■2007年2月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●EU環境相理事会、オーストリアのGMO禁止政策を支持

 12月18日、EU環境相理事会は、欧州委員会が提案していたオーストリアのGMO禁止措置解除を、圧倒的多数で否決した。オーストリアでは現在、GMトウモロコシ2種類の国内での栽培や流通を禁止する措置をとっている。  欧州委員会は、WTO紛争処理委員会によるEUのGMO規制が貿易協定に違反しているとする判断を受けて、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルクが施行しているGMO禁止措置の解除を求め始めていた。今回の環境相理事会の決定は、欧州委員会のこの取り組みが、最初の段階でつまづいたことを意味する。禁止措置解除を支持したのはEU25カ国中、イギリス、オランダ、チェコ、スウェーデンの4 カ国だった。 〔ロイター 2006/12/18〕

●GMO関連法を整備しないフランスに罰金

 欧州委員会は12月12日、フランスがGM作物・食品に関する法律を整備しないため、近いうちに欧州司法裁判所が3800万ユーロ(約57億円)以上の罰金を課すことになる、と発表した。これまで、欧州委員会はフランスに対して、再三にわたって法整備をするよう警告を発してきたが、無視されてきたため、法律が整備されるまで1日当たり36万6744ユーロ支払うよう欧州司法裁判所に訴えていた。 〔ロイター 2006/12/13〕

●ルーマニアがGM大豆栽培禁止へ

 12月9日、ルーマニアの自然保護団体は、同国がGM大豆の栽培を禁止することになったと述べた。ルーマニアは、ブルガリアとともに2007年1月1日からEUに加盟した。それにともない、これまで野放しだったGM作物の栽培や流通に関する規制が必要になったことに加えて、このままGM大豆を栽培すればヨーロッパの農産物市場から締め出される可能性も出てきたため、今回の禁止措置となった。同国はヨーロッパで唯一のGM大豆栽培国だったが、豊かな生態系のドナウ・デルタ地域でも栽培されていたことから、生物多様性への影響が懸念されていた。またGMプラムの試験栽培も行われていたが、それも中止された。 〔Inter Press Service 2006/12/19〕
●南米事情
●ブラジル州政府がシンジェンタ社の圃場を収用

 11月9日、ロベルト・レクイアーノ、ブラジル・パラナ州知事は、シンジェンタ社が所有する試験圃場の収用に同意し、署名した。同社が違法にも12haにGM大豆を作付けしたことに対する処分として執行される。世界的に見て、行政がアグリビジネス企業の土地を収用した初めてのケースである。 〔GM Watch 2006/12/8〕

●メキシコ農民が種子を守るキャンペーン開始

 12月15日、メキシコの19の州の農民が、メキシコに古くから伝わるトウモロコシと大豆の種子をGM品種から守るキャンペーンを立ち上げた。メキシコ農民組合(ANEC)によると、キャンペーンでは、放棄されたり、本来の目的とは異なった使われ方をしている土地を回復させること、自分たちの工場や流通ルートを確立すること、さらに、食料主権確立を目的に法律を改正したり制定させるために政府や議会への働きかけなどを行っていく、としている。 〔Latin American news Agency 2006/12/15〕
●コーデックス
●未承認GMO微量混入のコーデックス作業部会、3月米国で開催

 昨年11月27日から12月1日にかけて開かれたコーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会で、米国から突然出された動議によって設置された、遺伝子組み換え食品が微量に混入した食品の安全性評価に関する作業部会が、3月13日から3日間の予定で、米国ワシントンDCで開催されることになった。未承認GM作物混入を繰り返してきたバイテク企業を救済することになるか否か、提案の内容と議論の行方が注目される。
●BSE
●キリンビールがGM技術でBSE耐性牛を開発

 キリンビールと同社の米国の子会社ヘマテック社の研究者らは、BSEの原因である異常プリオンの増殖に不可欠な遺伝子の働きを止めたGM牛を開発し、『ネイチャー・バイオテクノロジー』誌に発表した。BSEは、異常プリオンが増殖、感染して引き起こされるため、これによって理論的にはBSEの感染を防ぐことができる。しかし、正常なプリオンは神経の活動に大切な役割を果たしており、それに対する影響は未知数である。また、プリオンの感染のメカニズム自体解明されておらず、本当に感染を防ぐことができるか否かもわからない。今後、感染実験が行われる。また、このGM牛は、食品ではなく、医薬品用に用いることになっている。 〔ロイター 2007/1/3〕
●クローン
●韓国バイオ企業で細胞移植用クローン豚が誕生

 12月28日、韓国MGEN研究所(朴光旭所長)で、人間の免疫にかかわる遺伝子を導入して拒絶反応を起き難くさせた豚から、10頭のクローン豚を誕生させた。この豚からすい臓内のインシュリン分泌細胞を取り出し、糖尿病患者に移植して治療に用いるのが目的。まずはサルで実験し、その後人体実験に進む予定。現在、動物の臓器や組織の人間への移植は、人畜共通感染症の拡大などが問題となって行き詰まっている。 〔朝鮮日報 2007/1/3〕