■2009年12月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●南米事情
●ペルーがGM種子使用禁止

 ペルーの環境大臣アントニオ・ブラックが記者会見で、2014年までGM種子の使用を禁止すると述べた。同時に、まもなく政府が農業バイオセーフティ規則を作り、適用を開始すると述べた。 〔Living in Peru 2009/9/30〕

●ブラジルが3種類のGMトウモロコシを承認 

 ブラジルのGMO規制局が3種類のGMトウモロコシの栽培・流通を承認した。2品種は、モンサント社とシンジェンタ社が開発した、いずれも除草剤耐性と殺虫性の2つの性質を併せもつタイプで、もう1品種は、シンジェンタ社が開発した殺虫性である。これによりブラジルが承認したGMトウモロコシは9品種となり、栽培面積がさらに拡大する可能性が出てきた。 〔ロイター 2009/9/17〕

●メキシコがGMトウモロコシを承認

 メキシコ政府が10月15日、初めてGMトウモロコシの商業栽培を承認した。今回承認したGMトウモロコシは2種類だが、農業省は具体的な品種については発表していない。栽培に当たっては、トウモロコシの原生種がある州での作付けは禁じられた。 〔ロイター 2009/10/15〕
 これに反対して環境保護団体などが抗議行動を行った。グリーンピースは、メキシコシティでもっとも有名な独立の女神像や勝利の柱に抗議の旗を掲げた。〔CNN 2009/10/20〕
●北米事情
●ビル・ゲイツ財団、アフリカのGM作物導入促進に資金提供

 アフリカへのGM作物開発に資金提供してきたビル・ゲイツ&メリンダ財団が、新たにミシガン州立大学に5年間で1040万ドルを寄付する。同大学では今後、アフリカ諸国がGM作物を導入するようバイオセーフティ規則を作成させるなど、各国政府農業省に働きかけていく。〔The State News 2009/10/18〕
●遺伝子組み換え花卉
●青いバラ販売開始

 11月3日、サントリーは、GM技術で開発した青いバラ「SUNTORY blue rose APPLAUSE」の首都圏、名古屋、関西地区での発売を開始した。このバラは、サントリーと農研機構花き研究所が共同開発したもの。バラは挿し木で増えるため、GM生物の野放しの拡大を招きかねず、生物多様性への影響が懸念される。
●クローン
●クローンペット・ビシネス挫折

 米国ベンチャー企業のバイオアーツ社がクローン事業からの撤退を表明した。理由は、元のペットと毛の色が異なってしまうことに加えて、奇形が多く依頼主からのクレームが多かったため。毛の色は、遺伝ではなく胎内環境で決定されるため、クローン・ペット産業のネックとされていた。 〔Bio Arts 2009/10/9〕
●ES細胞
●ES細胞論文捏造事件に判決

 人の体細胞クローン胚からES細胞作製に成功したという論文を捏造し、研究費横領などの罪に問われていた、元ソウル大学教授の黄禹錫に 対して、10月26日、ソウル地裁は懲役2年、執行猶予3年を言い渡した。判決文は、科学的な研究目的といえども法的範囲を逸脱した罪は重いとしている。 〔聯合ニュース 2009/10/26〕

●万能細胞からの生殖細胞作製、文書による説明必須に

 10月29日、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)など、万能細胞からの生殖細胞作製の是非を検討している文科省の作業部会が開かれた。この日は細胞提供者から得るインフォームド・コンセント(IC:説明に基づく同意)について話し合われた。今後、万能細胞を作製するにあたって、そこから生殖細胞を作る可能性がある旨をICの説明用紙に記入する、との方針で合意がなされた。
 問題となったのは、すでにあるヒトiPS細胞の研究利用である。これまでは生殖細胞の作製は想定してないので、その旨の説明はしないで細胞提供者からICを得ている。事務局案は、提供者がわかる場合は改めてICを得て、わからない場合は機関内倫理委員会の承認で使える、というものだった。東京大学医科学研究所教授・中内啓光は、「これから作ろうというのは“生殖細胞もどき”で、(受精させて)試せないのだから生殖細胞として機能するかわからない。それを必要以上に複雑にしてもしょうがない」と、あくまでも手続きの簡素化を訴えた。だが、機関内倫理委員会の承認のみで使うことに対し、複数の委員から慎重論が出され、結局継続審議となった。
●企業動向
●投資家がスマート・スタックに懸念

 モンサント社が、次世代GM作物の切り札の1つとして開発した、多くの遺伝子を導入した「スマート・スタック」トウモロコシが、投資家の間で懸念を強めている。米国ICCR(Interfaith Center on Corporate Responsibility)という投資家から集めた1000億ドル以上を扱う団体が懸念を示しており、裁判所に栽培停止を命じられたGMテンサイの二の舞となるのでは、というのがその理由である。 〔PR Newswire 2009/10/8〕


●モンサント社の収益さらに悪化

 モンサント社の収益はこのところ減少傾向にあるが、8月末までの第4四半期はさらに減少し、損失が拡大したと、同社が発表した。ラウンドアップの特許切れで、他社が開発したものまね製品が普及していることが最大の原因である。 〔AP通信 2009/10/7〕
 しかし、モンサント社の強気の姿勢は変わっていない。今後温暖化の影響を受け、特にアフリカで、旱魃などに対応したGM作物が増えると予測している。たとえばブルキナファソは、今年Bt綿の作付けが12万9000haだったが、来年は倍増する計画だという。〔Bloomberg 2009/10/9〕