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ニュース
●遺伝子組み換え樹木
●スーパー樹木開発される
米国サウスカロライナ州にあるバイテク企業のArborGen社は、どこでも育ち、紙にしやすく、バイオ燃料にもなるGM樹木を開発した。同社は森林保護に役立つと述べているが、環境保護団体は生態系を破壊すると批判している。
〔Fortune Magazine 2007/8/1〕
●遺伝子治療
●米国の遺伝子治療患者、副作用で死亡
米食品医薬品局(FDA)は7月26日、米ベンチャー企業のターゲティット・ジェネティクス社が行っている関節炎の遺伝子治療において、治験薬の投与後に副作用で患者が死亡したため、臨床試験を中止させたと発表した。
ベクター(遺伝子の運び屋)に用いられたのはアデノ随伴ウイルス(AAV)。炎症の進行を防ぐという腫瘍壊死因子に関係する遺伝子を導入したベクターを、患者の関節に2回投与したところ想定外の重い副作用が発生した。FDAは、米国内でAAVをベクターに使っている他の遺伝子治療28件についても、安全性の調査を実施するという。 〔毎日新聞 2007/7/28〕
現在、日本国内でAAVをベクターに用いているのは、5月7日に始まった自治医科大学のパーキンソン病に対する遺伝子治療のみである。米国での副作用発生を受け、厚労省が自治医科大学の計画に対し、一時停止などの措置をとる可能性もある。今回、他のウイルスよりも比較的安全とされたAAVに副作用が起きたことから、遺伝子治療全体に大きな影響が出るのは必至だ。
●エイズの遺伝子治療実験、サルで開始
タカラバイオ社細胞・遺伝子治療センターは、エイズの遺伝子治療のための新たなベクター(遺伝子の運び屋)開発に取り組んできた。治療に用いる遺伝子にはRNA分解酵素を用い、それをレトロウイルスにつなげた。HIV(エイズ・ウイルス)は感染力が弱くサルに感染しないため、サルにだけ感染するHIV類似ウイルスのSIVとつないだキメラウイルス(SHIV)をつくり、サルの細胞で実験を行ってきた。遺伝子治療を行った細胞ではSHIVでは増殖が見られなかったとして、これから実
際のサルを用いて実験を行う。〔タカラバイオ・プレス・リリース 2007/7/17〕
SHIVは、ヒトとサルの両者に感染するウイルスで、環境中に広がるとサルを媒介にして人間に広がる危険性がある。
●動物製薬工場
●GMウサギを用いた医薬品生産
オランダのバイテク企業「ファーミング社」は、欧州医薬品審査庁(EMEA)による検査を受け、GMウサギのミルクからタンパク質を取り出し医薬品を生産する工場が、規格に沿ったものであることが認められた、と発表した。これによりGM動物が作り出す「動物工場」の実用化が一歩近づいた。
〔in-Pharma Technologist 2007/7/16〕
●オーダーメイド医療
●オーダーメイド医療プロジェクトの5年間継続決まる
文科省の「オーダーメイド医療実現化の推進研究戦略作業部会」がわずか2回の審議で、プロジェクトを5年間継続するとした報告書案をまとめた。30万人から血液と診療情報を集めて作られた巨大バンクはそのまま維持し、さらに個人の生活習慣などの情報の充実を目指す。
●ヒトクローン
●ヒトクローン胚研究への異常受精卵利用、基本原則決まる
7月31日、文科省の作業部会が開かれ、ヒトクローン胚研究への異常な受精卵利用の容認に向けた本格的な議論が始まった。現在のところは不妊治療における体外受精で出る3倍体のみを対象とし、廃棄が決定したものの提供を受ける、との基本原則で合意。今後はインフォームドコンセントの要件などを詰めていく。
不妊治療の現場における3倍体の取り扱いについて、慶應大学医学部教授・吉村泰典は「廃棄もあるが、ほとんど卵の研究などに使っている。研究に使っていいですかって訊いて、いやですって言う人はまずいない」と語った。それに対して京都大学大学院教授・位田隆一は、「生殖補助医療に使っているからクローン胚研究にも使っていいとは言えない。人の命を生む生殖補助医療とは許容度が違う」と慎重論を述べた。
●ES細胞
●遺伝子組み換え含むヒトES細胞研究計画が承認
7月26日に開かれた文科省の専門委員会において、九州大学生体防御医学研究所のヒトES細胞使用計画が新たに承認された。使用計画とは、すでに作り出されたヒトES細胞を用いる研究のことである。九州大学の計画は、ヒトES細胞を分化させて移植用の血液細胞を作ろうというもので、さらに遺伝子組み換え技術を用いて分化の効率化を目指すという。
治療効果が疑問視されている遺伝子治療だが、それによって培ったウイルスなどのベクター(遺伝子の運び屋)による遺伝子導入技術が、思わぬところで役に立っているのだ。これまでに文科省が承認した使用計画の中に、遺伝子組み換えを含むものは3件あり、今回の九州大学が4件目となる。今後、分化の効率化や免疫抑制を目指したヒトES細胞への外来遺伝子の導入は、ますます活発化していくことが予想される。
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