■2007年8月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●豪州事情
●西オーストラリア州農相がGM作物解禁発言

 西オーストラリア州の農業大臣キム・チャンスは、同州がこれまでとってきたGM作物モラトリアム政策が終わる見通しだ、と述べた。同州は、オーストラリア全体で作付けが広がっているGM綿も禁止してきた。来年このモラトリアム政策は見直されることになっているが、その時点でこれまでの政策を転換する可能性を示したものと見られる。この発言は、オード川の灌漑計画とともに触れられており、推進派による「GM綿はサトウキビに比べて多くの利益をもたらし、より少ない水で栽培できる」という主張に配慮したものと見られる。〔The West Australia 2007/6/22〕

●オーストラリアで旱魃耐性小麦の野外試験承認

 オーストラリアの遺伝子技術規制局(OGTR)は、6月13日、ヴィクトリア州政府が申請していた旱魃耐性小麦の野外試験を承認した。この試験は、州内にある政府の実験圃場で、最大30の系統を用いて行われる予定である。昨年、同国で起きた異常旱魃がGM作物栽培試験を後押ししたものといえる。 〔OGTR 2007/6/13〕
●南米事情
●デュポン社がブラジルで種子開発

 米国の多国籍企業デュポン社がブラジルで、種子開発研究センターの稼働を開始したと発表した。同国での種子開発の主導権を握るのが目的と思われる。研究センターでは、対象を大豆とトウモロコシに絞り、旱魃耐性や高温ストレス耐性、各地域にあった高収量品種を開発する予定である。 〔Pioneer HiBred 2007/6/12〕
●アフリカ事情
●南アフリカでモンサント社の広告にクレーム

 モンサント南アフリカ社の広告について、同国の広告規制局(Advertising Standards Authority)が中止を求めた。問題となった広告は、同社がGM食品について否定的な問題は今まで報告されていないと主張したもので、消費者からクレームが出てこの判断となった。〔South African Broadcasting Corporation 2007/6/20〕


●欧州事情
●モスクワ市で「GMOフリー食品表示」導入

 ロシア連邦首都モスクワ市では、7月初めからGMOを全く使用していない食品に対して「GMOフリー食品」表示を導入した。この制度は市全体で適用される。これまでの表示は「遺伝子組み換え使用」表示が多く、このような広域で「GMOフリー食品」表示を行うケースはまれで、世界的にも注目されている。〔ロイター 2007/6/24〕
●アジア事情
●インドで多数のGM作物野外試験を承認

 インドの遺伝子工学承認委員会(GEAC)は、一度に多数のGM作物の野外試験を承認した。承認されたのは、6種類のBtハイブリッド・イネ、3種類のBtオクラ、2種類のGMトウモロコシ、8種類のBtハイブリッド・ナスである。GMイネはすべてモンサント社の子会社マヒコ社が開発したものである。これらのGM作物はインドの10州、12の圃場で栽培される予定である。〔The Financial Express, India 2007/6/22〕

●シンジェンタ社が中国とGM作物共同開発へ

 スイス・シンジェンタ社が、中国・北京市にあるバイテク研究所のIGDB(Institute of Genetics and Development Biology)と、GM作物開発で5年間、共同研究を行うことになった。トウモロコシ、大豆、小麦、テンサイ、サトウキビなどの主要作物を対象に、旱魃耐性など新しい特性に焦点を当てて開発を進める予定である。IGDBは、中国科学アカデミーに属し、中国を代表するバイテク研究所である。 〔Syngenta 2007/6/25〕
●遺伝子組み換え作物
●モンサント社とバイエル社が2 つの除草剤耐性作物開発に合意

 米モンサント社は除草剤ラウンドアップ耐性(RR)作物を開発・販売しており、独バイエル・クロップサイエンス社は除草剤バスタ耐性(LL)作物を開発・販売しているが、両社が両方の除草剤に耐性をもつ大豆とトウモロコシを開発することで合意し、契約した。バイエル社がLL作物にかかわる特許権を放棄し、モンサント社が両方の除草剤に耐性をもつ品種を作り販売することを認めるというもの。現在、両除草剤の交雑品種が広がっており、未承認作物として輸入が拒否されないための方策と思われる。 〔Food Navigator 2007/6/21〕

●ハーブの香りをもつGMトマト

 イスラエルの研究機関やミシガン大学などの研究チームが共同で、ハーブのレモンバジルから取り出したゲラニオール合成酵素遺伝子を導入し、バラやレモンに似た香りをもつトマトを開発した。しかしながらこのトマトは、抗酸化作用をもつ赤色色素のリコピンが減少するため、赤みは減ったという。 〔Nature Biotechnology 2007/6/25〕