■2007年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●モンサント社が新GM大豆販売へ
 米国モンサント社は7月31日、10年ぶりに新しい系統の除草剤耐性大豆を販売する、と発表した。そのGM 大豆は、「ラウンドアップ・レディ2イールド(Roundup RReady2Yield)」と命名され、米国とカナダで承認されたことから、2009年から米国の一部の地域で販売を始め、2010年から全米で販売を行う、と同社のスポークスマンのサラ・ダンカンは述べた。 〔Forbes 2007/7/31〕

●南アフリカ研究者らが耐病性トウモロコシ開発

 南アフリカの研究者が種苗会社と共同で、トウモロコシ条斑ウイルス(MSV)耐性トウモロコシを開発した。この病気は、サハラ以南のアフリカとインド洋諸島で流行している。開発の成果は、米国植物生物学会年次会合で発表される。 〔EurekAlert 2007/7/8〕

●農業生物資源研が複数の病気に対する抵抗性イネ開発
 茨城県つくば市にある、日本で最もGM作物を開発している、独立行政法人・農業生物資源研究所が複数の病気に抵抗性を持つGMイネを開発した。導入した遺伝子は、通常は働かず病原体が侵入した際に働いて、病気にかかわる数百の遺伝子を活性化させる転写因子の遺伝子「ワーキー45」で、その遺伝子をイネに組み込んだ。実験室段階では、このイネはいもち病や白葉枯病に抵抗性を示したとして、今後、本格的な試験を行っていく予定。 〔常陽新聞 2007/7/18〕

●耐病性プラム米国で開発

 米国で、瘡痂病ウイルスに抵抗性を持つGMプラムの開発プロジェクトが現実化しそうである。この耐病性プラムの開発は、農務省農業研究部(ARS)が中心になって取り組んできたプロジェクトで、同省動植物衛生検査部(APHIS)は、この樹木は病気になり難く、他の植物に影響を与えないと評価した。 〔USDA ARS 2007/7/25〕
●南米事情
●ペルー・クスコ地方でGM作物栽培禁止

 ペルーのアンデス山地の中心に位置するクスコ地方政府が、GM作物の栽培を禁止した。そこでは古代インカ帝国の時代からジャガイモの原生種など、多種多様な作物が栽培されてきた。今回クスコ地方政府が出した「命令010」は、GM作物栽培を禁止することで、古くから伝わるこれらの品種を守ることを目的としている。〔ネイチャー 2007/7/18〕
●北米事情
●米国メイン州でBtトウモロコシ解禁か

 米国で唯一、殺虫性(Bt)トウモロコシの作付けが禁止されていたメイン州で、この間のバイオ燃料ブームとバイテク企業の攻勢を受け、解禁に向けた動きが強まっている。 〔Portland Press Herald 2007/7/13〕
 同州の動き次第で、米国での非GMトウモロコシの生産が危機的状況になりかねない。米国では、今年の全トウモロコシ作付けに占めるGMトウモロコシの割合は73%だと推定されているが、来年は90%に達すると予想されている。

●欧州事情
●増加するドイツの飼料用GMトウモロコシ

 ドイツで徐々にGMトウモロコシの作付けが広がっている。2005年58カ所342ha、2006年106カ所947ha、2007年174カ所2685haで、2007年の全トウモロコシ畑に占めるGMトウモロコシの割合は0.07%である。このGMトウモロコシはすべて飼料用で、食品には使用されていない。 〔BVL 2007/7/23〕
●中米事情
●メキシコでGM作物の試験栽培へ向けた動き

 トウモロコシの原産国であり、多様な品種をもつメキシコで、GM作物の試験栽培を可能にするルールづくりが進行している。同国政府のバイオセキュリティ担当の上級官僚によると、米国で進んでいるバイオ燃料政策がトウモロコシの価格上昇をもたらしているためで、大規模生産を目的としている。かねてよりメキシコの大規模農家は、1998年に作られたGM作物禁止法の撤廃に向けてロビー活動を行ってきた。他方、環境保護団体は、GMトウモロコシは各地にある固有種を危機に晒すと批判している。 〔ロイター 2007/7/17〕
●コーデックス
●コーデックス・バイテク部会9月幕張で開催

 9月24日から28日にかけて、千葉県幕張でコーデックス・バイオテクノロジー応用食品特別部会が開催される。今回は第2ラウンドの3年目で、来年でこのラウンドは終了するため、今年の議論が大切になる。今回は3つのテーマが議論される。1つ目は、GM動物食品の安全性評価の基準づくりで、焦点は抗生物質耐性遺伝子を認めるか否かにある。2つ目は、GM食品の中の栄養強化・健康食品の安全性評価の基準づくりで、焦点は、従来の安全性評価の基本になっている「実質的同等」の考え方が使えないため、どれだけ厳しい基準になるかにある。3つ目は、未承認GM作物の微量混入問題で、焦点は未承認GM作物の混入を容認させようと動いている米国が、どこまで巻き返すかにある。
●クローン
●4世代の体細胞クローン豚誕生

 8月6日、明治大学教授長嶋比呂志らの研究チームが、体細胞クローン豚をつくり、さらにその豚から体細胞クローン豚づくりを繰り返し、第4世代までつくりだした、と発表した。使用されたのは、いずれも唾液腺の細胞である。
 また、同大学とベンチャー企業のバイオス医科学研究所(神奈川県平塚市)の共同研究チームは、ヒトの糖尿病の原因遺伝子を導入したGM豚からクローン豚をつくりだした。医薬品生産用GM動物の量産技術を確立するのが目的である。 〔毎日新聞 2007/8/7〕