■2008年11月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●GMO汚染
●豪州で新たなスーパー雑草を確認

 オーストラリア雑草管理センターの2人の科学者が、ニューサウスウェールズ州の夏の休養地で、除草剤(グリホサート)に耐性をもったスーパー雑草(liverseed grass)を確認した。これはヴィクトリア州で確認されたannual ryegrass、ニューサウスウェールズ州北部で確認されたawnless barnyard につづく3つ目のスーパー雑草である。〔CRC for Australian Weed Management & National Glyphosate Sustainability Working Group 2008/8/25〕

●スコットランドでGMナタネ汚染

 スコットランドで、北米から輸入した新品種の試験用ナタネの種子に、未承認のGMナタネが混入していたことが明らかになった。作付けされたナタネはすべて刈り取られ、焼却処分された。 〔The Herald 2008/9/13〕

●数キロ離れたGM作物の花粉を蜂が媒介

 ケニアのナイロビにある国際昆虫生理生態センターとフランスの研究所IRDによる共同研究で、GMササゲを栽培した場合、数キロ離れた野生のササゲに蜂が花粉を媒介する可能性があることがわかった。ササゲはアフリカ原産のマメ科の一年生作物で、GMササゲを栽培すれば、野生のササゲへの影響は避けられないと見られる。この研究結果は、全米科学アカデミー誌(PNAS,9月9日号)に掲載された。 〔Alpha Galileo 2008/9/22〕
●GMOフリー
●アイルランド全体がGMOフリー宣言

 すでにGMOフリーを宣言しているスコットランド、ウェールズの2 政府の呼びかけに応えて、北アイルランドとアイルランド政府がGMOフリーを宣言することが確実になった。2008年テラマドレ(母なる大地)アイルランド会議で両国政府の担当大臣が述べたものである。これによってアイルランド全体がGMOフリーとなり、英国ではイングランドだけが宣言していないことになる。 〔GM-free Ireland Network 2008/9/10〕
●北米事情
●米国の裁判所がGMアルファルファ栽培禁止を支持

 米国連邦(第9巡回区)控訴裁判所が、モンサント社の除草剤耐性アルファルファの栽培禁止を支持した。食品安全センターなど8つの市民団体が、同社の環境への影響評価が不十分であり、連邦政府の規制当局がこのGM作物を承認したのは無効であり、栽培を禁止すべきだと訴えていた。 〔The Recorder 2008/9/3〕

●オバマ大統領候補ブレーンにモンサント人脈

 米国大統領選挙で民主党候補となったオバマ上院議員のブレーンに、バイテク企業のアムジェン社とモンサント社の人脈が入っていることが明らかになった。科学アドバイザー5人の内4人がバイテク関連で、ロング・アドバイザーはモンサント社の元取締役である。〔Wired.com 2008/9/17〕
●欧州事情
●ドイツ農相が国ごとのGM作物栽培中止の権利求める

 9月3日、ドイツのホルスト・ゼーホッファー農業大臣が、EU各国単位でGM作物栽培を中止することができるようにすべきだ、と述べた。現在、EUで一律に承認していることに対して、各国ごとの対応を認めるべきだ、という趣旨の発言である。 〔Forbes 2008/9/3〕
●オセアニア事情
●西オーストラリア州次期政権はGM作物導入に慎重姿勢

 政権が交替した西オーストラリア州で、GM作物推進をうたった自由党を中心に新たな政権が組まれたことから、GM作物推進の業界団体や農業団体が勢いづいている。それに対して次期首相コリン・バーネットのスポークスマンは、まだ試験栽培のスケジュールを発表できる段階にはない、と慎重な姿勢を示した。また、次期農相のテリー・レッドマンも、GM作物については消費者の抵抗が大きいことから、注意深く取り組む必要があると述べた。 〔The West Australian 2008/9/19 ほか〕

●豪州でカエル退治用GMウイルス研究中止に

 オーストラリアで爆発的に増えている外来ヒキガエル駆除のため、GMウイルスを使用するという計画が進められてきた。しかし、このウイルスは同国固有のヒキガエルをも殺す上に、長期的効果も疑われていた。そのため連邦政府は、連邦科学産業研究機構が進めているこの研究への資金を打ち切った。〔The Courier Mail 2008/8/15〕
●アジア事情
●インドで交雑防止せずGM イネ試験栽培

 9月10日、インドの市民団体ジーン・キャンペーン(ニューデリー)は、ジャーカンド・ランチーで行われたGMイネの試験栽培が、周辺の農家の畑との間に隔離距離を設けるなどの交雑防止をしていなかった、と述べた。栽培されたGMイネは殺虫性(Bt)イネで、試験を行ったのはモンサント社の現地法人マヒコ社。同団体はマヒコ社を規則違反で訴え、同時にGMイネの野外試験栽培の中止を求めた。 〔The Telegraph 2008/9/18〕

●来年インドでGMナス商品化へ

 インドでは来年、GMナスが商品化されそうである。このGMナスは殺虫性(Bt)ナスで、同国で初めての食用GM作物となる。全インド穀物バイオテクノロジー協会のR.K.シンハによると、すでに4〜5年間試験栽培が行われてきたという。 〔Business Standard 2008/9/11〕