=━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ English Grammar and Usage ━━━ ┛┛ ┛┛ 英語の文法と語法 No.176 20110228 Chick Tack ┛┛ ………………………… …………… ……………… …………… ┛┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ┛┛┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 第176号 ● ……………… Contents 分詞構文−5 ……………… (1)接続詞を前に置く (2)否定方法 (3)ペニーとペンス ……………………………………………………………………………………………… (1)接続詞を前に置く ……………………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・〔分詞構文〕の意味をはっきりさせるために〔分詞〕の前に 〔接続詞〕を置くことがある。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) Laura had an accident while driving to work yesterday. (“English Grammar in Use 3rd edition”Raymond Murphy) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#egu 「ローラは昨日、職場へ向けての運転中に事故に遭った」 「ローラは昨日、車で通勤中に事故に遭った」 work は〔無冠詞〕で「職場」という意味を表す場合がある。 〔分詞構文〕が表す意味は、〔付帯状況〕〔時〕〔原因・理由〕〔結果〕 〔条件〕〔譲歩〕と広い。時にあいまいで、誤解が生じることもある。はっ きりさせるために、伝えたい意味を持つ〔接続詞〕を〔分詞〕の前に置くこ とがある。 (a)では while が〔接続詞〕である。「〜している間」という意味を明らか にしている。 (b) Laura had an accident while (she was) driving to work yesterday. (日本語訳は(a)と同じ) 〔主節〕の〔主語〕と〔副詞節〕の〔主語〕が同じ場合、〔副詞節〕中の 〔主語〕と〔be動詞〕が省略される場合がある。〔副詞節〕をつくる〔接続 詞〕のうちで、これに当てはまるのは when, while, until, if, unless, though, as if である。 (a)文も、(b)文の she was の部分の〔省略〕とみることができる。したが って、(a)は〔分詞構文〕ではないという解釈も成立する。 (c) While resembling his father in appearance, he has inherited much from his mother in character. (d) While he resembles his father in appearance, he has inherited much from his mother in character. 「彼は外見は父親に似ているが、性格は母親譲りのところが多い」 (江川泰一郎著『英文法解説(改訂三版)』金子書房) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#newguide (c)の while は although, though と同じく「〜なのだけれども」という意 味を表している。 〔副詞節〕で書いたとき、(×)While he is resembling....とできずに、 (d)のようになる。(c)は is resembling の省略とはとれない。こんな例は めったにないが、やはり〔分詞〕の前に〔接続詞〕が置かれていると解釈す るしかない。 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ (e) When completed, the road will link four major cities. (“Longman Language Activator”) 「完成された時、その道路は4つの主要都市をつなぐ」 「完成したら、その道路は4つの大都市を結ぶ」 〔過去分詞〕で始まる〔分詞構文〕の前にも〔接続詞〕が置かれることがあ る。 〔when節〕の〔主語〕the road と〔be動詞〕is または has been の〔省略〕 と考えることもできる。 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ (f) Although impressing the interviewer, he couldn't get the job. 「面接担当者にはよい印象を与えたが、彼はその仕事を得ることができな かった」 (石黒昭博監修『総合英語 Forest 4th Edition』桐原書店) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#forest 〔譲歩〕の例である。 (g) Once known, his face is never forgotten. (“The American Heritage Dictionary of the English Language 4th”) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#ahdel 「いったん知られてしまえば、彼の顔は決して忘れられない」 「一度見たら、彼の顔は決して忘れないよ」 引用辞書の once の〔副詞〕の欄に例文が出ていたが、〔接続詞〕と考えて も構わないと思う。 ……………………………………………………………………………………………… (2)否定方法 …………………… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ・〔分詞〕の〔否定〕は not などの〔否定語〕を〔分詞〕 の前に置く。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 (a) Not knowing the language and having no friends in the town, he found it hard to get work. (“A Practical English Grammar”A. J. Thomson & A. V. Martinet) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html#peg 「彼はその言語を知らなかったし、その町に友達が一人もいなかったので、 職を手に入れることが困難だとわかった」 〔分詞〕の前に not や never を置いて〔否定〕を表す。