■2009年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アフリカ事情
●南アフリカのGMトウモロコシ収穫できず

 南アフリカ共和国で8万2000haに作付けされたGMトウモロコシが、受粉がまったくないか大幅に減少し、ほとんど収穫できなかった。グレイン南アフリカ社がこの事態を確認し、モンサント社とともに調査に乗りだしている。 〔The Times 2009/3/29〕
 モンサント社は被害を受けた農民に対して4200万ドルの補償金を支払うことを表明した。 〔ロイター 2009/4/2〕

●ウガンダの国立研究施設でGMバナナ放置

 ウガンダの首都カワンダにある国立農業研究所(NationalAgricultural Research Laboratory)のずさんな管理実態が浮き彫りなった。同研究所で試験中の、厳重に管理されなければならないはずのGMバナナが放置され、鳥や猫、ネズミなどに食べられているのが見つかった。〔Sunday Monitor 2009/3/29〕

●ウガンダでGM綿の開発にゴーサイン

 ウガンダ農業省は殺虫性(Bt)綿の研究・開発を許可した。ウガンダ政府は8年間許可を先のばししてきたが、態度を変えたのは、米国国務省・国際開発庁より20万ドルの資金が得られるからで、栽培は2カ所で行われる。 〔New Vision Online 2009/3/4〕

●ナイジェリアがGMキャッサバ野外栽培を承認

 ナイジェリア政府バイオセーフティ委員会は、国立根菜類研究所が行うGMキャッサバの野外試験栽培を承認した。このGMキャッサバは、ベータカロチンを増量したもので、「スーパー・キャッサバ」と呼ばれている。30を越える環境保護団体が、バイオセーフティ委員会には承認する法的根拠がないとして、中止を求めている。〔Pambazuka News 2009/3/12〕
●欧州事情
●EU環境相理事会、GMトウモロコシ栽培禁止を認める

 3月2日、ブリュッセルで開かれたEU環境相理事会は、オーストリアとハンガリーが施行しているGMトウモロコシ栽培禁止措置をめぐる評決で、禁止継続を可決した。対象となったのは、モンサント社の殺虫性トウモロコシ「MON810」と、バイエル・クロップサイエンス社の除草剤耐性トウモロコシ「T25」で、いずれも欧州委員会が承認しており、同委員会は解除を求めていたが、環境相理事会では5カ国の賛成しか得られなかった。〔Deutsche Welle 2009/3/2〕
 また、ルクセンブルクもGMトウモロコシ栽培禁止を決め、ヨーロッパでのGMトウモロコシ栽培禁止国は、フランス、ギリシャと合わせ5カ国となった。〔Greenpeace European Unit 2009/3/23〕

●欧州司法裁判所、GMO試験栽培地の情報公開命じる

 欧州司法裁判所は、GMトウモロコシの試験栽培地を明らかにするよう命じる判決を下した。これはフランス・アルザス在住民が、2004年に情報公開を求めて提訴したもので、今回の判決によって、EUでのGM作物の試験栽培は公開が原則となりそうだ。〔ロイター 2009/2/18〕

●WTOを利用したアゼルバイジャンへのGMO導入工作

 アゼルバイジャンの消費者団体「自由消費者連盟」は、モンサント社がWTOを通して、同国にGM作物を導入させようとしていると発表した。モンサント社は、同国の環境保全農業法の条文に、GM作物栽培を可能にする文言を入れさせようと画策しているという。〔Azerbaijan Business Center 2009/3/12〕

●ベルギーでGM樹木の試験栽培承認

 ベルギーで、GMポプラの野外試験栽培が認められた。このポプラは、バイオ燃料が多く取れるように改造したもので、昨年いったん却下されていた。〔Flanders Institute for Biotechnology 2009/3/3〕
●中南米事情
●ブラジル最大の大豆生産州でGM作付け減少

 ブラジル南西部、最大の大豆生産州であるマト・グロッソ州で、モンサント社のGM大豆の作付けが減少している。農家がGM大豆の収量や味が不安定なことを嫌っているのが理由という。 〔ロイター 2009/3/13〕

●キューバでGMトウモロコシ試験栽培

 キューバがGMO大国化へ向かっている。政府公式筋によると、現在すでに、熱帯性気候でも育つ除草剤耐性や殺虫性トウモロコシの開発を進めており、ハバナにあるバイオテクノロジー&ジェネティック・エンジニアリング・センターの科学者たちによって、中央部サンクティスピリトゥスノ試験圃場の3ヘクタールに栽培されているという。 〔Agence France Press 2009/3/1〕
●北米事情
●米国の大豆栽培農家、相次いでGMから撤退

 米国の大豆栽培農家に変化が起きている。これまで拡大の一途だったモンサント社の除草剤耐性大豆栽培が、縮小に転じ始めた。種子代と除草剤ラウンドアップの値上げに加え、除草剤耐性雑草の広がりによってメリットがなくなり、非GM大豆の価格が上昇したため、GM大豆栽培を止める農家が増えた。すでにGM綿の栽培面積も縮小しており、今後、GMトウモロコシ栽培にも影響が出そうだ。 〔The Organic & Non-GMO Report 2009/3〕

●米国消費者団体等がGM作物新規承認凍結求める

 米国の82の生産者・消費者・環境保護団体が、オバマ政権で新しく農務長官に就任したトム・ヴィルサックに対して、新規のGM作物承認の凍結を求めた。これはブッシュ政権末期に、農務省がGM作物規制の規則を変更すると提案したことを受けて、変更が行われるまで凍結するよう求めたものである。オバマ大統領は、選挙公約にGM食品の表示制度導入を入れており、今後の対応が注目される。 〔Food Navigator 2009/3/23〕

●野生生物保護地域でのGM作物栽培は違法

 約1万エーカーの広さを占める、米国プライム・フック国立野生生物保護地域でGMトウモロコシと大豆が栽培されたことについて、3月24日、連邦地方裁判所は違法という判決を下した。湿地や森林が広がる野生生物保護地域は渡り鳥などの野生生物を保護しているが、そこに500エーカーにわたりGM作物が栽培されていた。〔The News Journal 2009/3/25〕