In order, then, that I may form a conjecture whether you have temperance abiding in you or not, tell me, I said, what, in your opinion, is Temperance?
At first he hesitated, and was very unwilling to answer: then he said that he thought temperance was doing things orderly and quietly, such things for example as walking in the streets, and talking, or anything else of that nature.
In a word, he said, I should answer that, in my opinion,
temperance is quietness.
In order, then, that I may form a conjecture whether you have temperance abiding in you or not, tell me, I said, what, in your opinion, is Temperance?
then と I said, in your opinion を除いて書き直してみると、
In order that I may form a conjecture whether you have temperance abiding in you or not, tell me what is Temperance?
“in order that S’may...”は「Sが……できるように〜」。現在では、堅い書き言葉で使われる。“so that S’may...”“that S’may...”などは、よくある。so that...の方の that が省略され(?)、“so S’can...”となった形もある。いずれも〔目的〕を表す〔副詞節〕を導く。〔主節〕は別にある。
In order...not, までが、この〔副詞節〕、正確には、that以後は order の同格の〔名詞節〕で、in order が〔副詞句〕なのであろうが……。
tell me...? が〔主節〕。
whether は、疑問詞を使わない〔間接疑問〕の〔接続詞〕。後方の or not と〔呼応〕している。これは、第31回の表題。
abiding in you は、〔現在分詞〕の〔形容詞(的)用法〕。「あなたの中に宿っている」。ん? 「あなたは、あなたの中に宿っている節制を持っている」。意味は分かるけど……。have が〔使役〕ならどうだろう。〔原形不定詞〕ではないけれど、have ならば〔現在分詞〕も〔目的格補語〕とできた。
そう考えると、“S+have+O+現在分詞”で、「SはOに現在分詞させておく」だから、you have temperance abiding in you で「あなたは節制をあなたに宿させている」という意味になる。いいねー。
主節の方の、what is Temperance も〔間接疑問〕。what は先行詞を含む関係代名詞ではないだろう。
「それでは、君は君自身の中に節制の徳を宿しているのか、いないのか、私に推測を形成するために、言ってくれ。君の意見では、節制とは何か」
At first he hesitated, and was very unwilling to answer: then he said that he thought temperance was doing things orderly and quietly, such things for example as walking in the streets, and talking, or anything else of that nature.
“be willing to不定詞”で「喜んで〜する」。“be unwilling to不定詞”は「〜する気がしない」。
doing things orderly and quietly は、〔動名詞〕に導かれる〔名詞句〕。〔主格補語〕となっている。
“such+名詞+as...”は「……するような名詞」。such は〔形容詞〕で、as は〔(擬似)関係代名詞〕。ここからできたのではないか。“such A as B”。「BのようなA」。for example を抜いて考えると、はっきりと分かる。
such things 以後は文の体裁を整えていない。was doing things の things を詳しく説明している箇所と思われる。
anything else。「他の何か」なら、something else を使うのではないか。否定でも疑問でもないので、「他のどんなことでも」とみた。
that nature は、「節制の本性・性質」だと思う。of は「所有」「所属」が基本なので、「節制の本性に所属する(行動)」という意味に取った。
「最初彼はためらい、かなり答えたくなさそうだった。それから、節制とは、例えば通りを歩くとか、話すとか、その本性のほかの何かのように、きちんと静かに物事を行うことだ、と思うと言った」
In a word, he said, I should answer that, in my opinion,
temperance is quietness.
I should answer that temperance is quietness. という文が基本的骨組みを表す部分。あとの in a word, in my opinion は、自分の好きなところで訳す。
in a word は「要するに」「一言で言えば」「つまり」。
もうすでに、何度も出ているが、temperance は、「節制」と訳してきた。さて、quietness は、どうしよう。「静けさ」「静寂」「平穏」「平静」「落ち着き」「地味」。英和辞典を引く前には、「静かさ」としていたが、ここは哲学用語ともなるべき語なので、慎重に。かえって迷ってしまう。きりがないので、「どっち、どっち、えーべっさん……」。他のことをしているときに、ふと「つつしみ深さ」というのが、いいかなーと感じたが、後の部分をチラッとい見てみると、「静かさ」がもっとも話には合う。少なくともソクラテスは、そのように話を持っていこうとしているようにみえる。
思い切って、伝統とは無縁に、temperance を「節度」にしてしまい……。思い切れない。
「一言で言いますと、私の意見では、節制は平静だと答えるべきです」
ソクラテス:
それでは、君の中に節制が宿っているかどうか、私に判断できるように君の意見を言ってくれ。節制とは何かね。
ナレーター:
最初、彼は躊躇(ちゅうちょ)していた。かなり答えたくなさそうだった。
そして、「節制とは、通りを歩くとか、話すとか、他のすべての行動をするときに、節制の本性に則(のっと)って、秩序正しく静かに物事を行うことだと思います」と言った。
カルミデス:
私の考えでは、一言で言うと、節制は平静だと答えるのが妥当だと思います。