■2009年6月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●アフリカ事情
●続々とGM作物栽培試験のすすむウガンダ

 ウガンダ政府の公式筋によると、Bt綿が5月と6月に異なる圃場で栽培されることになった。モンサント南アフリカ社のビジネス展開マネージャーのダニー・オリビエは、この試験栽培は3つの連続した季節で行われると述べた。 〔The New Vision 2009/4/22〕
 ウガンダ国立農業研究機関は、スス病菌が引き起こす黒斑点病に抵抗力のあるGMバナナの開発に取り組んでおり、カワンダで試験栽培を行っている。〔The New Vision 2009/4/29〕

●国の機関主導ですすむ、ケニヤのGM作物栽培試験

 ケニヤ綿開発局の最高責任者代理は、ケニヤ農業研究所で来年1月から始まる、同国初のBt綿の試験栽培の準備が整ったと述べた。 〔Business Daily 2009/5/7〕
 またケニヤ農業研究所は、穿孔性の病害虫対策となる、より強力な殺虫毒素を持つBtトウモロコシの試験栽培に取り組むことを発表した。〔Africa Science News Service 2009/4/30〕
●GMOフリー
●西オーストラリア州でGMOフリー地方自治体が拡大

 GMナタネの試験栽培が始まろうとしている西オーストラリア州で、GMOフリーを宣言する地方自治体(shire)が増えている。これは同州農業大臣が、宣言地域では試験栽培を回避する発言をしたためで、新たに Nannupが宣言を行うことを決め、同州のGMOフリー地方自治体は15に達した。 〔Donnybrook-Bridgetown Mail 2009/4/9〕

●有機農業の町宮崎県綾町、GM作物栽培禁止を条例に

 3月21日、有機農業の町として知られる宮崎県綾町が、有機農業推進のために制定された「綾町自然生態系農業の推進に関する条例」を改正し、GM作物栽培禁止の文言を追加した。綾町憲章「自然生態系を生かし育てる町にしよう」という基本理念をふまえ、化学肥料・農薬を追放、食の安全を追求する、などの項目と並んで、GM作物の栽培を行わない、という項目を加えた。
●クローン
●韓国でGMミニブタからクローン作製

 4月22日、韓国科学省は、同国の科学者チームが臓器移植用のGMミニブタのクローンを作製した、と発表した。これは心臓などを人間に移植するために改造したGMミニブタの体細胞を用いて作り出したもので、同省は人間への臓器移植へ道を開くものだと述べている。 〔Joon Ang Daily 2009/4/23〕
●省庁動向
●厚労省、遺伝子治療2件を新たに承認

 4月15日、厚労省の科学技術部会が開かれ、遺伝子治療実施計画2件が新たに承認された。脳腫瘍の一種である膠芽腫に対する東京大学医学部付属病院の計画と、白血病やリンパ腫などの造血器悪性腫瘍に対する国立がんセンターの計画である。遺伝子導入のためのベクター(運び屋)には、ヘルペスウイルスとレトロウイルスがそれぞれ用いられる。マスコミに取り上げられなくなった遺伝子治療だが、これまでに24件の計画が承認され、着実に実施件数を伸ばしている。治療効果こそ上がっていないものの、そこで培われた遺伝子導入の技術は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などの最新テクノロジーに流用されている。

●農水省GM作物栽培指針変更せず

 4月28日、農水省の「第1種使用規定承認組換え作物栽培実験指針検討会」が開かれ、交雑距離などの最新の試験結果を基に改定が必要かどうかが議論された。現行指針では交雑防止のための隔離距離として、イネ30メートル、大豆10メートル、トウモロコシ600メートル(防風林がある場合は300メートル)とそれぞれ定められている。農水省所管の独立行政法人が2008年度に実施した試験結果では、イネでは45メートル地点で0.001%の交雑が、トウモロコシでは750〜800メートル地点で0.057%の交雑が確認された。しかし、検討会では、@大規模な試験にすれば交雑が完全にゼロになることはない、A栽培時期をずらすことも有効、という2つの理由から指針の交雑防止距離の改定は必要なしとの結論を下した。


●GMO承認情報
表1 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
トウモロコシ アリルオキシアルカノエート系除草剤耐性トウモロコシ ダウ・ケミカル日本株式会社 DAS40278, OECD UI : DAS-40278-9 2009年4月30日
トウモロコシ アリルオキシアルカノエート系除草剤耐性トウモロコシ ダウ・ケミカル日本株式会社 DAS40474, OECD UI : DAS-40474-7 2009年4月30日
ダイズ チョウ目害虫抵抗性ダイズ 日本モンサント株式会社 MON87701, OECD UI : MON-87701-2 2009年4月30日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリサート耐性トウモロコシ ダウ・ケミカル日本株式会社・日本モンサント株式会社 MON89034×B.t. Cry1F maize line1507×MON88017×B.t. Cry34/35Ab1 EventDAS59122-7, OECD UI : MON-89034-3×DAS-01507-1×MON-88017-3×DAS-59122-7 2009年4月30日
イネ 高トリプトファン含量イネ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 KPD627-8 2009年4月30日
イネ 高トリプトファン含量イネ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 KPD722-4 2009年4月30日
イネ 高トリプトファン含量イネ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 KA317 2009年4月30日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。