■2009年10月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●除草剤耐性雑草の拡大止まらず

 除草剤ラウンドアップに耐性をもつ雑草のパーマーアカザの拡大が止まらない。アーカンソー州だけで綿花畑25万エーカー(10万ha)の半分、その他の畑を加えると75万エーカーの畑が雑草に侵食され、テネシー州では、ミシシッピー川に面した地域を中心に50万エーカーに広がった。その結果、綿の収量は3分の1に落ち込み、雑草を除去する費用は2〜3倍増えている。 〔Memphis Commercial Appeal 2009/8/9〕

●Bt綿によって悪臭を放つ害虫が増加

 Bt綿が原因と見られる悪臭を放つ小さな害虫が増加し、野菜、果物、ナッツ類へダメージをもたらしている。原因は、Bt綿の対象害虫であるワタミゾウムシが殺虫毒素によって減少したため、対象外の害虫が増加したものと思われる。 〔Foster Folly News 2009/8/10〕
●北米事情
●米国、除草剤耐性アルファルファ栽培の道閉ざされる

 米国では、今年度の除草剤耐性アルファルファ栽培の道が閉ざされた。環境影響評価が不十分だとして、裁判所は栽培停止命令を出し、それを不服とするモンサント社が上告していたが、このたび上告が棄却された。すでに一部の農家が栽培し収穫を進めているが、花粉の飛散による交雑等の汚染が許されない状況になった。〔Capital Press 2009/7/17〕

●科学者が独立した研究へのGM種子使用求める

 米国の科学者たちはバイテク企業に対して、研究にあたっては、制約の少ない形でのGM種子の使用を認めるよう求めた。現在は入手する際、厳格な契約が求められ、GM種子を使った自由な研究ができない。〔The News Journal 2009/8/9〕

●オバマ政権へ続々とモンサント人脈

 7月27日、国際食料政策研究所は、米国国際開発庁(USAID)が支援するバイオセーフティ・システム計画のディレクターに、元モンサント社の国際政府担当ディレクターの、ジュディス・チェンバースを任命した。同計画は現在、GM作物のアフリカ諸国への売り込みをはかっており、彼女は、その最前線に立つことになる。
 さらに7月7日オバマ政権は、モンサント社の公共政策の副代表マイケル・R・テイラーを食品医薬品局(FDA)の要職に据えた。テイラーは、政府要職とモンサント社を行き来する「回転扉」と呼ばれる人物で、かつてFDAの要職にあった際、モンサント社が開発した牛成長ホルモン剤を認可し、しかも表示を認めなかったことから、世界的に問題となったことがある。オバマ政権はこの人物をGM食品のアフリカ諸国への売り込みに用いる予定である。
 これによって、ロックフェラー財団とビル・ゲイツ財団が資金を支援し、モンサント人脈が先頭に立ち、アフリカ諸国への食料売り込みシフトが整ったといえる。〔Forbes 2009/8/12ほか〕

●製紙会社がGM樹木認可求める

 世界最大のパルプ製紙企業のインターナショナル・ペーパー社とニュージーランド・ルビコン社の合弁会社は、GM樹木の栽培認可を米国農務省に求めた。樹木はオーストラリアで開発されたGMユーカリとみられる。2009年8月号で報告した、134ha26万本のGMユーカリ栽培計画に次ぐものである 〔Bloomberg 2009/8/28〕
●南米事情
●GM作物栽培で逆に農薬使用量が増加

 GM作物を導入しているウルグアイとブラジルで、GM推進派の主張とは逆に、農薬の使用量が増えているという。ブラジルではGM大豆、トウモロコシ、サトウキビ、綿などの栽培で、2008年は67万3862トンの農薬が使われたという。ウルグアイでは2002年から2008年にかけて除草剤、殺虫剤、殺菌剤の輸入が258%増加(5336トンから1万3770トンに)したという。 〔Biodiversity Report, CIP Americas Program 2009/8/17〕
●アフリカ事情
●GMO政策で揺れるエジプト

 GM作物の作付け国となったエジプトが、その対応に揺れている。8月12日、農業大臣アミン・アバザが、GM作物は輸入も輸出もしない、と述べた。これは国営中東通信の取材に対して語ったもので、とくに小麦、トウモロコシ、大豆に関しては、非GM品種である必要がある、と述べた。同国は、ロシア産小麦を品質上に問題があるとして輸入を拒否して以来、国会が食糧自給と厳しい規制を求めており、それがこの発言をもたらしたとみられる。 〔ロイター 2009/8/12〕
 しかし、翌日大臣は国営中東通信に対して「輸入を禁止することはあり得ない」として、前言を翻した。〔ロイター 2009/8/13〕
●欧州事情
●EUで医薬品生産用GM作物の指針作成開始

 欧米では、下痢止めの成分などをGM植物に作らせ、医薬品として販売する「植物細胞工場」の開発が進んでいる。EUでは、その医薬品生産用GM作物について、開発研究者と欧州食品安全庁(EFSA)が共同で、リスクアセスメントのための指針づくりが始まった。そこでは、このGM作物が人間、動物、環境にどのような影響をもたらすか、事前に評価することが求められる。日本では、このような指針は存在しない。〔Nature News 2009/8/7〕

●アジア事情
●ベトナムは規制不備のままでGM作物導入か?

 ベトナム自然資源・環境大臣のグエン・スアン・クオンは、GM作物を導入することとバイオテクノロジーの規制や安全管理はセットである、と述べた。しかし、ベトナム政府は規制が不備なままGM作物を導入する可能性があり、高名な植物防疫学者のグエン・バン・カイ博士は、このまま導入されると人々の健康や環境への影響が懸念される、と述べた。 〔Viet Nam News 2009/8/29〕

●Bt綿増加のインドで、オーガニック綿増産打ちだす

 Bt綿が増える一方のインドで、政府は有機農業を推進し、有機農作物の輸出を増やす方針を打ちだした。2012年までに10億米ドルの売り上げを目標に掲げ、輸出に力を入れていこうというもの。その輸出額の25%をオーガニック綿が占める予定である。 〔My News 2009/8/27〕

●インドネシアがGM大豆混入の輸入品を拒否

 インドネシア政府・食品医薬品局は、GM大豆が混入している可能が高い米国産農産物の輸入を拒否した。GM作物は生物学的に危険性が疑われており、安全性を確認する必要がある、というのがその理由である。〔Viva News 2009/8/25〕