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ニュース
●遺伝子組み換え食品
●兵庫県の豆腐GM検査で約6割に混入
兵庫県立生活科学研究所が、昨年11月から今年2月にかけてスーパーなどから豆腐35銘柄をそれぞれ3点ずつ購入し検査したところ、20銘柄が遺伝子組み換え作物混入を示す陽性だった。そのうち3点すべてが陽性だった11銘柄について定量検査を行ったところ、7銘柄は検出限界以下だったが、4銘柄から0.1〜1.7%のGMOが検出された。5%まで混入を認めている日本の表示制度では許容される数値だが、0.9%までしか混入を認めていないEU
では「遺伝子組み換え大豆使用」と表示しなければならないものもあった。なお有機大豆使用と表示された5銘柄中3銘柄が陽性だった。
●省庁動向
●農水省がGM作物推進の方向を示す
7月9日、農水省が設置した「遺伝子組換え農産物等の研究開発の進め方に関する検討会」が、今後開発を進める分野中5年以内に実用化を目指すものとして「健康食品」「病害虫抵抗性作物」「環境ストレス耐性作物」を、10年以内に実用化を目指すものとして「多収性と機能性をもつ高付加価値飼料」「有害物質吸収作物」「バイオ燃料作物」を示した報告をまとめた。これまでの開発路線と変わりなく、目新しいものは示されていない。
●自治体動向
●神奈川県がGM作物栽培規制条例制定へ
神奈川県は、松沢知事が選挙のマニュフェストにGM作物栽培規制条例制定を謳ったことから、条例制定に向けて動き始めた。条例の中身を検討する「遺伝子組換え農作物の交雑等の防止検討委員会」を設置し、5月30日に第1回目の会議が開かれた。委員のメンバーは、学者3、農業・農協関係者6、消費者2の計11人で、計4回の会議を予定しており、来年2月議会に条例案を提出し、10月施行を目指している。
●iPS 細胞
●ヒトiPS細胞、国の規制対象外となる
6月26日、文科省の専門委員会が開かれ、体細胞から作り出されたES細胞とほぼ同じ性質を持つ人工万能性幹細胞(induced pluripotent
stem cell=iPS細胞)について、ES細胞と同様に取り扱わない方針で合意した。現在、京都大学再生医科学研究所教授・山中伸弥の研究グループなどがマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作り出すのに成功し、人間のiPS細胞作成を目指して研究を進めている。これに対し、国としてどのように規制するのかが専門委員会で議論されたが、結局、何もしないということで落ち着いた。その理由は、ES細胞は「生命の萌芽」である受精卵を研究材料として用いるが、iPS細胞は体細胞しか使わないから。つまり、“出口”は一緒でも“入口”が違うから別物として扱うとのこと。専門委員会主査の理化学研究所研究顧問・豊島久真男は、「この2つは入口がまったく違うし、一緒に考えたら研究が出来なくなる。ヒトiPS細胞については、認めるも認めないも、我々は扱わない」と述べ、他の委員もそれに同意した。
●クローン
●ヒトクローン胚研究、異常受精卵の議論開始
ヒトクローン胚研究の審議がいよいよ第2ステージに入った。文科省の作業部会が前回までにまとめた第一次報告案では、研究材料は受精前の卵子のみを対象としていたが、6月26日に開かれた会合では異常な受精卵についても認める方針で合意し、使用条件などの議論が始まった。現在のところ異常な受精卵として対象になるのは、体外受精の時に出る3倍体*である。作業部会が急遽方針を変えた背景には、米国のハーバード大チームによるマウスの3倍体受精卵からのクローン胚作成の成功がある。ヒトクローン胚研究には、とにかく大量の卵子が必要となる。作業部会の狙いは、少しでも利用できる対象を広げ、研究材料不足の解消に繋げることにある。慶應大学医学部教授・吉村泰典の試算によれば、現在国内で行われている不妊治療で年間1万個以上の3倍体受精卵が発生し、通常これらは廃棄されるという。
*いわゆる染色体異常の一つ。正常の体細胞は、精子、卵子に由来する1組の染色体(1倍体)が合わさった2倍体だが、卵子に2個の精子が受精すると3倍体を形成する。3倍体の胎児は流産に終わる。
●オーダーメイド医療
●文科省、オーダーメイド医療推進の検討始める
7月2日、文科省の「オーダーメイド医療実現化の推進研究戦略作業部会」が立ち上げられた。この作業部会は、文科省が2003年4月から始めたオーダーメイド医療実現化プロジェクトで集めた試料の有効活用を検討するために設置された。試料収集は5年計画で30万人を目指している。第1回会合では、プロジェクトリーダーの東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長・中村祐輔が経過報告を行った。試料は5月末現在258,184が集まっているという。
今月のGMO承認情報 |
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧 |
生物多様性影響評価検討会総合検討会 |
作物 |
性質 |
申請(開発者) |
名称 |
認可日* |
大豆 |
除草剤耐性+アセト乳酸合成酵素阻害剤耐性 |
デュポン株式会社 |
DP-356043-5, OECD UI: DP-356043-5 |
2007年6月22日 |
セイヨウナタネ |
除草剤耐性+雄性不稔性+稔性回復性 |
バイエルクロップサイエンス株式会社 |
MS8 × RF3, OECD UI: ACS-BN005-8 ×ACSBN003-6 |
2007年6月22日 |
セイヨウナタネ |
除草剤耐性+雄性不稔性+稔性回復性 |
バイエルクロップサイエンス株式会社 |
MS1 × RF1, OECD UI: ACS-BN004-7 ×ACSBN001-4 |
2007年6月22日 |
セイヨウナタネ |
除草剤耐性+ 雄性不稔性+ 稔性回復性 |
バイエルクロップサイエンス株式会社 |
MS1 × RF2, OECD UI: ACS-BN004-7 ×ACSBN002-5 |
2007年6月22日 |
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*正式にはパブリックコメントの後に認可される。
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