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第177号 独立分詞構文


  この度の東北太平洋沖地震(東日本大震災・東北関東大震災)により、亡く
 なられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
  また、被災された皆様とご家族の方々に、心よりお見舞い申し上げます。一
 日も早い復旧復興がなされ、普段の生活に戻れますようお祈り申し上げます。


=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━
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┛┛   英語の文法と語法    No.177    20110331   Chick Tack
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             ● 第177号 ●

………………
 Contents         分詞構文−6
………………
       (1)主語が異なるとき(独立分詞構文)

       (2)主節と主語が異なるのに明示されない文


………………………………………………………………………………………………
(1)主語が異なるとき(独立分詞構文)
…………………………………………………

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    ・主節の主語と分詞の主語が異なるとき、分詞の前に分詞の
     主語を置く。分詞の主語には主格が用いられる。
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 (a) The plane crashed, its bomb exploding as it hit the ground.
  (“A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg
   「その飛行機は墜落した。地面に落ちると同時に、積んでいた爆弾が爆発
    した」

  The plane crashed, exploding as.... と続けば、exploding の〔主語〕も
  the plane とみなされる。これが〔分詞構文〕の原則。異なる時は〔分詞〕
  の直前に〔主語〕を置く。(a)では its bomb が exploding の(意味上の)
  〔主語〕。


 (b) Weather permitting, we will start tomorrow.
   「天気がよければ、明日出発します」
   (安井稔著『英文法総覧(改訂版)』開拓社)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide
    ←「天気が許せば、……」

  〔分詞〕が独自の〔主語〕を持つ文を〔独立分詞構文〕と呼ぶことがある。


 (c) It being Monday, the barber shop was closed.
   「月曜日だったので、その理髪店は閉まっていた」
   (石黒昭博監修『総合英語 Forest 4th Edition』桐原書店)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#forest

  〔独立分詞構文〕は、かなりかたい文になるので、〔接続詞〕を用いて〔副
  詞節〕で表現するのが一般的である。

  (c2) The barber shop was closed, because it was Monday.
  (c3) As it was Monday, the barber shop was closed.
  (c4) It was Monday, so the barber shop was closed.

  it は the barber shop ではなく、日時を表す it。


 (d) There being nothing else to do, we went home.
  =As there was nothing else to do, we went home.
   「ほかにすることがなかったので、私たちは家に帰った」〈理由〉
  (安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社)
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg

  there is[are]... の there も〔分詞〕の〔主語〕になることができる。


 (e) Hands held high, the dancers circle to the right.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
    「手を高く上げて、ダンサーたちは右側に回る」
     ←「手は高く上げられた状態で、……」

  held は〔過去分詞〕。〔過去分詞〕の前に〔独立主語[主格]〕を置くこ
  ともできる。

  Hands being held high,... の being の〔省略〕と考えることが可能。第
  175号の(1)で示した考え方である。


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 (f) The ceremony over, the crowd dispersed.
   「式が終わって、群集は散っていった」
   (江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』金子書房)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide

  The ceremony being over,... の being の〔省略〕。第175号の(2)
  で「形容詞・名詞で始まる分詞構文」を紹介した。その前に〔主語〕が置か
  れたものと考えられる。


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  補足記事
  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/161-180/egu177.html#supple1


………………………………………………………………………………………………
(2)主節と主語が異なるのに明示されない文
…………………………………………………………

 (a) Being French, it's surprising that she's such a terrible cook.
  (“Practical English Usage 3rd Edition”Michael Swan)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peu
    「フランス人なのに、彼女がこんなに料理が下手だとは驚きだ」

  〔主節〕の〔主語〕は it である。これは〔形式主語〕なので、本当の〔主
  語〕は that she's such a terrible cook である。

  being French の〔主語〕が it や that she's such a terrible cook であ
  ることは考えられない。she である。

  原則に従えば She(または彼女の名前) being French となるはずである。

  〔that節〕中に she があるため、全く予想がつかないということはない。
  そのため、意味上の主語を明示せずに使われるようだ。

  (a)は文法的に間違いであると指摘する人もいるが、実際には見られる。
  〔主節〕の〔主語〕に、〔形式主語〕の it や〔存在表現〕の there が用
  いられているときは、この傾向が強い。


 (b) Looking out of the window, the mountains were beautiful.
   「窓から外を眺めると、山は美しかった」
   (江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』金子書房)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide

  looking out of the window の主語は、I や we であろう。

 (c) Looking out of the window, I saw the beautiful mountains.

  (b)を(c)のようにすれば、微妙な違いは出てしまうだろうが、文法誤りとい
  う指摘からは免れる。


  『英文法総覧(改訂版)』では、次の(d)を「非文」としていた。
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide

 (d)(×)Going up the slope, a statue was looking over us.
     「坂を上ってゆくと、銅像が我々を見おろしていた」
   (安井稔著『英文法総覧(改訂版)』開拓社)
    http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#betterguide

  Going の〔主語〕は、we が有力。最後に us があるので。


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  〔主節〕と異なる〔主語〕が明示されない〔分詞〕を dangling participle
  「懸垂分詞・ぶら下がり分詞」や misrelated participle「誤関係分詞?」
  と呼んでいる。「ずっこけ分詞」(江川泰一郎氏)と呼ぶ人もいる。

  用語を覚える必要はないが、説明のため〔懸垂分詞〕を次号で使用する。


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 参考文献  http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html
……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html
       http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html


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● あとがき

 のど赤き玄鳥(つばくらめ)屋梁(はり)に来ぬ間に足乳(たらち)ねの母は

 死にたまふなり



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        (c) Matsumiya Institute of Thinking 2011
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独立分詞構文の意味上の主語の格

人称代名詞が意味上の主語になっている例

本文記事で書いたように、独立分詞構文の意味上の主語は主格で書くのが正式である。ただし、略式では目的格が用いられる。
独立分詞構文の利用自体が現実には少ないし、意味上の主語のほとんどが名詞である。名詞は主格と目的格の形が同じなので、見分けがつかない。
このため、主格か目的格かというのは問題になることが少ない。

We appointed Max, he[him] being much the best qualified of the candidates.
「われわれはマックスを指名した。彼が候補者の中で断然適任だったからだ」

安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社

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