Subject: 英語の文法と語法 034 Date: Fri, 24 Nov 2006 06:50:00 +0900 (JST) From: Chick Tack To: Readers =━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━ ┛┛ ┛┛ 英 語 の 文 法 と 語 法 No.034 20061124 ┛┛ …………………………………………… …………… ……………… ┛┛ Chick Tack http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ┛┛┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 第 34 号 ● ……………… Contents (1)could 〜 可能性・推量 〜 (2)downstairs と upstairs「階下へ」「階上で」 (3)keep/bear O in mind「心に留めておく」「覚えておく」 ……………………………………………………………………………………………… (1)could 〜 可能性・推量 〜 ………………………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 could は、〔未来〕に起こる〔可能性〕のあることや、 〔現在〕起こっている〔可能性〕のあることについて、 述べるときにも使われる。「〜かもしれない」〔推量〕 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) It could rain this afternoon. (×)It can rain this afternoon. 「今日の午後は、雨が降るかも知れない」 (“Practical English Usage 3rd Edition”by Michael Swan P97) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu 〔未来〕のことを〔推量〕している。might, may で置きかえても、ほぼ同 じような内容を伝えることができる。 『ジーニアス英和辞典第3版』(大修館書店)mightの項に、 「話し手の確信度はcould, might, may, can, should, ought to, would, will, must の順に強くなるが、最近では may と might は強さの差はなく 用いることも多い。また、may は許可などに用い、《主に米》では可能性・ 推量にはもっぱら might を用いる傾向がある」とある。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej (b) The story could be true, but I don't think it is. 「その話は本当かもしれない。でも、私は本当とは思っていない」 (“English Grammar in Use 3rd Edition”by Raymond Murphy P54) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#egu 〔現在〕の〔可能性〕を〔推量〕している。 上掲の“English Grammar in Use 3rd Edition”では、(b)の文を can では 使えないと解釈できる記述がある。(a)の例文掲載書でも can は使えないと考 えているようだ。 ただ、複数の辞書や参考書を見てみると、can は〔可能性〕〔推量〕の項目 を持っている。「かもしれない」という訳語ではなく「〜がありうる」という 日本語表現がなされているものが多い。 『ジーニアス英和辞典』第3版』canの項に、語法欄があり、そこで[can と may]の使い分けが記されている。その一部を紹介しておく。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej --------------------上掲書引用--一部改変を加えてある-------------- (c) The harbor can be blocked.「その港は閉鎖されうる」 (d) The harbor may be blocked. can では、現実に封鎖されるか否かは別として理論上は封鎖可能である という意。may では、理論上のことよりも、現実に封鎖されるかもしれな いし、されないかもしれない、それは状況次第だ、の意。 ------------------------------------------------------------------ (イギリス英語では、harbour) ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ 起こったかどうか不確かな〔過去〕の出来事に対する〔推量〕については、 “could have 過去分詞”「だったかもしれない」を紹介している辞書・参考 書はある。しかし、記載がない辞書・参考書も見うけられる。 (e) Who sent those flowers? 〜 I'm not sure. It could have been your mother. 「誰がその花を送ったの?」 「わからないわ。ひょっとすると、あなたのお母さんかもしれないわ」 (“Practical English Usage 3rd Edition”by Michael Swan P99) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#peu (f) He could have left his umbrella in the shop. 「彼はその店にカサを忘れたのかもしれない」 (『総合英語 Forest 4th Edition』石原昭博監修 桐原書店 P119) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#forest 『Longman現代英英辞典』では、この使い方は紹介されていない。代わりに 〔可能性〕の“could have 過去分詞”のところには、「過去に可能だったが、 実際には行われなかった出来事についての用法」が紹介されていた。 こちらの方は、できれば次号で紹介したいと思う。 ……………………………………………………………………………………………… (2)downstairs ……………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・downstairs〔副詞〕階下へ、階下で 〔形容詞〕階下の=downstair 〔名詞〕(the downstairs で)階下 〔対義語〕upstairs 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) (×)I went to downstairs to answer the door. (○)I went downstairs to answer the door. 「私は玄関に(来た誰かに)応対するために階下に降りた」 (“The American Heritage Children's Dictionary”Houghton Mifflin) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/dicchild.html#heri (b) (×)Go upstair. I have to talk to Jim. (○)Go upstairs. I have to talk to Jim. 「上へ行ってなさい。ジムにお話をしなくちゃいけないから」 「階段1段」のことを stair という。上の階・下の階に行くのに、階段1 段ということはない。何段か昇ったり降りたりして、階上・階下に行くので、 複数形の s が付いていると思われる。 欧米では、状況にもよるだろうが、子供を叱るとき、他の子供のいないとこ ろで話をする場合が多い。十把一絡(じっぱひとから)げではなく、個人の人 格を認めているからか、それとも説教の効果があるからか。 (c) (×)Your bedroom is in downstairs. (○)Your bedroom is downstairs. 「あなたの寝室は階下にあります」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 downstairs, upstairs は、〔副詞〕として使えるので、 to, in, at は不要。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 関連項目は、“第20号(2)abroad” http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/011-020/egu020.html#2 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ (d) Turn off the light in the upstairs hallway. 「2階の廊下の明かりを消しなさい」 ((a)の英文と同じ辞書から引用) こちらは、〔形容詞〕の使い方。upatairs は、名詞 hallway を限定修飾し ている。in は、hallway の前置詞。 形容詞でも upstairs と s が付くのが普通。 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ 〔名詞〕の使い方の場合、1つの階を指しているならば、the ---stairs は 単数扱い。2階と1階など、複数の階を指しているならば複数扱い。 あと、各品詞のときの強勢を辞書等で確認しておくと良い。 ……………………………………………………………………………………………… (3)keep O in mind ……………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・keep[bear] O in mind 「Oを心に留めている」「Oを覚えている」 ・keep[bear] in mind that S' V'.... 「that節を心に留めている」「that節を覚えている」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) Keep in mind that we are not heroes. 「私たちはヒーローなんかじゃない、ということを覚えておきなさい」 keep の〔目的語〕は、that we are not heroes という〔名詞節〕。目的語 の本来の位置に入ると、Keep that we are not heroes in mind. となる。こ れでは、keep と in mind が離れすぎてしまい誤解を生む。また、in mind が that we are not heroes の節中の語句を修飾している、と誤解される恐れも ありそう。目的語は泣く泣く(?)後ろに回った。 と思ったが、古い英文に Keep it in mind that we are not heroes.のよう な文があるようなので、形式目的語 it、真目的語のthat節を使った構文の、 形式目的語が省略されてしまった文のようだ。 (『ジーニアス英和辞典第3版』大修館 mindの項の内容から推察) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#gej (b) Bear it in mind now that he is dead. 「彼は死んでいるということを、今は心に留めておけ」 (“The Iliad”by Homer, Translated by Samuel Butler) この it が〔形式目的語〕で、that he is dead が〔本当の目的語〕。 ホメロスの『イリアス』の英訳より。“Project Gutenberg”のサイトにて無 料テキストの配布あり。 |
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