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第35号 could have 過去分詞

 Subject: 英語の文法と語法 035
    Date: Fri, 1 Dec 2006 16:23:00 +0900 (JST)
    From: Chick Tack
      To: Readers

=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英 語 の 文 法 と 語 法    No.035    20061201
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             ● 第 35 号 ●

………………
 Contents  (1)could have 過去分詞
                 〜 過去に実現されなかったできごと 〜

       (2)earn と win「賞金を獲得する」

       (3)come around「意識を取り戻す」

       (4)keep の目的語

       (5)名詞を副詞にする -s


………………………………………………………………………………………………
(1)could have 過去分詞
…………………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     過去において起こる可能性はあったが、実際には起こらな
     かったできごとについて、“could have 過去分詞”を使う
     ことができる。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (a) Why did you walk?  You could have taken a taxi.
   「どうして歩いたの? あなたはタクシーに乗ることだってできたのに」
  (“English Grammar in Use 3rd Edition”by Raymond Murphy P55-27-3)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#egu

  タクシーに乗るという選択肢はあったが、そうしなかった。


  (b) He could have escaped, but he chose to stand and fight.
    「彼は逃げることが可能だった。でも踏みとどまって戦った」
  (“Longman Dictionary of Contemporary English”could-2-possibility)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce

  逃げ出す機会はあった。逃げ出すこともできたのに、その行動を選択しなか
 った。


  (c) Why did you jump out of the window?  You could have hurt    
   yourself.
   「どうして窓から飛び出したりしたの? ケガをしててもおかしくなかっ
    たのに」
   (“Practical English Usage 3rd Edition”by Michael Swan P99-7)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu

  こちらは、ケガをする可能性があったが、そのできごとは起こらなかった。


  (d) Be careful with that stick - it could have gone in my eye!
   「その小枝には注意して! それは私の目に入る可能性があった」
   →「その小枝には注意して! 危うく私の目を突くところだったよ」
 (“Cambridge Advanced Learner's Dictionary Online”could-possibility)
    http://dictionary.cambridge.org/

  これも (c) と同じ。

  (a)(c) は、相手に対し、不満を表したり非難していると考え、その観点で
 分類することも行われている。


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  (e) I could have warned you if I had known where you were.
  「もし、あなたがどこにいるか知っていたら、私はあなたに注意してあげる
   こともできたのに」
  (“Longman Dictionary of Contemporary English”could-2-possibility)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce

  こちらも、(b) と同じ辞書の同じ意味のところにあった例文。高1の方で、
 習っていらっしゃらない方もいると思うが、〔仮定法過去完了〕といわれる文
 の要件を満たしている。

  過去の事実に反している事を示しながら、意見や願望を述べるときに使う。
  “If+S+過去完了形, S+助動詞過去形+have+過去分詞”
 の形をとる。(e)は if 節と主節の順序が入れ替わっているだけ。

  〔仮定法〕は、のちほど取り上げるつもりでいる。順調に行っても来年の話
 だが……。

  今週の例文は、すべてこの if節の〔省略〕と考えることができる。


  高校生のときに使っていた英文法の教科書に、

  (f) I could have lent you the money.  Why didn't you ask me?
   「あなたにお金を貸すこともできたのに。どうして私に頼まなかったの?」
   (“A New Guide to English Grammar”東京書籍 昭和52年2月 P72)

  という英文があり、授業で、

  (g) If you had asked me to lend the money, I could have lent you  
   the money.
   「もし、あなたが私にそのお金を貸すように頼んでくれていたら、私はあ
    なたにそのお金を貸してあげることができたのに」

  の If you...the money, の〔省略〕だとの板書か口頭の説明があったよう
 だ。しっかりと〔仮定法過去完了〕の型に収まるが、日本語も英語もしっかり
 しすぎていて、かえってわかりにくい(?)。

  省略しないにしても、実際には、

  (h) If you had asked me to lend the money, I could have lent it
   (to you).

  くらいにするのではないか。


………………………………………………………………………………………………
(2)earn と win      〜 賞金を獲得する 〜
………………………

  (a) (×)He earned a lot of money by gambling on horses.
    (○)He won a lot of money by gambling on horses.
       「彼は競馬の賭けで大金を得た」

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・earn・・・人が働いて、正当な対価としてお金などを得る。
          努力の結果として、信用・名声・地位を得る。
    ・win ・・・人が競技・競争に勝つ、勝利する。
          勝利・賞品を勝ち取る。
          お金を賭(か)けなどで人から得る。
          名声・賞賛・人気を努力して手に入れる。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (b) She earns 600 dollars a week.
    「彼女は週に600ドル稼(かせ)いでいる」

  宝くじやパチンコなどではなく、労働報酬として支払われるお金を受け取る
 ときに、earn は使われる。

  a week の a は、「〜につき」「〜ごとに」という意味。

  (c) He soon earned the respect of the players.
    「彼は、すぐに選手たちの尊敬を勝ち取った」
  (“Longman Dictionary of Contemporary English”earnの3)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ldce

