■2009年6月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●GM作物は非GM作物に比して、決して収量は多くない

 バイテク企業は盛んにGM作物は収量が増えると喧伝しているが、それが事実と異なることが明らかになった。この報告をまとめたのは米国の科学者団体「憂慮する科学者同盟」で、除草剤耐性作物は、大豆もトウモロコシも従来の農法で作られる作物と比較して収量を増やしていなかった。 〔ロイター 2009/4/14〕

●スーパー雑草拡大により、GM作物のメリット失われる

 GM作物に使用する除草剤に耐性を持つスーパー雑草が、米国南部の穀倉地帯で増え続け、農家を苦しませている。特に多いのがアカザ(pigweed)で、農家は他の除草剤を用いるか、従来の非GM作物に戻るか、農業を捨てるか、選択を求められ始めている。〔France24 2009/4/19〕
 米パデュー大学の雑草学専門家ビル・ジョンソンは、除草剤耐性作物がもたらす、除草剤耐性雑草の拡大で農家が利益を失うのは時間の問題だ、と警告を発した。〔Purdue University 2009/4/14〕
●南米事情
●メキシコシティがGMトウモロコシ禁止へ

 メキシコの首都メキシコシティは、GMトウモロコシの流通および栽培を禁止した。Marcelo Ebrard市長が、メキシコ高原トウモロコシ品種保護宣言に基づき発表した。同宣言は地元の固有種の保護を目的に出されたものである。 〔SciDev.net 2009/4/3〕

●ブラジルGM稲導入のための公聴会、参加者全員反対

 バイエル・クロップサイエンス社のGMイネを導入するか否かを問う公聴会が3月18日、ブラジルのコメの70%を生産しているリオ・グランデ・ド・スール州で開催された。公聴会では、農業関連研究大手の企業EmbrapaやIRGA、生産者団体のFederarroz and Farsul などすべての団体が、GMイネ導入に反対する意見を述べた。〔Assessoria e Servi&ccedilos a Projetos em Agricultura Alternativa 2009/4/4〕
●北米事情
●カナダの非GM大豆、米国に代わってアジア市場へ

 4月2日、カナダ・オンタリオ州で大豆生産者を集めた会合が開催された。主催したのは穀物の卸と加工を行っているHuronCommodities社で、会合の中で同社代表のMartinVanderLooが、米国産がほとんどGM大豆になったことにより、代わってオンタリオ州の非GM大豆がアジア市場、とくに日本の豆腐向けなどに市場を拡大している、と述べた。 〔The London Free Press 2009/4/3〕

●米メイン州でGM作物規制法案審議中

 米国メイン州の農業・森林・自然保護委員会は、GM作物の規制を強化する方向で審議を始めた。現在5つの法案を審議しているが、GM作物推進派の強い抵抗で難航している。 〔Bangor Dairy News 2009/4/18〕

●米農相、積極的にGM作物売り込むと発言

 米国ヴィルサック農相は、イタリアで開かれたG8農相会議から帰国した際、ブッシュ時代よりも積極的にGM作物を世界に売り込んでいく、と述べた。現在、その最前線がアフリカで、最近では特にウガンダとケニヤでの動きが活発である。〔The Des Moines Register 2009/4/21〕
●オセアニア事情
●西豪州政府、GMナタネ試験栽培20か所で実施

 西オーストラリア州農業大臣のテリー・レッドマンが、4月15日、GMナタネの試験栽培地20か所を発表した。栽培は17か所の農家と、3か所の試験場で行われ、広さはそれぞれ30〜70ha、全体で854ha。〔Western Australian Department of Agriculture and Food 2009/4/15〕
 この試験栽培をめぐり、緑の党のポール・レウェリンと無所属のアンソニー・フェルスが共同で西オーストラリア州上院議会に提出した、試験栽培差し止めの動議が可決された。しかし、農相がただちにこの動議を無効としたため、予定通り試験栽培は行われる。〔Stock&Land 2009/4/23〕
●アジア事情
●Btナスに反対するインド農民、全国キャンペーン開始

 現在、インドでは、殺虫性(Bt)ナスの安全審査が遺伝子工学承認委員会で行われている。しかし、まだ多くのデータが必要、とする見解を同委員会のメンバーが述べており、承認の先行きは不透明である。〔Financial Chronicle 2009/4/16〕
 このBtナスに反対する全国キャンペーンが4月2日、スタートした。その日、市民団体「食品安全同盟」の呼びかけに応えて、タミール・ナドゥ州農業大学で始まろうとしているGMトウモロコシの試験栽培に反対する農民が集まり、同大学で抗議行動が取り組まれた。それを期してキャンペーンはスタートした。〔Ground Reality 2009/4/4〕