■2007年8月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●バイオ燃料ブームによるGM作物作付け拡大


 米国農務省が6月29日に発表した報告によると、遺伝子組み換え作物作付けが急激に拡大していることがわかった。2007年の推測値は、作付けしたトウモロコシの73%(前年61%) を遺伝子組み換え品種が占め、大豆では91%(前年89%)、綿は87%(前年83%)だという。

 それを反映してモンサント社は、5月末日までの第3四半期の売り上げが対前年同期比23%増、利益が71%増と、空前の利益を得たことを明らかにした。〔Bloomberg 2007/6/28〕
 この急増の背景にはバイオ燃料ブームによる穀物価格の上昇があり、とくにトウモロコシの作付け面積が大幅に増加し、第二次大戦以来の史上最大規模で作付けされていることが影響している。九州大学大学院農学研究院(旧伊東研究室)による統計数値では、2007年米国のトウモロコシ作付け面積は前年より497万ha増の3358万haに達し、輸出量は逆に455万トン減の5017万トンと予測されている。燃料用として国内消費に回す分、輸出量は減少している。

 その煽りを受けた大豆は、作付け面積が前年比15%減の2590万haと推定されている。とくにコーンベルト地帯での減少が目立つという。生産量が減少したことで、大豆もまた価格が高騰している。
 7月4日、OECD(経済協力開発機構)が発表した「農業観測」によると、大豆やナタネなどの油糧種子は2006年に289ドル/t に達し、2016年には299ドル/t と、このまま高値安定がつづくと予測している。

 またFAO(国連食料農業機関)が6月に発表した「食料観測」によると、世界全体で食料価格が上昇し、2007年の食料輸入額は2006年を5%上回る4000億ドルを超えることが確実で、この影響は特に途上国を直撃し、さらに債務の増加を招くことになりそうである。 〔USDA 報告書ほか〕