■2007年12月号

今月の潮流
News
News2
今月のできごと


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース



●豪州事情
●豪州州政府、GMモラトリアム法の行方

 豪州州政府、GMモラトリアム法の行方
 10月14.23日、オーストラリア4州の州政府を訪問し、各州のGM作物栽培一時停止(モラトリアム)法の動向について取材した。
 来年春にモラトリアム法の期限が切れる東部3州のニューサウスウェールズ州、ヴィクトリア州、南オーストラリア州は、法律を継続しない方向で検討している。南オーストラリア州の検討委員会アンネ・レヴィー議長は、東部3州で共通の基準を作る予定だ、と述べた。すでにモラトリアム中止を前提に動いている様子だった。
 一方、西オーストラリア州政府は、モラトリアム法を継続する可能性が高い。同州の「GM作物フリー地域法2003」(あらゆるGM作物の商業栽培を禁止)の期限は2008年12月で、東部3州よりも先である。同州の農業・食料省キム・チャンス大臣は基本的にGM作物商業栽培反対の立場をとっている。加えて大臣は、GM作物栽培規制のため、議会に改正種子法を提出予定だと述べた。同法は、GM種子のように西オーストラリア州の農業に大きく影響しそうな種子に関して、これまで栽培は禁止できたが、所有や輸入は禁止できなかった。それを、実験目的を例外とし、栽培目的の所有や輸入を禁止するよう改正するという。来年中には成立の見込みだ、と述べた。
●バイオ燃料
●バイオエタノールが土壌の貧栄養化を招く

 オハイオ州立大学のハンベルト・ブラシコは、エタノール生産にトウモロコシの葉や茎が利用されると、土壌が貧栄養化し、結果として農業生産力が低下し、環境に悪影響が出ると指摘した。とくに問題なのが、畑の残滓が取り除かれることによる土壌中の炭素の喪失で、加えてミミズなどの数も減少し、作物の収穫が大きく落ち込むことになると述べた。 〔Geoderma 2007年10月号〕
●カルタヘナ法
●千葉大学と兵庫医科大学がカルタヘナ法違反

 10月18日、千葉大学で遺伝子組み換え実験に使用したGMワクシニア・ウイルスと、兵庫医科大学で実験に用いたGMマウスが、カルタヘナ法違反だったことが明らかになった。前者は、カルタヘナ法で求めている文部科学大臣の確認を怠っていた。後者は、必要な措置を取らずに実験を行ったことが違反と指摘された。〔文部科学省2007/10/18〕
●研究動向
●産業総合研が危険微生物取り扱い違反

 茨城県つくば市にある経済産業省所管の産業技術総合研究所の特許生物寄託センターが、違反と知りながら人の健康に危険をもたらす病原微生物を受け入れ、十分な感染防止対策も行わずに非常勤職員らに培養させ、事実に気がついた幹部の口を封じていたことがわかった。経済産業省も2003年にはこのことを掌握していたにもかかわらず、何も対策をとってこなかった。センターは、感染防止設備が不備なことから、WHO指針の生物危険度レベル1.4のうちレベル1の微生物しか受け入れることができない。にもかかわらずレベル2以上の病原体296 種類を受け入れ、そこにはレベル3が3株(ブルセラ菌2株、鼻疽菌1株)も含まれていた。〔朝日新聞2007/10/18ほか〕
●生殖補助医療
●日本学術会議、生殖補助医療報告書の中心は代理出産で

 日本学術会議の「生殖補助医療の在り方検討委員会」は、代理出産を中心とした20頁程度の報告書をまとめることで合意した。11月6日に開かれた第10回会合で、副委員長の上智大学法学部教授・町野朔が報告書の骨子を公表し、「(生殖補助医療の)全部を網羅するのは無理。それをわずか1年で出来るわけがない。どうしても、最優先課題の代理出産を中心にせざるを得ない」と語った。その意見に他の委員も同意したが、肝心の代理出産を認めるか否かについては、未だ結論が出ていない。あと5回の会合で結論を出して報告書をまとめることとなる。2008年1月30日に開催される最終会合は、これまでの経緯と報告書の内容を広く一般に説明するための公開シンポジウムを予定している。

●クローン
●受精卵クローン牛の多くが食肉に

 10月31日、農水省は今年9月末時点の「家畜クローン研究の現状」を発表した。それによると受精卵クローン牛に関しては、これまでに誕生した716頭のうち、314頭が食肉として用いられたことが明らかになり、不明も63頭あった。これも食肉に回った可能性が高く、すでに多数のクローン牛が食肉となっている現状が浮かび上がった。
 体細胞クローン牛は、まだ日本では食肉として出回っていないものの、米国では食品として承認される可能性が強まっている。これまで535頭が誕生し、現在、研究機関で育成・試験中は86頭とわずかで、死産、生後直後の死亡、病死等が295頭に達し過半数を占めている。実態のわからない試験屠殺も加えると、相変わらず異常死の多さが目立つ。なお、体細胞クローン豚が256頭誕生しているが、その実態は明らかにされていない。

表1 家畜クローン研究の現状(体細胞クローン)
(単位:頭、2007年9月現在)
体細胞クローン牛出生頭数535
  研究機関で育成・試験中86
  死産77
  生後直死90
  病死等128
  事故死8
  廃用11
  試験屠殺135
  受胎中の体細胞クローン22
体細胞クローン豚出生頭数256
体細胞クローン山羊出生頭数9


表2 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧
生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
バラ フラボノイド生合成経路改変 サントリー株式会社 WKS82/130-4-1,OECD
UI:IFD-52401-4
2007年10月4日
バラ フラボノイド生合成経路改変 サントリー株式会社 WKS82/130-9-1,OECD
UI:IFD-52901-9
2007年10月4日
トウモロコシ 害虫抵抗性+除草剤耐性 ダウ・ケミカル日本株式会社 TC6275,OECD
UI:DAS-06275-8
2007年10月4日
トウモロコシ 害虫抵抗性 日本モンサント株式会社 MON89034,OECD
UI:MON-89034-3
2007年10月4日
ダイズ 除草剤耐性 日本モンサント株式会社 MON89788,OECD
UI:MON-89788-1
2007年10月4日
*正式にはパブリックコメントの後に認可される。