■2008年9月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アフリカ事情
●ブルキナファソがBt綿導入

 ブルキナファソが、南アフリカ、エジプトにつづくアフリカ第3番目のGM作物栽培国になった。ブルキナ国立農業研究所(INERA)とモンサント社がBt綿の種子導入に関する協定を締結し、モンサント・アフリカ社によると、すでに1万5000haの農地に作付けされたという。 〔Africa Science News Service 2008/7/12〕

●ナイジェリアの科学技術大臣がGM作物導入発言

 ナイジェリアの科学技術大臣Grace Ekpiwhre が、GM作物を導入すると発言したことから、同国内でGM作物反対の声が強まっている。大臣の発言は個人的なもので、国民の合意も専門家の見解も反映していないため、混乱をもたらしたと見られている。 〔GE Net 2008/7/18〕

●南ア政府の農業支援政策はGM種子を強要

 南アフリカ共和国農業省は、小規模農家が耕作機械、水の配管、種子を購入する際に資金を貸与するという魅力的な政策を推進しているが、それがGM種子使用とセットになっているようだ。資金を借りた農家の多くは、GM種子を強制された上に借金だけが残っていくのが現実である。 〔Inter Press Service 2008/7/21〕

●南アフリカで地雷探知用GMタバコ野外試験へ

 南アフリカのステレンボッシュ大学で、地雷探知用GMタバコの野外試験が行われる。このGM作物は、デンマークのバイテク研究所Aresaが開発したもので、地雷があると葉が赤色に変化する。すでにセルビアで野外試験が進められているが、南アではGMタバコがどれだけ旱魃や高温に耐えられるかを調査する予定だという。 〔Business Day 2008/7/22〕
●中南米事情
●メキシコの農業団体がGMトウモロコシ栽培中止を要求

 メキシコの約200の農業団体が政府に対して、GMトウモロコシ栽培の無期限中止を求めた。トウモロコシは、メキシコの人たちの主食であり、また、メキシコ固有種が淘汰されつつあるため、その保護を求めたもの。同時に、モンサント社などの多国籍企業が利益を独占していることを告発した。 〔Prensa Latina 2008/7/30〕
●技術動向
●英国で低カロリー小麦を開発

 英国ケンブリッジにある国立農業植物学研究所の研究者が、遺伝子組み換え技術を用いて低カロリー小麦を開発した。今後、パンなどの製品となった際に有効かどうかの試験を行う予定。 〔The Daily Telegraph 2008/7/18〕
●バイオ医薬品


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●バイオ医薬品
●米カンザス州政府が医薬用GMイネ開発に融資

 米国カンザス州政府は、GMイネを開発しているベントリア・バイオサイエンス社に対して375万ドルを融資した。このGMイネは、人間の母乳に含まれる2つのタンパク質を作りだすもので、子どもの下痢止めに有効だとしている。同社の最高経営責任者のスコット・ディーターは、今年中には市販を開始すると述べた。販売が開始されれば、GM作物からつくられる初めての医薬品となる。 〔The Sacramento Bee 2008/7/18〕
●iPS細胞
●「万能細胞」からの生殖細胞作成に肯定的意見続出

 7月29日、ヒトiPS細胞などの、いわゆる「万能細胞」からの生殖細胞作成の是非を検討している文科省の作業部会が開かれ、埼玉医科大学教授・石原理、理化学研究所グループディレクター・西川伸一、東京大学医科学研究所教授・中内啓光からのヒアリングが行われた。いずれも現役の研究者で、石原が不妊治療、西川と中内が幹細胞の研究を行っている。ヒトiPS細胞からの生殖細胞作成に対する3名の主張は、その条件などに若干の違いはあるものの、医学的有用性があり認めるべきという点では一致していた。ヒアリングを受けての作業部会の議論では、解禁派の委員が力を増し、精子と卵子の作成は認める方向に傾いていった。時間切れで継続審議となったが、今後はそれらを用いての受精を認めるか否かが焦点となるだろう。
●ES細胞
●鳥取大学のヒトES細胞使用計画2件を承認

 7月29日に開かれた文科省の専門委員会において、鳥取大学が申請していたヒトES細胞の使用計画2件が新たに承認された。使用計画とは、すでに作りだされたヒトES細胞を用いる研究のことである。鳥取大学の計画は、京都大学から提供を受けたヒトES細胞を分化させ、それぞれ移植用の心筋細胞と肝細胞を作りだそうというもの。これまでに承認された使用計画は53件にのぼり、ここに今回の鳥取大学が加わり計55 件となる。
●消費者運動
●米国発、GMテンサイ阻止でケロッグ製品不買運動

 米国でGMテンサイの栽培が始まったことから、そのGMテンサイ糖を用いることが確実なケロッグ社製品の不買運動が広がっている。消費者がインターネットを通じて呼びかけたもので、ケロッグ社がGMテンサイ糖を用いることを阻止できれば、他の企業にも波及すると考えて取り組まれている。 〔Kalamazoo Gazette 2008/7/22〕