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scarcely...when...

英文

Certainly, I know him, I said, for he was remarkable even then when he was still a child, and I should imagine that by this time he must be almost a young man.
You will see, he said, in a moment what progress he has made and what he is like.
He had scarcely said the word, when Charmides entered.

翻訳作業

Certainly, I know him, I said, for he was remarkable even then when he was still a child, and I should imagine that by this time he must be almost a young man.

I said を抜いて考える。
Certainly, I know him,

「確かに、私は彼を知っている」

for he was remarkable even then when he was still a child,

この when は〔関係副詞〕だろうか、それとも、〔接続詞〕なのか。
内容から考えると、even は then を修飾して「そのときでさえ」「そのときもうすでに」。「そのとき」とは「彼がまだ子供のとき」。〔関係副詞〕の可能性が高そう。
先行詞は、〔名詞〕が原則なので、then は〔名詞〕だろうか。then には、〔名詞〕と〔副詞〕の用法がある。
he was remarkable even then で文ができるとすれば、then は〔副詞〕であろう。even は〔副詞〕でも、〔名詞〕でもお構いなしに修飾してくる〔副詞〕なので、こちらの方から then を〔副詞〕と決定することはできないが、これを除いて、he was remarkable then だとすると、then が〔名詞〕の目は薄くなる。やはり〔副詞〕が常識的。
そうすると困るのが、先行詞が〔名詞〕ではなくなってしまうということだ。これは、then=at that time と考え、that time のみ〔先行詞〕とでも考えばよいのか。
まあ、そんなことにしておこう。
「というのは、彼はまだ子供のときでさえ、注目に値した」

and I should imagine that by this time he must be almost a young man.
この should は何だろう。〔義務〕?〔当然〕?〔推量〕?。
「そして、(ちょうど)いまごろ(まで)には、彼はほとんど若者になっているに違いない、と想像すべきである」

You will see, he said, in a moment what progress he has made and what he is like.

, he said, を除外して考える。
You will see (in a moment) what progress he has made and what he is like.

in a moment は、will see を修飾する副詞句(「すぐに→分かる」)だが、これも除外すると、see の〔目的語〕が、what progress...is like だと分かる。
この目的語の節2つは、間接疑問。直接疑問に直すと、
What progress has he made? What is he like?
「彼はどんな進歩をしたか」「彼はどんな様子」
英語の感嘆文は、間接疑問の語順とほぼ同じになる。whatの感嘆文は、単数で a(n) が入るので少し異なるし、単独では感嘆符がつくので、あまり考えることはないが、このような間接疑問の時には、「間接疑問ではなく感嘆文をくっつけたのでは?」と思うことがある。日本語で考えてみても、文の一連文節として使われている間接疑問と感嘆文の違いは、ないときがある。例を挙げて説明すると分かるのだが、これはここまでにしておいて、英文に戻ろう。
間接疑問を感嘆文のように訳したほうが、より鮮明に意味が取れるときがある。
まあ、ここはどっち付かずで……。
「彼がどんな進歩をしたか、彼がどのような人物か、あなたはすぐに分かりますよ」

He had scarcely said the word, when Charmides entered.

scarcely 〜 when[before]... は、hardly 〜 when[before]... と同じで、「〜するとすぐに…」「〜するかしないかのうちに…」第3回に出てきた no sooner...than 〜 や、as soon as..., 〜. などと同じような意味を表すことができる。もちろん書き換え問題にも応用される。
scarcely は「ほとんど〜ない」なので、「カルミデスが入って来たとき、彼(クリチアス)は、ほとんど言葉を発しなくなった」つまり、「(何らかの理由で)無口になった」の可能性があるのかも? と思った。まあ、コンマもあることだし(この理由に確実な根拠はない)
しかし、the word と、the が付いているので、具体的な言葉のはず。さらに、主節の時制は had said と〔過去完了〕、従属節は entered と〔過去形〕になっている。ということは、主節が先の動作で、従属節は後の出来事ということを表している。やっぱり、「〜するかしないかのうちに…」がふさわしい。
この表現は、どうやってできているのだろう。言われている日本語の意味になるように導いてみる。
「カルミデスが入って来たとき、彼(クリチアス)はその言葉を言うのをほとんど完了していなかった」が直訳だろう。先ほど述べた「主節が従属節より先」というのは、厳密には間違いとなる。なるほど、そうできてるのか。
ということで、「彼(クリチアス)が、その言葉を言い終わるか終わらないかのうちに、カルミデスが入って来た」

暫定日本語訳

ソクラテス:
ああ、確かに知っている。彼は子供のときから優秀で、注目されていたからな。立派な若者になっていても不思議はない。
クリチアス:
彼はいかに成長したか。また、どのような男か。すぐに分かりますよ。
ナレーター(ソクラテス):
クリチアスのその言葉が終わるか終わらないかのうちに、カルミデスが中に入って来た。

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