%になった。しかし、大豆はこの4年間80%台で推移しており、もはや限界に達したようにも見える。〔NIKKEI NET 2006/9/19〕

米国におけるスーパー雑草対策

 8月10日、静岡県の共同購入会れんげ畑が、島田市にあるシンジェンタ・ジャパンの圃場を見学した。その際に提出した質問の回答が、8月30日付で寄せられ、米国の農業現場で指導されている、除草剤に耐性をもつスーパー雑草への対策が明らかになった。  @同じ除草剤を使いつづけない。A同じ種類の雑草に効果のある複数の除草剤を組み合わせる。B輪作を行う。C抵抗性雑草の有無を調べる。D種子をつける前に雑草を防除する。E農機具の洗浄。これをまともに実行すれば、除草剤耐性作物の売り物である省力化・コストダウン効果が失われるだけでなく、GM作物そのものの存在意義が問われる。スーパー雑草がGM作物普及への大きな障害となりつつある実態が示されたといえる。