Chick Tack 英語5文型  >  ある英語学習者の英文解釈日記  >  カルミデス037

does so が示すもの

英文

And in the searchings or deliberations of the soul, not the quietest, as I imagine, and he who with difficulty deliberates and discovers, is thought worthy of praise, but he who does so most easily and quickly?
Quite true, he said.
And in all that concerns either body or soul, swiftness and activity are clearly better than slowness and quietness?
Clearly they are.

翻訳作業

And in the searchings or deliberations of the soul, not the quietest, as I imagine, and he who with difficulty deliberates and discovers, is thought worthy of praise, but he who does so most easily and quickly?

この文も修飾語句と挿入語句があって、文の構造を分かりにくくしている。(And) in the serchings or deliberations of the soul は内容は大切だが、文の構造上は〔副詞句〕で、And とともに除いて考える。
as I imagine も挿入節なので、除外すると、
Not the quietest and he who with difficulty deliberates and discovers is thought worthy of praise, but he who does so most easily and quickly?
〔疑問文〕の語順にはなっていないので、〔平叙文〕の語順で考えることができる。省略と思われる部分を( )で示すと、
Not the quietest and he who with difficulty deliberates and discovers is thought worthy of praise, but he who does so most easily and quickly (is thought worthy of praise) ?
“not...but...”の構文で、やはり2つのものを比較しているのだと考えた。he who... が2組あって、いかにもそうしてくれと述べている。
あくまでも、quiet を否定して、quick を肯定したがっている。quiet は the quietest と he who... の whoの〔関係詞節〕とは独立させているが、quick は quickly として 〔who節〕中で使われている。もう1つの対になる語も〔名詞difficulty〕と〔副詞easily〕と別の使い方がなされている。
ところで the quietest とは何だろう。最上級だから the が付いていると考えていた。その場合、その〔形容詞〕は、何らかの〔名詞〕を修飾しているはずだ。この修飾には〔限定修飾〕と〔補語〕としての〔叙述修飾(そんな用語があるかは知らない)〕を含む。and he... に係(かか)ることは可能性が少ない。ということは省略か。その省略されている語句は、and he の he と対等な関係のものがふさわしい。となると、thing より 「人」を表すと考えた方が自然です。ただ、その場合、“the+形容詞”=“形容詞 people”は、〔複数扱い〕となります。ただ、最上級で一人を表せるのかも知れません。“the+形容詞”を「形容詞なもの」「形容詞なこと」という場合は〔単数扱い〕で処理します。
この件で〔単数〕〔複数〕を考えることは、意味がないことかも知れない。いずれにしろ、the quietest and he... が〔主語〕ならば、〔動詞〕は〔三人称複数〕に対応したものでなくてはならないはず。ところが、is thought... だ。〔三人称単数〕に対応している。しかし、“not A but B...”の構文で、その部分が〔主語〕として使われる場合は、Bの部分に〔動詞〕をあわせる。ここはbut以後が後ろに来ていて分かりにくいが、but以後の he 単独にあわせて is なのだろう。
結局、the quietest は「一番静かなこと」か「一番静かな人」の中から選ぶこととした。ここは間違っていても、「最も静かな人」とする。 is thought worthy of praise の部分は、“be worthy of...”で「……の価値がある」という意味から考えて、think O worthy of... で、「Oを……の価値があると考える」(第5文型)という意味を出したのだろう。それが、by+動作主を示さない〔受動態〕で書かれている。
who does so の does so の部分は、deliberates and discovers を示している。so は「そう」「そのように」「そうやって」などという日本語に当たるときがある。英語も日本語も[ソウ]と発音することで、シャレを言ったことがあるが、受けなかった。彡(-_-;)彡
脱線したが、この so は、〔副詞〕を分類されていることが多い。thatに導かれる〔名詞節〕の代わりに使うときは〔代名詞〕とした方が、直接的で分かりやすい。でも、do so のように使われる場合は、この2語で“動詞+目的語+副詞”を表したりする。この場合は、〔代動詞句〕という語でも作ればいいのだろうが、まあ、いろんな働きをするものは「〔副詞〕に入れておけ」とすれば、問題が少なくなる。
この部分の直訳は、「最も静かな人と困難を伴ってよく考え発見する彼が賞賛に値する価値があると考えられるのではなく、最も簡単にすばやく、考え発見する彼の方が賞賛に値する価値があると考えられるのではないですか」。
「そして、魂の思索や吟味に関して、私が想像するに、最も静かな人と困難を伴ってよく考え発見する彼が賞賛に値する価値があると考えられるのではなく、最も簡単にすばやく、考え発見する彼の方が賞賛に値する価値があると考えられるのではないですか」

Quite true, he said.

「全く真実です」

And in all that concerns either body or soul, swiftness and activity are clearly better than slowness and quietness?

“all the 複数名詞”の変形で all that... と使っているのかと思ったが、that は〔関係代名詞〕で〔関係節〕中の〔主語〕、concerns は〔他動詞〕、either body or soul が〔目的語〕と考えると、すっきりと意味が通る。
...better than... は普通の〔比較級比較〕。
「そして、体や魂のどちらかに関するすべてのことにおいて、迅速で行動的なのは、遅さや静かさより、明らかにいいのではないかい?」

Clearly they are.

They are clearly (better than slowness and quietness).
の〔省略〕しての〔倒置〕なので、they=swiftness and activity。
「ええ、明らかに勝っています」

暫定日本語訳

ソクラテス: そして、魂の思索や吟味についてだが、私が想像するには、じっくり考えて苦しんだ末にようやく、何かを見つけ出す人や、最も静かな人が価値ある人とみなされるのではない。最も簡単に最もすばやく考え出す人が価値ある人とみなされるのだね。
カルミデス: 全くおっしゃるっ通りです。
ソクラテス: そうすると、体のことだろうと魂に関することだろうと、あらゆるものについて、迅速・活動的の方が、遅滞・平静より、明らかにまさっているね。
カルミデス: ええ、はっきりしています。

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「身体(活動)」について、「すばやさ>静かさ」の話が続き、その後「精神(活動)」について、「すばやさ>静かさ」が述べられた。今回はその続きと、この両活動で「すばやさ>静かさ」であることが結論付けられた。
確かに、同じ結論に至るのに、早い方が遅いよりはいいに決まっている。しかし、拙速に考えることは、結論の行方が怪しくなる。そういう場合、じっくり考えた方が正しい結論にたどり着ける確率が高くなる。また、たとえ結果が良くなくても、諦(あきらめ)めがつくというものだ。
ただし、ソクラテスは、「速さ至上主義」を推奨しているわけではない。あくまでカルミデスの「節制とは平静である」という意見を肯定しないための論理立ての一部なのだ。

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© 2005 Chick Tack 20051014