■2008年10月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●インドのBt綿収穫地で山羊が大量死

 インド・オリッサ州で、Bt綿を収穫後の農地に放牧した山羊120頭が死亡した。インドでは同様の事態が繰り返し起きていながら、政府は調査しようとしない。村人の証言では、山羊はBt綿を食べてまもなく死亡したという。解剖したところ胃にBt綿が見つかったことも明らかになった。 〔Newindpress 2008/8/6〕
●GM汚染
●ドイツでGM汚染から蜜蜂を避難

 7月15日、ドイツの6人の養蜂家が、蜜蜂を80q離れたカイスハイム村からミュンヘン市内に移動させた。村にはGMトウモロコシが栽培されており、蜜蜂をGM汚染から守るのが目的である。蜂蜜が汚染されると売れなくなることから、養蜂家たちはGM作物栽培禁止を求めて裁判所に訴えていたが、今年5月、ドイツではGM作物の栽培が認められているとして訴えが却下されたため、
今回の移動となった。〔Inter Press Service News Agency 2008/8/14〕

●南アフリカの朝食がGM汚染されている

 アフリカで最初にGM作物を導入した南アフリカ共和国で、国民が朝食に食べているコーンシリアルやフレークを検査したところ、高い割合でGMトウモロコシが混入していた。なかには97.5%が陽性反応を示した商品もあった。陽性反応がまったくなかったのは、ケロッグ社のコーンフレークなどわずか2種類だった。〔The Times 2008/8/3〕
●欧州事情
●チャールズ皇太子のGM作物をめぐる発言、波紋広がる

 英国チャールズ皇太子が、GM作物が世界の食糧危機を救うというGM企業の宣伝に対して、「それがもしも食料の未来に対する回答ならば、私を除外してほしい」と発言して批判した。とくに途上国の小規模農家から農業を営む権利を奪うことを批判し、「食料安全保障は食料増産の問題ではない」と述べた。
 この発言は、世界の科学者400人による「GM作物が食糧危機の解決策ではない」という意見を踏まえたものと思われる。皇太子の発言に対して、フィル・ウーラス環境大臣は「食料増産は飢餓をなくす手段になる」と批判し、環境保護団体は「英国民85%の考え方と一致する」と歓迎した。 〔The Dairy Telegraph 2008/8/17 ほか〕

●GM作物導入にゆれるポーランド

 ポーランド政府は、欧州委員会の介入によってGM作物導入の検討を開始したが、国民の強い反対によって立ち往生している。政府は、導入に向けて規制法制定に着手したが、この法律作りに国民の意見を尊重するとしたことで、作業が膠着状態に陥っている。〔Polish Market Online 2008/8/4〕
●アジア事情
●インド州政府が中央政府のGMO政策を批判

 インド・ケララ州の農業大臣Mullakkara Ratnakaran が、インド中央政府が制定を予定している国家バイオテクノロジー規制法に反対である、と述べた。同大臣によると、この法律は、試験栽培などの民主的なコントロールを妨げ、農家や消費者に危害をもたらしかねない条項を含んでいる、という。また、農業にかかわる権限は州政府に属しているにもかかわらず、法案作成過程で州政府に諮ることもなく、州政府の権限を中央政府が奪うような条項も含まれている、と批判した。〔The Hindu 2008/8/3〕
●中東事情
●湾岸諸国がGM食品規制へ

 8月26日、アラブ首長国連邦などで構成する湾岸諸国会議は、GM食品導入を規制することで合意した。独立した機関による規制が定められるまでGM食品を禁止する、とアブダビ食品管理局のMariam博士が述べた。〔Gulf News 2008/08/26〕
●中南米事情
●アルゼンチンの土壌が危ないと警告

 アルゼンチンの家族経営の農家の団体と環境保護団体は共同で、価格高騰の影響で大豆畑が拡大していることに対して、深刻な影響をもたらしかねない、と警告を発した。このまま拡大していくと環境面だけでなく、社会的にも深刻な影響が出かねないというもの。アルゼンチンではほとんどの大豆がモンサント社のGM大豆であり、全耕地の半分以上1660万haを占めている。生態系に限界を超えたストレスがかかっていると指摘している。 〔soyatech.com 2008/7/29〕

●エクアドルがGMOフリー国家へ向け議論

 エクアドル政府が、食料主権とGM作物拒否の政策実現に向けて議論をつづけている。この間、小規模農家のグループ、先住民、消費者たちを対象にフォーラムを開き、さらに人々の健康や地域の発展に関するワーキンググループも設置し、検討を進めている。 〔RALLT 2008/8/5〕

●ブラジルが非GMO産業団体設立

 8月14日、ブラジルで非GM作物拡大を目指して、穀物関連企業が集まり、新しい団体「ブラジル非GM穀物生産者協会(ABRANGE)」を立ちあげた。設立したのは、穀物及び種子生産者、輸送企業、油メーカー、倉庫、認証会社、研究所などである。 〔ABRANGE 2008/8/14〕