■2007年4月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●中国のGMイネ、再び承認ならず

 中国では毎年11月に、GM食品安全性国家委員会によってGM作物の商業栽培許認可の審査が行われている。昨年11月に開かれた委員会の結果はしばらくわからなかったが、このほど、再びGMイネの承認が見送られたことが明らかになった。  国家農業生物工学安全委員会のメンバーであるLu Bao Rongは、安全性評価のデータが欠けていたため、と述べているものの、この間のBt イネの違法流通により、中国産米やコメ加工製品の輸出に影響が出たことが大きな要因と考えられる。 〔Xinhua 2007/2/25〕

●フィリピンの宗教指導者、GMイネ禁止を求め大統領に意見書提出

 フィリピンのカトリック指導者が米国産長粒種米の流通禁止を求める意見書をアロヨ大統領に提出した。意見書を出したのはロザレス枢機卿とマニラ大司教区環境問題責任者のBenito Tuazon神父で、2月9日、13日に相次いで提出された。国民の約85%がカトリック信者といわれる同国で、その影響は少なくないと見られている。 〔Philippine STAR 2007/2/18〕

●アジア13カ国以上でGMイネ反対行動

 日本を含むアジア13カ国以上の農民・市民が、GMイネに反対して「アジア市民コメ行動週間(Week of RICE ACTION)」に取り組むことになった。アジアに昔から伝わるイネの品種を守り、GMイネに反対し、小規模農業を守り、有機農業の推進を図ることを共通の目的にしている。3月29日から始まり、4月4日の最終日にはIRRI (国際イネ研究所)を取り囲む行動を予定している。その日はIRRIの設立記念日に当たる。 〔GM Watch 2007/3/2〕

●インドのバスマティー米生産地がGMOフリーに

 2月23日、インド商業省は、バスマティー米生産地であるパンジャブ州、ハリアナ州、ウッタルアカンド、ウッタルプラデーシュ西部の各地域をGM作物の栽培試験地域からはずすことを決め、遺伝子工学承認委員会(GEAC)に承認を求めた。この決定は、同省が利害関係者を招集して開催した会議で合意されたものである。〔The Financial Express 2007/2/24〕
●欧州事情
●ドイツ消費者の75%がGM食品拒否

 ドイツの消費者問題研究機関GFKが行った最新の消費者対象の調査によると、74.9%がGM食品を拒否すると回答し、受け入れるとした人はわずか6.7%だった。また、GM動物食品やGM飼料を用いた動物の食品を拒否すると回答した人は85.5%に達した。〔GFK network 2007/2/17〕

●ドイツでGMエンドウ・スキャンダル

 ドイツ連邦政府とザクセン・アンハルト州政府が資金を援助し、バイテク企業のノボプラント社が開発を進めているGMエンドウが批判にさらされている。この医薬用エンドウには、開発費として100万ユーロ(約1億5000万円)を超える予算が投じられてきたが、ミュンヘン環境研究所の報告で医学的効果がないことが示されたからである。このGMエンドウは、今年からザクセン・アンハルト州ガテルスレーベンで試験栽培が行われる予定である。 〔GE NET 2007/2/20〕

●ハンガリーのGMトウモロコシ作付禁止継続

 2月20日、EU環境相理事会は、昨年末のオーストリア(2月号参照)につづいて、ハンガリー政府によるGMトウモロコシ「MON810」作付禁止政策の解除を求める欧州委員会提案を、圧倒的多数で否決した。これによってハンガリーのGM作物作付禁止政策は継続されることになった。提案に賛成したのは英国など4カ国で、棄権はルーマニアだけだった。このハンガリー政府への提案否決を受けて、ポーランドの環境大臣Jan Szyszkoは、ポーランドもまたGM作物作付禁止政策を継続する、と述べた。 〔ロイター 2007/2/21 ほか〕
●北米事情
●米農業団体等がGMアルファルファ販売中止を求め提訴

 2月21日、米国カリフォルニア州の農業団体、環境保護団体、食の安全を求める団体などが共同で、除草剤耐性アルファルファの種子の販売中止を求めて、連邦地裁に提訴した。このGMアルファルファをめぐっては、2月13日に連邦地裁が「農務省は環境法に基づく正しい環境影響評価を行っていない」という判断を下したばかりである。 〔Billings Gazette 2007/2/21〕

●米国コメ生産農家が市場調査研究を発表

 米国カリフォルニア州サクラメント・バレーの200を超える農家のグループが、GMイネは試験栽培といえども輸出市場を危険にさらす、という市場調査研究を発表した。その中で、とくに日本、台湾、韓国、トルコといった主要輸出先の拒否反応が強いことを上げている。〔The Sacrament Bee 2007/2/21〕

●米国生産者が独禁法違反でモンサント社を提訴

 2月21日、米国トウモロコシ生産者協会(ACGA)は、モンサント社による除草剤販売は独占禁止法で禁止されている競争妨害に当たり、損害を受けたとして、デラウェア州連邦地裁に訴えた。同生産者協会はGM作物栽培を推進しており、この訴えもGM作物に反対してのものではない。 〔ACGA 2007/2/22〕

●米農務省が医薬用イネの栽培試験を承認

 米国農務省は3月2日、カンザス州における医薬品生産イネの栽培試験を承認した。このベントリア・バイオサイエンス社が開発したGMイネは、ラクトフェリン、リゾチーム、血清アルブミンをつくり出すのを目的としている。宣伝、研究用と来年蒔く種子生産を兼ねて、同州ジャンクション市郊外で、3200エーカーに達する大規模な面積で栽培される。同社はかつて、実験用医薬品生産トウモロコシを一般の農作物に混入させたことがあり、再発が懸念される。 〔憂慮する科学者同盟 2007/3/6〕

●米アーカンソー州がGM汚染イネの栽培を禁止

 米国アーカンソー州の農作物評議会は3 月2 日に緊急会議を開き、BASF社が開発したCL(クリアフィールド)131イネの栽培禁止に合意した。このイネは病気に強く雑草の成長を制御できる非GMイネだが、バイエル社のGMイネ(LL62、LL601)に汚染されていたことがわかり、栽培禁止の処置がとられた。BASF社は現在、全米でCL131の回収を進めており、種子汚染の除去に取り組んでいる。 〔Delta Farm Press 2007/3/6〕