■2009年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
●GMカボチャに新たな問題

 GMカボチャの新たな問題が明らかになった。ペンシルバニア大学のアンドリュー・スティーヴンソンらの研究チームにより、ウイルスへの抵抗力をもつこのGM作物が、細菌感染しやすいことがわかった。GMカボチャは現在、米国だけで商業栽培・流通している。〔Pennsylvania State University 2009/10/26〕

●米国で耐性害虫の増大リスク高まる

 米国では、殺虫性トウモロコシを栽培する際、一定の割合で通常のトウモロコシを植え、虫の避難スペースをつくり耐性害虫を防止するルールがある。しかし、25%の農家がルールを守っていないと、民間のシンクタンク「公益科学センター」が明らかにした。センターのまとめによると、数年前から避難スペースをもうけない農家が増え始めており、このままだと耐性害虫が爆発的に増えかねないという。 〔The New York Times 2009/11/5〕

●病気を引き起こす可能性のある高リジン・トウモロコシ

 世界的にモンサント社の高リジン・トウモロコシは撤退傾向にあるが、にも関わらずニューシーランドでは販売が続いている。現在は飼料用途で用いられているが、食品に混入した場合、癌や糖尿病、アルツハイマー病を引き起こす可能性があると、カンタベリー大学バイオセーフティー総合研究センターは指摘している。〔Stuff 2009/11/2〕
●GMOフリー
●アイルランドがGMOフリーへ

 アイルランド連立与党は、あらゆるGM作物の栽培を禁止し、厳密な食品表示を導入することに合意し、GMOフリー政策をとる方針を固めた。表示では、GM飼料を用いていない食品も対象に含め、EUの表示よりも厳格になっている。 〔GM Free Ireland Network 2009 10/13〕
●欧州事情
●ポーランド政府がGM作物栽培規制へ

 ポーランド政府は、GMOフリーゾーンを認め、GM作物の栽培・流通を規制する、GM作物規制法案を議会に提出することになった。これは欧州委員会の加盟各国独自のGM作物栽培禁止政策容認(前号参照)を受けたもの。 〔Polskie Radio 2009/10/15〕

●英国で科学者がGM作物推進の声明

 英国王立協会と政府系科学者が共同で、GM作物の推進を求めた。もともと両者ともGMO推進の立場だったが、あえて声明を発表したのは、反対が根強い市民の考え方を変えるのが目的と見られている。
〔The Times 2009/10/20〕
 この声明に対して、環境保護団体などの反発が強まっている。とくに声明に盛り込まれた、GM作物が飢餓を解決するという意見に批判が集中している。〔The Daily Telegraph 2009/10/21〕

●トルコがGM作物輸入禁止へ

 トルコ政府が、GM作物が用いられているすべての食品や飼料の輸入を禁止する規則を作成した。同国は、米国にとって27番目に大きな輸出国である。〔Wisconsin Ag Connection 2009/10/30〕

●ローマ法王庁とカメルーン司教が異なる見解

 ローマ法王庁の公式筋が改めて、バイオテクノロジーはアフリカの農業を変え、飢餓から人々を救済すると述べた。 〔Catholic News Service 2009/9/29〕
 この見解は法王庁が繰り返し述べてきたことだが、現場は異なるようだ。アフリカ司教会議では、カメルーンの司教がGM作物のような環境や健康への長期的な影響が明確でないものの導入を急ぐべきではないと述べ、アフリカへの導入に反対の意向を表明した。〔Catholic News Service 2009/10/8〕
●アフリカ事情
●ウガンダでGM綿の試験栽培開始

 ウガンダの国立セミ.アリッド資源研究所で、2種類のGM綿、除草剤耐性綿と殺虫性(Bt)綿の試験栽培が始まった。 〔The Monitor 2009/10/14〕

●ケニア農相、GM作物を輸入せずと明言

 GM作物を導入するか否かでゆれているケニアで、農業大臣ウイリアム・ルトが新聞記者の質問に答えて、「GM作物については、研究は進めるが輸入はしない」と明言した。 〔Business Daily 2009/10/6〕

●南アフリカ政府がGMジャガイモを拒否

 アフリカ最大のGM作物栽培国、南アフリカ政府の行政会議は、農業研究協会が要求していたGMジャガイモの試験栽培を拒否した。行政会議は拒否理由について、生物学的安全性や社会的・経済的そして農業方法に与える影響を懸念したものである、と述べている。〔African Center for Biosafety 2009/10/15〕

●エチオピアの規制法がGM作物輸入の歯止めに

 エチオピアでつくられたバイオセーフティー法が、GM作物輸入の障壁となっている。施行後4カ月たつが、米国はエチオピアに、トウモロコシや大豆などを輸出できなくなった、と米国際開発庁の公式筋は語っている。〔Fortune 2009/11/1〕