  努力の結果として、尊敬を得ている。


  (d) He won eminence as an English scholar.
    「彼は英語学者としての名声を得た」

  win は、お金でなければ、「努力して手に入れたもの」にも使われる。

  (e) She could win an Oscar this year.
    「彼女はひょっとすると、今年オスカーを取るかもしれない」

  could は、未来の推量・可能性。先週の第34号(1)で紹介した。
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu034.html#1


………………………………………………………………………………………………
(3)come around
………………………

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    ・come around「(定期的に)巡って来る」
           「ちょっと立ち寄る」
           「意見を変える」「賛成に変わる」
           「意識を取り戻す」「健康に戻る」
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  (a) The milkman comes around every day at this time.
    「牛乳屋さんは、毎日この時間にやって来る」
  (“The American Heritage dictionary of Idioms”by Christine Ammer)
      http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ahi

  come around「まわって来る」だから、そのまま意味が生きている。
 around の代わりに round が使われることもある。

  (b) Won't you come around and see me some time?
    「いつか遊びにおいでになりませんか」
  (“A New Approach to Idiomatic Expressions in English”文化評論出版)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#naiee

  まわって来る人は、別のところにも行かなければならないから、すぐに帰っ
 て行く。ここから、「気軽に立ち寄る」などの意味に利用されるようになった
 のだろう。


  (c) He will come around to my opinion.「彼は私の意見に同調するだろう」
          (『新英和中辞典第5版』研究社)
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#knc

  意見・考えの向こう側や離れているところから、こちらの方に回ってやって
 くるからか。


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  (d) When I came around, I found myself in a strange room.
    「意識を取り戻すと、私は見知らぬ部屋にいるのに気がついた」
   =I came around to find myself in a strange room.

  〔to不定詞〕の〔結果〕に書き換えられそうな英文である。高校レベルの不
 定詞の学習をすると、〔副詞的用法〕の中に、この使い方がある。

  意識を失った状態から、意識のある状態にやって来るからか。


………………………………………………………………………………………………
(4)keep の目的語
…………………………

  ================第34号(3)(a)の例文===========================

   Keep in mind that we are not heroes.
   「私たちはヒーローなんかじゃない、ということを覚えておきなさい」
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/031-040/egu034.html#3

  ==================================================================

  この英文が、(×)Keep that we are not heroes in mind. とならない理
 由について、お便りをいただいた。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
     keep は、〔that節〕〔to不定詞〕を〔目的語〕にとらない。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  そして、次の形ならば可能として、この例文を使って英文をつくっていただ
 いた。

  (a) Keep the fact that we are not heroes in mind.
    「私たちはヒーローなんかじゃない、という事実を覚えておきなさい」

  『英和活用大辞典』に、この形が掲載されているそうだ。今週訪れた図書館
 には、先ほどの辞書はなく、他に回っている余裕がなかったので確認できなか
 った。

  the fact that we are not heroes の部分は、the fact と that we are  
 not heroes の部分に分かれていて、that... が 名詞 the fact を補足説明し
 ている。〔同格〕という文法用語で呼ばれている。多くの場合「……という事
 実」と訳される。

  このようにすれば、that節は in mind の前に入れる。ただし、that節を目
 的語にとることができる動詞の後ろでは、必要がないので使われないらしい。

  (b) (×)Everybody knows the fact that I am ill.
    (○)Everybody knows that I am ill.
       「私が病気なのは、誰でも知っている」
    (『ジーニアス英和辞典第3版』大修館 fact[語法](1))
     http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej


  同格については、他にも形がある。お手持ちの参考書の索引で〔同格(どう
 かく)〕を調べていただければ、見つかると思う。


………………………………………………………………………………………………
(5)名詞を副詞にする -s
…………………………………

  第34号(2)で取り上げた downstairs, upstairs について、名詞を副詞
 化するときの1方法である、とお教えいただいた。

  また、例として、always「いつも」「常に」、sometimes「時々」、   
 nowadays「近ごろ」「最近」、afterwards「あとで」「その後」、 besides 
 「〜に加えて」「その上さらに」などの例も示していただいた。

  また、例の中に mornings「毎朝」「午前中に(はいつも)」は、in the  
 mornings のことで、副詞として働くことがあるともありました。こちらは主
 にアメリカ英語で使われる略式表現のようだ。

  聞いたことはあったのですが、記事を書くときには思い至りませんでした。


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  古い英語では、所有格の名詞が副詞的に用いられたことがあるそうで、その
 名残(なごり)だという。

  s ではないが、once, twice, hence, since なども、この変形だそうだ。こ
 れらは[z ズ]と発音させないために、わざと s ではなく ce とした。
 [s ス]と読ませるために。


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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2006
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