■2008年9月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●クローン家畜
●欧州食品安全庁、クローン家畜食品承認困難に

 7月24日、欧州食品安全庁(EFSA)は、今年1月に諮問委員会がクローン家畜を用いた肉や乳を「安全」とする草案を提出したのを受けて検討を進めてきたが、最終的に「安全」という見解をまとめることができなかった。欧州倫理委員会もクローン家畜に否定的な見解を示しており、これによって欧州委員会がクローン家畜承認に動くことは難しくなったといえる。 〔The New York Times 2008/7/25〕

●遺伝子組み換え作物
●GMスギ花粉症緩和米、国の委託研究終了

 農水省が独立行政法人・農業生物資源研究所などに委託し、アグリバイオ実用化・産業化研究の1つ「第二世代遺伝子組換え作物の実用化・産業化のための研究開発」として国家予算を投じ、開発が進められてきたGMスギ花粉症緩和米は、実用化の目途が立たないまま、2007年度で委託研究が終了した。今年度から、農業生物資源研究所による独自開発になり、民間企業に委託して動物実験を継続する予定である。同研究所と共同で開発を行ってきた日本製紙の今後の動向が注目される。

●欧州事情
●ドイツの政府機関がGM作物栽培位置情報を公開

 ドイツの2つの政府機関が、GM作物の位置情報を提供することになった。その1つ、ドイツ連邦消費者保護・食品安全局が、GM作物の野外試験や商業栽培の場所を、オンライン上の地図に公開するサービスを7月から開始した。 〔GMO Compass 2008/7/16〕

●BASF社がGMシャガイモ承認をめぐり欧州委員会を提訴

 独BASF社は、同社のGMシャガイモの承認を欧州委員会が意図的に遅らせているとして、7月24日、欧州司法裁判所に提訴した、と発表した。同社によると、欧州食品安全庁(EFSA)がこのジャガイモを「安全」と評価しながら、欧州理事会が承認を遅らせているという。 〔ロイター 2008/7/24〕

●モルドヴァがGM作物の輸出入時申告を義務化

 モルドヴァ共和国のヴァイオレッタ・イワノーワ環境・天然資源大臣は、今後、政府が承認したすべてのGM作物について正しく表示されているか、非GM食品中にGM作物が使われているか否か、輸出入時に税関に申告することになる、と述べた。輸出入時にこの規則は適用され、違反した場合は罰金が科せられる。 〔Moldova Azi 2008/7/3〕

●オーストリアが殺虫性トウモロコシを輸入禁止

 オーストリア政府は、安全性が強く疑われているモンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON863」の輸入を禁止した。このGMトウモロコシは、フランスの研究者による評価で、実験動物の体重に変化が起き、肝臓と腎臓にダメージをもたらし、骨髄細胞にも悪い影響があるとされている。 〔Greenpeace International 2008/7/25〕
●オセアニア事情
●豪州の有機食品加工業者団体、GM食品表示強化を求める

 オーストラリアで最も大きな有機食品加工業者団体の「ピュアハーベスト」は、世界的にも最も厳格なGM食品表示をオーストラリアとニュージーランドで行うよう求めた。ドン・ラザーロ専務理事は、この間、オーストラリアではGM食品に対する関心は劇的に高まっており、消費者は表示を強く求めている、と述べた。
〔Seeking Media 2008/7/17〕

●ニュージーランドのGMO管理規則変更へ

 ニュージーランドでこれまで「有害物質&新規生物規制法」に基づいて行われてきた、GM作物の管理規則が変更されることになった。環境大臣Trevor Mallard が、環境リスク管理局に諮問し、8月22日までに回答を求めている。管理規則変更の目的は、透明性を高めること、 責任を明確にすること、情報を公開することだとしている。 〔ERMA 2008/7/31〕

●アジア事情
●中国で16州のGM食品推進計画を承認

 中国国務院は7月10日、各州で進められているGM作物開発計画を承認したとウェブサイトに発表した。これは、2006年から2020年にかけて16の州で取り組む、食糧増産と害虫への抵抗性を強めたGM作物の開発を目指した計画。 〔ロイター 2008/7/10〕

●モンサント社、パキスタンへのGM綿売り込み加速

 モンサント社の積極的な働きかけが注目されていたパキスタンで、いよいよBt綿が導入されそうである。パキスタン政府は7月24日、同社のBt綿導入に向けて、モンサント社の関係者を含む委員会を立ち上げた。委員会は1 週間以内に食料・農業・飼料大臣に対して導入を勧告すると見られている。 〔The Dairy Times 2008/7/25〕

●ベトナムがGM作物栽培開始か?

 ベトナム政府が2010年から、GM作物栽培に踏み切る可能性が出てきた。同国農業地方開発省のファン・バン・トアン科学技術課長によると、主に大豆、トウモロコシ、綿の栽培に踏み切るようだ。同国ではすでにGM作物導入に向けた法案づくりを進めており、今年10月にも国会で成立する予定だという。米国大使館の報告では、2020年までには同国での農業生産の70%をGM作物に切り換える予定だという。 〔NNA 2008/8/5〕