■2007年4月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●オセアニア事情
●ニュージーランド州議会がGMO規制政策堅持を採択

 2月19日、ニュージーランドのオークランド州議会は、GM作物の野外栽培と食品の流通を規制する現在の政策を堅持する方針を採択した。決議には、実験室内で行われる医学目的の開発は含まれない。なお同州議会の地域戦略・計画問題議長のポール・ウォルブランは、まだ不確実なことが多いGM作物について予防原則の方針を貫いたものである、と述べた。〔ARC NewZealand 2007/2/19〕
●南米事情
●ブラジルでGM作物承認促進法可決

 2月28日、ブラジル上院議会は、商取引規制を緩和し、GM作物承認を促進させるとともに、GM綿の種子の取引を合法化する法案を可決した。この法案は、多国籍企業の圧力によって成立が図られてきた。ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領の署名を経て正式に承認されることになる。 〔Market Watch 2007/2/28〕

●ウルグアイがGM作物承認を一時凍結

 1月29日、ウルグアイでGM作物の承認を一時凍結する法案が、大統領の署名をもって発効した。同国ではすでにGM大豆の栽培面積が拡大している。この凍結は、同国におけるGM作物の政策を厳格化していくのが目的と見られている。 〔GE NET 2007/2/19〕
●アフリカ事情
●ウガンダでGMバナナ導入か

 ウガンダで、まもなくGMバナナの試験栽培に踏み切る可能性が強まった。立ち枯れ病への抵抗性をもたせた品種で、この病気が同国以外にルワンダ、コンゴ、タンザニアにも広がっているのが導入の理由。同バナナは、ベルギー在住のウガンダ人科学者Geoffrey Arinaitwe が開発したもので、ウガンダ国立科学技術会議が承認すると、カワンダ研究所の温室で栽培試験が行われる。研究所では、バナナにつづいてウイルス抵抗性キャッサバ、ビタミンAスウィートポテト、Bt綿の栽培試験も予定されている。 〔The East African 2007/2/19〕
●GM 動物  
●GMサケは獰猛な性格になる

 成長ホルモン遺伝子を導入して成長を早めたGMサケは、野生のサケに比べて最大25倍の体重になり、より早く市場に出すことを可能にした。しかしながら、最新の研究によると、このGMサケは性格を変え獰猛になることがわかり、もし環境中に逃げ出すと、生態系に予測不能の影響をもたらしかねないことが明らかになった。〔New Scientist 2007/2/26〕
●ヒトクローン胚
●ヒトクローン胚研究解禁への指針改訂作業始まる

 ヒトクローン胚の作成・利用に向けた制度化の議論が文科省の作業部会で始まった。3月6日に開かれた会合において、事務局の文科省から、ヒトクローン胚研究を行えるようにするには、特定胚指針、クローン技術規制法施行規則、ヒトES細胞指針の3つを改訂し、場合によっては新たな指針を作る必要があるとの考え方が示された。今後、中間報告を基にし、指針改訂の検討に入る。
●ES細胞
●生命倫理専門調査会、ヒトES細胞指針の緩和を了承

 3月8日、内閣府の生命倫理専門調査会が開かれ、文科省諮問のヒトES細胞指針改訂案についての答申がまとめられた。今回の指針改訂のポイントは次の4つとなる。@ヒトES細胞を分配する機関の設置を制度化、A国内で樹立されたヒトES細胞の海外機関への配布を認める、BヒトES細胞から分化した細胞の譲渡や保存を認めるC研究計画の軽微な変更は届出制とする審査の簡略化。  同専門調査会では、これらをすべて了承した。Bの分化細胞については、現行指針ではヒトES細胞と同等に取り扱うことが定められ、譲渡や保存は禁止されている。しかし答申では「ヒトES細胞由来であるという一点を除いて、一般のヒト細胞と科学的に差異はない」とし、文科省の改訂案は妥当であるとした。これにより、ヒトES細胞指針は大幅に緩和されることが決まった。


今月のGMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧
生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
トウモロコシ 2 種の除草剤耐性** デュポン DP-098140-6, OECD UI:DP-098140-6 2月26日
ダイズ 高オレイン酸含有×除草剤耐性 デュポン DP-305423-1 UI:DP-305423-1 2月26日
綿 害虫抵抗性 シンジェンタシード COT67B, OECD UI:SYN-IE67B-1 2月26日
綿 害虫抵抗性 シンジェンタシード COT102, OECD UI:SYN-IR102-7 2月26日
*正式にはパブリックコメントの後に認可される。
**グリホサートとアセト乳酸合成酵素阻害剤