■2007年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●殺虫性トウモロコシが水生生物の生態系を破壊


殺虫性トウモロコシが水生生物の生態系に有害だとする研究結果を、インディアナ大学の研究者がまとめた。その内容は全米科学アカデミー誌(The Proceedings of the National Academy of Science オンライン)10月8日付に掲載された。論文をまとめたのは、同大学行政環境大学院助教授のトッド・V・ロイヤーらで、GMトウモロコシの花粉などが河川に流入して、水生昆虫のトビケラの成長率が半減以下となる成長阻害が起き、死亡率が高くなると指摘した。

 トビケラは、殺虫性作物がもつBt毒素の標的害虫の近縁に当たる。これまで殺虫性作物がもたらす生態系への影響をみる際、水生昆虫で調査されてきたのは、ミジンコだった。トビケラは、魚や両生類などのエサとなるため、生態系に大きな影響がでかねないとしている。 〔National Science Foundation 2007/10/9 など〕
 この研究結果が、ヨーロッパで波紋を広げている。EUの環境担当責任者のスタブロス・ディマスは、現在EUで承認が検討されている殺虫性トウモロコシのBt10とBt1507について、環境への影響が問題だとして、承認に反対の姿勢を表明した。上記のインディアナ大学の論文が影響したものと見られる。欧州委員会の他のメンバーは、承認の意向を示している。〔ロイター 2007/10/25〕