■2002年4月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●クローン動物と卵子「若返り」


  世界で最初のクローン羊ドリーの後ろ足が、若い羊にはまれな関節炎になり、老化現象ではないかと言われている。日本のクローン牛に異常が多いことは2001年12月号で伝えたが、このほど体細胞クローンマウスは短命、とする実験結果が、国立感染症研究所の小倉淳郎(現、理化学研究所)らによってまとめられた(Nature Genetics 2002/2/11)。それによると、12匹のクローンマウスを作成し、通常のマウスと同じ条件で飼育した結果、12匹中10匹が800日目までに死んだ。通常のマウスは7匹中1匹であった。
 コピー・キャットと名付けられた、体細胞クローン猫の映像が世界中に伝えられた。米テキサス農工大の研究グループがつくり、2月14日に発表した。最初のクローンペットの誕生である。この猫は体毛の模様が核提供の親と異なっている。
 体細胞クローンは、核を取り除いた卵子に、体細胞の核を入れて作成する。そのため核には体細胞提供者の、核以外(細胞質)には卵子提供者の遺伝子が存在する。
 2月19日、卵子が「若返った」牛が誕生した。若い牛の卵子の核を取り除き、高齢牛の受精卵から取り出した核を移植したものだ。核は高齢牛、細胞質は若い牛となり、卵子が「若返る」ことになる。これは加藤レディスクリニック(東京)が岩手大農学部と行った実験で、同クリニックでは、すでに人間でも同様の実験を行っている。2001年9月号で伝えたように、世界ではすでにこの遺伝子改変ベビー30人余が誕生しているが、安全上の問題が残るうえに、子どもの遺伝的な母親は厳密に言えば2人いる。倫理的にも大きな問題を持った実験である。