■2007年10月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●北米事情
●米国北部でGMテンサイ初栽培か?

 モンサント社が開発した除草剤耐性テンサイが、来年にも米国北部のミネソタ州、ノースダコタ州にまたがるレッド・リバー・ヴァレーで初めて栽培されることが確実になった。栽培するのはアメリカン・クリスタル・シュガー社で、同社社長が明言した。テンサイはバイオエタノールの原料としても期待されており、この間のバイオ燃料ブームが引き金になったものと思われる。〔CNNMoney,USA2007/8/22〕
●欧州事情
●フィンランドのメーカーがGM飼料輸入を発表

 フィンランドのLSOフーズとLounais-farmiの2社が、今夏よりGM大豆を飼料用途で輸入すると発表し、波紋を広げている。「農業生産者と森林所有者の中央同盟(MTK)」は8月14日、「飼料用途も含めて、生産過程のどの段階でGM原料が使われようと、表示すべきだ」とする声明を出した。
 また、「HelsinginSanomat」が行った一般消費者を対象にしたアンケート調査で、約半数の人がGM飼料を用いた肉は食べたくないと答え、約90%の人が、GM飼料を使った旨を表示すべきだと答えている。現在EUでは、GM食品については全食品に表示が義務づけられているが、GM飼料を用いた食品には表示義務がない。〔HelsinginSanomat2007/8/15,22〕

●ルーマニアの消費者はGM食品を拒否

 ルーマニアのSCマーキュリー・リサーチが、今年5〜7月にかけて行った調査で、同国ではGM食品を拒否する人が67%に達することがわかった。調査結果を受けて、環境保護団体グリーンピースは、GM食品に対する対応によってスーパーマーケットをランクづけして、消費者に呼びかけるキャンペーンを開始した。〔GreenpeaceRomania2007/8/27〕

●セルビアで地雷探知GM作物を試験栽培へ

 セルビア政府は、地雷探知のためのGM植物の試験栽培を承認した。開発したのはデンマークのバイテク企業アレサ、植物はアブラナ科の雑草アラビドプシス(日本名:シロイヌナズナ)で、土の中の爆発物を探知する能力を持たせたものである。試験栽培はノビサド近郊でNSセメ農業研究所と共同で行われる。同様の試験栽培は、デンマークでも承認されている。〔Aresa,Denmark2007/8/27〕
●アフリカ事情
●ケニアでGM作物導入に農民が抗議

 ケニアでGM作物導入を前提にバイオセーフティ法が制定されようとしている。先週、国会での議論が始まるのを前に、反対する小規模農家が抗議行動を行った。ケニアのパン籠とよばれる農業地帯、西ケニアのキタレ地域の農民たちによるもので、同法の審議は12月に予定されている総選挙まで棚上げすべきであると主張した。〔AfricaScienceNewsService2007/8/21〕
●南米事情
●チリ政府、GMO情報不開示の方針変更へ

 8月22日、チリ政府スポークスマンのリカルド・ラゴス・ウェーバーは、政府はまもなく市民が情報にアクセスできる新しい法律を制定する予定である、と述べた。環境問題などに取り組み、情報公開を求めて訴訟を起こしてきたミゲール・フレデス弁護士は、「これはチリ政府がOECD加盟を目指しているためである」と指摘した。これまで政府はGM作物に関する企業名や栽培場所を隠してきた。〔TheSantiagoTimes2007/8/24〕
●オセアニア事情
●ニュージーランドがGMトウモロコシ承認を覆す

 GM食品の承認に関しては、オーストラリアとニュージーランドで共通の方式をとっている。その「オーストラリア・ニュージーランド食品基準(FSANZ)」によって承認されたGMトウモロコシが、ニュージーランド食品安全大臣によって覆され、ニュージーランドのみ承認は延期された。承認が延期されたのはモンサント社の高リジン・トウモロコシで、主に家畜の飼料として用いられるが、食品に混入した際の安全性が問題になっていた。〔ABCnews2007/8/4〕
●アジア事情
●パキスタンのGM綿栽培の大きな壁

 パキスタンでは国立バイオテク工学研究所の研究者によって、Bt綿の開発と小規模な試験栽培が行われてきた。現在、同国は大規模な栽培を行うための法律がなく、それが次のステップに移行するのを阻止してきた。政府は、バイオセーフティ法、種子法、種子も含んだ知的所有権保護法をまだ成立させていない。種子生産者は、Bt綿導入を目指し、それらの法律の制定を求めている。〔TheNewsInternational2007/8/20〕

●タイでGM作物野外試験解禁をめぐる攻防

 タイ農業・協同組合大臣ティラ・スタブトラが、内閣に提出していたGM作物の野外栽培試験の解禁を求める申請を取り下げた。GM作物野外栽培試験は今年4月13日に禁止が決定されたが、8月初めには解禁計画が発表され、農民団体による反対運動が強まっていた。大臣は「解禁をあきらめるつもりはない」と発表、農民団体は大臣は反対運動を過小評価しており、厚生大臣は解禁に反対していると述べた。〔BangkokPost2007/8/29〕
 またタイ農業・協同組合省の公式筋は、他の関連する省庁と会合を持ち、GM作物の野外栽培試験禁止の解除を内閣に申請する前に公聴会を開催する予定だ、と述べた。〔ThaiNewsAgency2007/8/29〕