Chick Tack 英語5文型  >  ある英語学習者の英文解釈日記  >  カルミデス034

the+形容詞

英文

Are you right, Charmides? I said. No doubt some would affirm that the quiet are the temperate; but let us see whether these words have any meaning; and first tell me whether you would not acknowledge temperance to be of the class of the noble and good?
Yes.
But which is best when you are at the writing-master's, to write the same letters quickly or quietly?
Quickly.
And to read quickly or slowly?
Quickly again.
And in playing the lyre, or wrestling, quickness or sharpness are far better than quietness and slowness?
Yes.
And the same holds in boxing and in the pancratium?
Certainly.

翻訳作業

Are you right, Charmides? I said. No doubt some would affirm that the quiet are the temperate;

No doubt... の部分は、
There is no doubt that some would affirm that the quiet are the temperate. の There is と that の省略であろう。There is no doubt that... で「……は疑いない」「きっと……であろう」。名詞doubt と that節は、〔同格〕であると説明されることが多い。となると、that節 は、〔名詞節〕。「that節という疑いはない」ということになろうか。
Some V.... の英文は、「何人かの人は……Vする」という構文だが、私はよく、「……する人もいる」と訳す。Some..., others.... という形もよくみられるが、「何人かは……、他の人は……」より「……する人もいれば……するひともいる」と訳すとすっきりする。
affirm の〔目的語〕が that節。that節中の〔主語〕は、the quiet 、quiet は〔形容詞〕で〔主語〕になれないはずだが、“the+形容詞”で、“形容詞 people”を表す。同様に〔補語〕の the temperate も「節度ある人々」か。それならば、are が is ではない説明がつく。「静かな人々は節制の徳を持つ人々です」。
“the+形容詞”が「形容詞なこと」「形容詞なもの」という意味になる使い方もあるが、通常〔単数扱い〕になるので、それならばbe動詞は is になるはず。よって却下。
「君は正しいですか、カルミデス。静かな人々が節度ある人々だと主張する人がいることは疑いがない」

but let us see whether these words have any meaning; and first tell me whether you would not acknowledge temperance to be of the class of the noble and good?

let us see whether... で、「私たちに……かどうか分からせなさい」という〔使役〕。
whether節を、直接疑問にすると、
Do these words have any meaning?「これらの言葉に何か意味はありますか」
acknowledge には、“acknowledge+O+to be+C”という使い方がある。「OをCだと認める」
of the class は、“of+名詞”で〔形容詞句〕となり〔補語(C)〕となっている。of the class of the noble「高貴な階級に所属の(もの)」。もう一つの〔補語〕は、good。
「しかし、これらの言葉に意味があるのかどうか私たちに分からせてくれ。そして、最初に、君が節制とは高貴な階級に所属していて善いものだと認めていないのかどうか、私に教えてくれ」

Yes.

「はい、高貴で善いものに入ります」

But which is best when you are at the writing-master's, to write the same letters quickly or quietly?

which is best は、which is better でも同じであろう。“Which is better, A or B?”「AとBではどちらがよりよいですか?」
at the writing-master's とは何だろう。後ろの内容を考えると、「作文やつづり方の師匠のところ」であろうか。
「でも、文章の書き方教室で、同じ手紙を書くときに、速く書くのと静かに書くのでは、どちらが一番いいですか」

Quickly.

「すばやい方がいいです」

And to read quickly or slowly?

to read とあるのは、先ほどの to write the same letter を意識してのこと。ということは、「文章の書き方教室で、同じ手紙を読むのに」ということなのだろうか。それとも「別の本を読むのに」ということだろうか。前者と考えるのが普通であろう。 「では、速く読むほうがいいか、ゆっくり読むほうがいいか」

Quickly again.

そうかなー? こちらは速すぎたら、聞いているほうは分かりにくいし、読んでいる者自信も内容を理解できないかもしれない。多分、これは一人で読んで一人で理解する黙読のほうであろう。そして、速く読んでも遅く読んでも、理解度は同じという条件がつくのであろう。それならば、速い方がいいに決まっている。
「こちらも、はやい方です」

And in playing the lyre, or wrestling, quickness or sharpness are far better than quietness and slowness?

far は〔比較級〕を強めて「はるかに」「ずっと」「もっと」。
この文の〔主語〕は、quickness or sharpness。通常 or でつながった語句が〔主語〕となる場合、〔動詞〕の形は後ろの方の〔主語〕に一致させる。この場合は、sharpness は数えられない名詞なので、後ろのbe動詞は、is のはず。
quickness or sharpness を、quickness and sharpness のように感じて、are としたのかも知れない。
「そして、リラを演奏するときやレスリングをするときには、すばやさ、または、鋭さは、静寂と緩慢より、はるかにまさっていますか」

Yes.

「はい、そうですね」

And the same holds in boxing and in the pancratium?

動詞hold には、「適用できる」「当てはまる」「有効である」という使い方がある。
pancratium は、私の調べた数冊の英和・英英にはなかった。今はもうないのかも知れないが、日本にパンクラスという総合格闘技の団体があった。なので、「格闘技」と訳しておく。 「ボクシングや格闘技をするときにおいて、同じことが当てはまりますか」

Certainly.

「はい、確かに」

ようやく、哲学問答が始まった。
手紙を書くときの、「静かに書く」と「すばやく書く」は、比較のしかたが間違っているように思う。
楽器演奏に関しては、少し異論がある。すばやくて鋭いのは、超絶技巧といって、確かに演奏効果は高い。人間離れした演奏には、圧倒される。しかし、ゆっくりと叙情たっぷりに演奏される音楽もまた、感動を誘う。一概に「はやい方がよい」とは決め付けられないのでは。ただしこれは、「quietness が常に良い」という説明にはなっていないので、ソクラテスの言っている事は説得力がある。ソクラテスは「quietly とか quietness はいつも良い」という論を否定するために述べているのだから。

暫定日本語訳

ソクラテス: それでいいかい、カルミデス。
平静を保っている人は節制の徳を持っている人だ、と言う者がいることは疑いないだろう。しかし、これらの言葉に意味があるのだろうか。まず最初に教えてくれ。節制とは高貴な部類に入っていて、善ではないのかい。
カルミデス: はい、高貴な部類に入って、善だと思います。
ソクラテス: でも、君が文章の書き方講座に出ているとしたら、同じ手紙を速く書くのと静かに書くのでは、どちらの方がいいかな?
カルミデス: すばやい方です。
ソクラテス: それでは、同じ手紙を、速く読むのと静かに読むのではどちらがいいかな?
カルミデス: こちらも、すばやい方です。
ソクラテス: では、リラを演奏するときやレスリングをするときを考えてくれ。その場合、静かにゆっくりやるよりも、すばやく鋭くやった方がはるかにいいのではないかい。
カルミデス: はい、そうです。
ソクラテス: そして、ボクシングや格闘技をするときにも、同じことが言えるのではないかい。
カルミデス: はい、確かに。

カルミデス033 に戻る    カルミデス035 に進む

すぐに書ける即戦力、しっかり書ける英語力が身につく! 「ビジネスEメール速習パック ライティングエイド」

【業務連絡】明日は休む

Chick Tack 英語5文型  >  ある英語学習者の英文解釈日記  >  カルミデス034

© 2005 Chick Tack 20051008