■2009年2月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●韓国が米国産トウモロコシを忌避か

 米国穀物協会理事が、世界第3位のトウモロコシ輸入国である韓国が、2009年には、GMトウモロコシが多い米国産を嫌って、同国からの輸入を大幅に減らしそうだと述べた。代わりに、小麦などより安い穀物に変更する模様であり、とくにコーンスターチなどの食用のトウモロコシの輸入は激減しそうだと予測した。〔Alibaba 2008/12/4〕

●インドでGMナス導入をめぐり論争

 インドでいま、GMナス導入をめぐって論争が起きている。導入に前向きな姿勢の環境省に対して、厚生大臣アンブマニ・ラマドスが反対を表明した。これは先週タミル・ナドゥ州のカンチェープラムで開催された農業者との会合で述べたもの。〔The Economics Times 2008/12/16〕

●パキスタンと中国がBt綿開発で協定締結

 パキスタンのパンジャブ・シード社と中国政府は、Bt綿の開発で農業協定を締結した。協定は、パンジャブ州知事の立ち会いのもと調印され、中国からBt綿の開発者Gu教授が派遣されることになった。〔Dairy Times, Pakistan 2008/11/18〕

●インドの分子生物学者がGM作物導入禁止を提言

 インドでGM作物の栽培を審議、許可している遺伝子工学承認委員会のメンバーで、分子生物学の権威でもあるPushpa Bhargavaが、シン首相あてに手紙を送った。そのなかで、すべてのGM作物の輸入を、安全性が確認されるまで禁止すべきだと、提言した。〔Express Buzz 2008/12/21〕
 また、政府は法廷で、科学的な試験を行わないでGM作物を承認してきたことを認めた。これらの動きから、インドではGM作物見直しに動く可能性も出てきた。〔Deccan Herald 2008/12/24〕
●アフリカ事情
●エチオピアでGMキャッサバ、ジャガイモ実験か

 BIO-EARN(バイオテクノロジー推進東アフリカ地域ネットワーク)は、エチオピアにおいて、農業、工業、環境管理を目的にバイオテクノロジーの応用を進める、と発表した。BIO-EARNの計画・研究コーディネーターのShumu Teferraは、耐ウイルス性のキャサバ、同ジャガイモの野外試験を目指している、と述べた。〔Walta Information 2009/1/3〕
●オセアニア事情
●西豪州政府がGMナタネの試験栽培開始を決定

 12月23日、西オーストラリア州農業大臣のテリー・レッドマンは、GMナタネの試験栽培開始を発表した。大臣によると、20戸の農家が計1000haに栽培する予定だという。これに対して、労働党、緑の党、コンサーンド・ファーマーズなどの団体が相次いで反対の声を上げた。とくに問題なのは交雑・混入の拡大で、西オーストラリア州の農業に悪いイメージをもたらす、と指摘している。〔The Sunday Times 2008/12/24〕
●GMOフリー
●インド・ケララ州が事実上のGMOフリー宣言

 インド・ケララ州の農業大臣Mullakara Ratnakaranは、州はあらゆるGM作物の種子の導入を拒否しており、これからも拒否する、と議会で述べた。また、中央政府に対して、GMOフリー州として存在することを要求している、とも発言した。〔The Hindu 2008/12/19〕
●iPS細胞
●iPS細胞研究、昨年は米国に「1勝10敗」

 2008年12月25日、文科省の作業部会が開かれ、iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究等の加速に向けた総合戦略の改訂について議論された。作業部会の委員にはiPS細胞を作りだした京都大学再生医科学研究所教授・山中伸弥も入っている。山中は日本とアメリカのiPS細胞研究を比較し、「昨年1年間を振り返ってみると、1勝10敗という感じ」と発言した。米国では昨年、ハーバード大研究チームが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や1型糖尿病の患者細胞からiPS細胞を作りだすことに成功している。それに対して日本では、ヒトiPS細胞の作製に成功はしたが、その後に続く成果が出てこない。現状に対する焦りから発せられた山中の言葉は、加熱する国際競争にのめり込んでいく日本の姿を如実に表しているといえる。
●ヒト胚
●生殖補助医療研究目的に限りヒト胚作製容認

 2008年12月26日、文科・厚労の合同専門委員会が開かれ、研究目的でのヒト胚の作製を認める報告書の素案が明らかにされた。不妊の原因解明など生殖補助医療に関する研究目的に限り、新たにヒト胚を作りだすことを認め、取り扱い期間は受精後14日以内としている。研究終了後、そのヒト胚は速やかに廃棄しなければならない。禁止事項としては、作製されたヒト胚を人や動物の子宮に移植することが挙げられている。
 研究材料となる卵子(未受精卵)の入手方法については、不妊治療目的で採取されたものの一部利用や、手術等により摘出された卵巣または卵巣切片からの採取などとしている。最後まで議論が紛糾した無償のボランティアからの提供は、卵子の採取には排卵誘発剤の投与に伴う副作用など、提供者に大きな肉体的および精神的負担がかかるため、当面は禁止するとしている。卵子に比べて提供者の負担が小さい精子については、「原則として自発的な申し出があった者から」採取することを認めている。合同専門委員会は近く報告書をまとめ、総合科学技術会議の意見を聞いた上で、文科・厚労の両省は指針の策定に入る。
●自治体動向
●消費者の80%がGM食品に不安

 北海道が行った調査で、消費者の約80%がGM食品に不安を持っていることが明らかになった。この結果は2005年に行った調査とほぼ同じ数字だった。
 北海道は昨年10月、道内に住む2500人を対象に調査票を送付し、1373人から回答を得た。GM食品を食べるのに「不安」と回答した人が46%、「やや不安」と回答した人が34%で、合わせて80%に達した。それに対して、「あまり不安を感じない」が15%、「不安を感じない」が3%だった。
 北海道はこの結果を道の食の安全・安心委員会に報告し、同委員会で今後の対応を決めていく。〔日本農業新聞 2008/12/21〕
●企業動向
●モンサント社が旱魃耐性作物を市場化

 モンサント社が、早ければ2012年に旱魃耐性作物を市場化すると発表した。ブレット・ベーグマン副社長は、作物としては、トウモロコシ、大豆、綿をターゲットにしている、と述べた。〔CNN Money.com 2008/12/3〕