■2007年3月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●自治体動向
●北海道のコンセンサス会議終わる

 2月4日、北海道主催、北海道大学対話プロジェクト協力による、4回にわたって開かれた遺伝子組み換え作物コンセンサス会議が終了し、公募された道民委員によって提言がまとめられた。会議は、北海道が制定したGM作物栽培規制条例を受けたもので、自治体としては初の試みである。今後、提言が道に報告され、第3回北海道食の安全・安心委員会にかけられ、道の政策に反映される予定である。
●遺伝子組み換え食品
●GM食品表示95%が誤解

 調査会社インフォプラントが女性1000人を対象に行った調査で、GM食品表示が理解されていない現状が浮き彫りとなった。調査によると、「不使用」表示でもGM作物が5%まで混入していてもよいことを知らなかった人が95%に達したという。〔フジサンケイ・ビジネスアイ 2007/1/29〕
●省庁動向
●日本学術会議で生殖補助技術の検討始まる

 諏訪マタニティークリニックの代理出産、大谷産婦人科の受精卵診断など生殖補助技術の濫用が次々と明らかになる中、日本学術会議が「生殖補助医療の在り方検討委員会」を設置し、法制化を視野に入れた議論を始めた。1月17日に初会合が開かれ、2008年1月末までには一定の方向性が示される。代理出産を容認するか否かを中心に、昨今の生殖補助技術をめぐる諸問題について審議が行われる予定だ。

●文科省、オーダーメイド医療部会の設置決定

 1月24日に開かれた文科省のライフサイエンス委員会において、「オーダーメイド医療実現化の推進研究戦略部会」を新たに設置することが決まった。2003年4月にスタートした文科省のオーダーメイド医療実現化プロジェクトは、5年計画で30万人からDNAサンプルと診療情報を収集し、東京大学医科学研究所にバイオバンクを作ろうという壮大な計画。2008年3月の終了に向け、試料収集こそ順調に進んでいるものの(2006年12月末で238,985)、バンクから研究機関への試料配付はわずか7件(2007年2月8日現在)と伸び悩んでいるのが現状だ。そこで、集めた試料をどう有効利用していくかを検討するために、この度、戦略部会を立ち上げようというのである。集めるだけ集めておいて後から使い道を考える文科省のやり方は、まさに本末転倒といっていいだろう。

●厚労省、「イレッサ」の有効性認めず

 2月1日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会安全対策調査会は、抗がん剤「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)の輸入販売元・アストラゼネカ社による日本人患者約500人を対象にした臨床試験の結果─従来の抗がん剤「ドセタキセル」と比べて同等以上に生存期間を延ばすとは言えなかった─報告を受け、「肺がん患者の2度目、3度目の抗がん剤治療で、一般的にドセタキセルと比べイレッサを積極的に選択する根拠はない」との見解を発表した。
 イレッサは2001年に肺がんの治療に効果があるとの発表が相次いで、翌2002年7月には医薬品として国の承認を受け保険適用されたが、副作用による間質性肺炎での死亡例が多数報告され、10月には厚労省が緊急安全情報を発表。薬害訴訟が現在も継続している。2004年12月には米FDAがイレッサに延命効果がない旨の声明を発表。ヨーロッパ各国で申請が取り下げられた。しかし日本では厚労省検討会が使用継続を決定。東洋人には効果があるとの見方をする研究者もいる一方、2005年には東大医科学研究所教授・中村祐輔らが、がん細胞増殖などにかかわる12の遺伝子を調べてイレッサの効果を投与前に見分ける方法を開発したと発表。「患者一人一人に合わせて治療法を選ぶことができれば、薬の効果を最大限に生かせる」と述べていた。しかし今回の厚労省発表で、オーダーメイド医療へとつながる「夢の新薬」の可能性が一つ潰えた。2006年9月で副作用被害1708例、うち死亡676人。 〔毎日新聞2007/2/2 ほか〕
●北米事情
●ハワイでGMパパイヤが拡大、タロイモのGM研究は禁止へ

 米国農務省が最近発表した統計を見直したところ、GM品種が多数を占めるハワイ州でのパパイヤの種子販売高が7040万ドルに達し、パイナップル(7930万ドル)に次ぐことがわかった。なお3位は砂糖きびの5830万ドルである。 〔Pucific Buisiness News 2007/1/29〕  他方、同州の伝統的作物であるタロイモについては、遺伝子組み換え研究・開発を禁止する動きが強まっている。2月5日、タロイモの遺伝子組み換え研究・開発を禁止する法案958が乗員委員会を通過した。 〔The Honolulu Advertiser 2007/2/6〕

●メキシコでコーンミール企業訴えられる

 環境保護団体グリーンピースはメキシコで、市場にGMトウモロコシを持ち込んだとして、コーンミール企業2社(Maseca、Minsa) を訴えた。記者会見でグリーンピース・メキシコのAreli Carreonは、トウモロコシの検査をしたところGMトウモロコシが使われたトルティーヤを確認し たため、訴えに踏みきったと述べた。〔Prensa Latina 2007/1/31〕

●GMテンサイの栽培始まる?

 米国パン協会(American Bakers Association) の副代表リー・サンダースは、米国の砂糖業界が除草剤耐性テンサイの栽培準備を整えた、と述べた。さらに、小麦も砂糖もパンに使われることには変わりがないのに、GM小麦で起きた広範な生産者・消費者の拒否の動きとは好対照 をなす、と指摘した。 〔Capital Press 2007/2/9〕

●米の州議会がGMアルファルファ規制案を否決

 2月6日、米国サウスダコタ州議会は、GMアルファルファを規制する法案を否決した。この法案は、同州で除草剤耐性アルファルファの栽培や流通を禁止するもので、非組み換えアルアフルファとの交雑や混入を防止することを目的に提案されていた。 〔Rapid City Journal 2007/2/7〕