■2006年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●インドでゴールデンライス大規模栽培試験へ

 インドでゴールデンライスの大規模な栽培試験が行われる可能性が強まっている。インド農業研究協議会(ICAR)の統括理事長Mangla Raiは、1年以内にゴールデンライスの大規模な栽培試験ができる状態になった、このイネは、インドの在来種を用いたものであり、精米後のベータカロチンの量が9.3μg/g、鉄分の量が14〜18μg/gに達する、と述べた。〔Financial Express 2006/10/13〕
●省庁動向
●農水省の米国産GM米検査結果

 農水省は10月30日、「政府所有の米国産米に対する遺伝子組換え米の混入検査の結果について(最終報)」を発表した。それによると、10月2日に発表した12サンプルに加えて残り151サンプルすべてを検査したが、GM米混入はなかったとしている。加工食品として入ってくるケースや、第三国経由で入ってくるケースに関しては検査の対象外になっている。
●自治体動向
●山形県高畠町がGM作物規制条例案を議会へ

 山形県高畠町は、町内でのGM作物栽培を禁止する規制条例案を12月定例議会に提案する。この条例案は、2004年2月に同町有機農業推進協議会による請願を受けて、3月に採択され、町では策定作業を進めてきた。同町は有機農業を柱としたまちづくりを進めており、地域の特性に基づいた規制を打ち出したといえる。すでに農水省が介入しているようだが、地方自治がどれだけ貫けるかの試金石になりそうである。
●GM技術
●帯広畜産大学が花粉を用いたGM技術開発

 帯広畜産大学の研究チームは、従来の細胞に遺伝子を導入して培養する方法に取って代わる、花粉を用いた遺伝子導入技術を開発した。金属の微粒子に遺伝子を貼り付け花粉に打ち込み、磁石で選抜して受粉させる方法である。研究・開発はトウモロコシで行われたが、さまざまな作物への応用が可能だと、研究者は述べている。〔日本農業新聞 2006/10/18〕
●クローン
●米国でクローン動物食品承認か?

 米FDA(食品医薬品局)が、年内にもクローン動物由来食品を認可することになりそうだ。これは10月16日、同局サンドロフ獣医薬センター長が述べたもので、通常の食品と変わりないというのがその根拠である。しかし、米国の消費者の60%以上が、クローン動物は倫理的に問題があると考えている。また、クローン動物推進の理由の1つに牛乳増産があるが、現在牛乳はだぶついているため、政府が年間50億ドルを費やして余剰乳を買い上げており、とてもクローン動物食品が受け入れられる状況にはない。 〔USA Today 2006/10/23〕
●ES細胞
●ヒトES細胞、理研計画を新たに承認

 10月24日、ヒトES細胞研究の審査を行う文科省の専門委員会が開かれ、理化学研究所神戸研究所の使用計画が新たに承認された。使用計画とは、すでに確立されたES細胞株を用いる研究のことである。理研の計画は、京大再生医科学研究所から提供を受けたヒトES細胞を用いて、網膜細胞をつくり出そうという研究である。
●ヒト胚
●ヒトクローン胚研究、一般からの意見集計公表

 8月末に、文科省の作業部会がまとめた報告書「人クローン胚の研究目的の作成・利用のあり方について――中間取りまとめ」に対するパブリックコメントが締め切られ、10月17日に開かれた第22回会合で集計結果が公表された。提出された意見の総数は25。内訳は、大学関係者10、病院関係者2、市民団体3、民間企業2、宗教法人1、その他7となっている。卵子(未受精卵)の入手方法に配慮を求める慎重論や、「人体が資源化」される懸念からの反対意見もわずかに見られたが、大半は研究推進を求める意見が占めていた。今後、これらの意見を参考にし、作業部会は指針作成の最終的な詰めの議論に入っていく。
●生殖技術
●生殖補助技術のみ胚への遺伝子操作認める方針

 生殖補助技術の向上を目的とし、子宮に戻さない胚ならば遺伝子操作を加えてもよいとする方針が、文科・厚労の合同作業部会で大筋で合意された。現在、胚への遺伝子操作は、人間改造につながるおそれがあるなどの理由から、厚労省の遺伝子治療指針で禁じられている。10月30日に開かれた合同作業部会では、あくまでも遺伝子治療目的では禁止だが、生殖補助技術目的に限り認めるとの方向性が示された。今後、どのような形で指針に盛り込むのか議論していく。