■2006年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●メキシコでGM作物栽培規制開始

 10月18日、メキシコ政府はGM作物に関する規制を行うと発表した。GMトウモロコシによって原生種が汚染され、生物多様性が損なわれるのを防ぐのが目的である。これまで政府は、原生種の完全な分布図をつくっておらず、保護策も講じてこなかったため、遅ればせながら対策に乗り出したといえる。  これによってメキシコでは、GM作物の栽培が規制されることになる。しかし環境保護団体は、国内栽培は規制されるものの、米国からの輸入はそのままであり、米国産トウモロコシが種子として用いられGM汚染が広がる危険性は残されたままだ、と述べている。〔IPS 2006/10/28〕

●米国の食料戦略、アフリカなどに照準

 マイク・ジョハンズ米農務長官は、最近の演説の中で、米国の食料戦略のターゲットを、インド、イラク、アフリカにおくと述べた。なかでもアフリカに強い関心を示し、GM作物に関する会議をアフリカで開催し、政策決定者へのアピール、科学者の訓練を進めていく、と述べた。 〔GM Watch 2006/11/2〕

●ブッシュ政権からモンサント人脈消える

 11月8日、米国でブッシュ政権を支えてきた有力閣僚の一人、ドナルド・ラムズフェルド国防長官が更迭され、現政権からモンサント人脈が消えた。再選前にはアッシュクロフト司法長官、アン・ベネマン農務長官、ラムズフェルド国防長官の3人の閣僚がいたが、再選後に2人消え、そして最後の1人も消えた。同氏が社長を務めていたサール・ファーマシューティカルズ社は、モンサントが保有する企業の1つで、同社をモンサント社に身売りしたことで同氏は1200万ドルを得たとされている。〔GM Watch 2006/11/8〕
●欧州事情
●ECがオーストリアのGM規制措置撤廃を再度求める

 10月9日、EC(欧州委員会)は、EU(欧州連合)が承認しているにもかかわらず、GMトウモロコシ「MON810」と「T25」を規制しているオーストリアに対して、規制措置の撤廃を求める提案を行った。この件に関しては、2004年11月にもECは規制措置の撤廃を求める提案をしたが、EU法制委員会で可決されず、EU閣僚理事会でも否決された。今回の再提案がどうなるか微妙な情勢だが、もし閣僚理事会で可決されれば、同国はその決定に従うことが求められる。ECはまた、オーストリアを含め複数の国がとっている他のGM作物の規制策についても、同様の提案を予定している。 〔ALIC/WEEKLY 2004/10/11〕

●EU加盟目前のルーマニア、いまだGMO対応せず

 EU加盟を前に、ルーマニアはGM作物に関わる農業政策の見直しを迫られている。ヨーロッパで唯一モンサント社のGM大豆作付国である。昨年のGM大豆栽培面積は13万haに達する、ヨーロッパで最大のGM作物作付け国である。  同国は来年にEU加盟を控えているが、EUのトレーサビリティと表示規則に従ったGMOに関する国内規制を行っていない。そのため、GM作物が食品として流通したり、慣行農業や有機農業への影響が出る可能性があり、現在のままではヨーロッパの農産物市場から締め出されることが考えられる。 〔GM Watch 2006/10/18〕
●アジア事情
●グリーンピースがGM汚染でタイ政府を提訴

 10月25日、環境保護団体グリーンピースは、タイ農業・協同組合省の農業試験場からパパイヤの種子が流失し、環境汚染をもたらしたとして、同省農業局を行政裁判所に訴えた。その中でグリーンピースは、GM作物の野外試験を中止することと、GM汚染を引き起こした役人の処罰を求めている。 〔グリーンピース・タイ 2006/10/26〕

●インド最高裁、GMマスタードの野外試験を承認

 9月22日にGM作物の試験栽培をしないよう求める判決を下したインド最高裁は、10月13日、デリー大学が申請していたGMマスタードの野外試験を例外的に認めた。今回、試験を例外的に認めた理由は、このGM作物が環境中に広がっても自生や交雑を難しくする技術が用いられていると判断したためである。 〔GM Watch 2006/11/9〕

●インドで試験栽培中のGMイネ抜かれる

 11月10日、インド南部タミールナドゥ州の村で、タミールナドゥ農民組合と同州環境保護団体が共同で、試験栽培中のGMイネを引っこ抜いた。このイネは、モンサント・マヒコ社が開発したBtイネで、同地で20エーカーの土地を借りて栽培していた。農民組合と環境保護団体の代表は、同社がGMイネと明らかにしないまま栽培していたと述べた。また同州でモンサント・マヒコ社がBt 綿の栽培を拡大した結果、多数の健康被害と自殺者をもたらしたと批判した。 〔Telugu Portal 2006/11/11〕
●オセアニア事情
●北オーストラリアで反GM綿キャンペーン開始

 北オーストラリア環境保護連合は、北オーストラリアへGM綿を導入するのに反対して、連邦政府に働きかけるキャンペーンを開始した。このキャンペーンは、ノーザン・テリトリー州ダーウィン市で開催された「灌漑と排水に関する全豪委員会」に合わせたもので、同委員会ではGM綿が大きな焦点になっていた。〔GM Watch 2006/10/23〕
●アフリカ事情
●ウガンダで非GMビタミンAポテト開発

 ウガンダのナムロンゲ&カバニヨラ研究所は、遺伝子組み換え技術を用いず、従来の交配による品種改良で、ベータカロチンを増やした「ビタミンA増強ポテト」を開発した。栄養失調によるビタミンA欠乏は、失明をもたらす。そこで、シンジェンタ社によってGM米「ゴールデンライス」が開発され、同国への導入も検討されてきたが、まだ栽培されていない。〔Kampala New Vision 2006/11/7〕