場合によっては、 and の後ろのように〔形容詞〕no を使って〔否定〕を表すこともできる。 it は〔形式目的語〕で、本当の目的語は to get work。 (b) Not having been informed, we were completely in the dark. 「何も知らされていなかったので、私たちはさっぱりわからなかった」 (安藤貞雄著『現代英文法講義』開拓社) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#lmeg 〔受動態〕の〔完了分詞〕が not で〔否定〕されている例。事前通知がな かったと告げている。 理屈では Not informed, we.... も可能だと思うが、実際使われるのかは未 確認。 in the dark は「闇の中」という内容より「知らないでいる」という意味が できる。「秘密の」という意味になる時もある。 (c) She thought him rather wonderful, never having met anyone like him.(“Sons and Lovers” by David Herbert Lawrence) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#sons 「彼女は彼のことを、なかなかすてきだと思った。それまで一度も、彼の ような人に会ったことがなかったのだ」 〔否定語〕never が〔分詞〕の前に置かれている。 ……………………………………………………………………………………………… (3)ペニーとペンス …………………………… モームに『月と6ペンス』という作品がある。原題は“The Moon and Sixpence”。Six Pence とは離れていない。 前(第175)号(3)例文(b)に ninepence というつづりがあったが、間 違いではないようだ。 「2ペンスから11ペンスまでと20ペンスは数詞とpenceを続けて1語に書くこ ともある; その形容詞は-pennyを用いる; 発音上twopence, twopenny, threepence, threepennyは注意を要する」(新グローバル英和辞典) http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/1/1ss/304730/ twopence は[t∧'p∂ns]、twopenny は[t∧'p∂ni]、 threepence は[θre'p∂ns]、threepenny は[θre'p∂ni]と いう発音がなされていたため、上記のような注意書きがあるようだ。同辞書 や他辞書には、別の発音も表記されている。 現在は100ペンス(pence)で1ポンド(pound)となる英国の通貨単位だが、 1971年までは、12ペンスで1シリング(shilling)、20シリングで1ポンド であった。 12ペンスで1シリングであったことが「2ペンスから11ペンスまで」数字と pence をくっつけて1語でつづられた理由か。20ペンスについては、その額 のコインがあったことが原因か。単に teen や twenty-one の -one のよう なものがついていないという理由のためか。 「かつては twopence(2ペンス)から elevenpence(11ペンス)までと twentypence(20ペンス)は1語でつづり、/-p∂ns/と発音されたが、 今は2語またはハイフン(-)でつなぎ、/-pe'ns/と発音するのが 普通」(『ジーニアス英和辞典第4版』P1434) ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ 前(第175)号(3)例文(b)の日本語訳とコメント欄に「ペニー」とい う言葉を使った。2か所あるのだが、いずれも「ペンス」を使うのが妥当で あった。国際通貨についての常識不足を露呈してしまった。お詫びする。 penny は、イギリスの通貨単位で pound の100分の1の額を表している。 2011年2月28日10時29分の時点での「Yahoo!ファイナンス」の取引レート表 示は、1ポンドが131円38銭であった。1ペニーは約1円31銭ほどの価値が あることになる。http://quote.yahoo.co.jp/m5?a=1&s=GBP&t=JPY penny には、2つの複数形がある。pence と pennies である。 ● pence・・・penny を金額として見たときの複数形。 five pence「5ペンス」、20 pence「20ペンス」 ● pennies・・・penny貨の枚数を数えるときの複数形。 five pennies「1ペニー貨5枚」 20 pennies「1ペニー貨20枚」 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ 7 pounds 34 pence の金額は、日本語で「7ポンド34ペンス」と表記する。 「7ポンド34ペンス」でも「7ポンド34ペニー」でもない。 7 dollars 34 cents の金額は、日本語で「7ドル34セント」と表記する。 「7ドル34センツ」でも「7ダラーズ34センツ」でもない。 pounds, dollars, cents は〔複数形〕だが、日本語では〔単数読み〕する。 pence は「ペニー」とは単数読みせず「ペンス」と〔複数形〕の通りに表記 する。 ポンド・ドル・セントは〔単数読み〕するが、ペンスは〔複数読み〕する。 これはどうしてか? 愚考を重ねること数日、次の結論にたどり着いた。 s や es をつけて〔複数形〕を作る単位は〔単数読み〕する。pence のよう な〔不規則〕の〔複数形〕はそのまま日本語表記する。他の例では長さの単 位「フィート(feet)」がある。「5フット」とは言わず「5フィート」と言 う。 ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ 言い訳になるが、“Random House Webster's Unabridged Dictionary 2nd” http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html#rhwud で ninepence を調べたところ、 1.(used with a pl. v.) Brit. nine pennies. 2. a former shilling of Great Britain, issued under Elizabeth I for use in Ireland, debased so that it was used in England as a ninepenny piece. と記されていた。「ペンス」ではなく「ペニー」の表記の方がよいかと思い 違いをし、前号に記載したのだ。 また、出典小説の時代背景と合わないので、例文直後のコメントも削除して 欲しい。 《前(第175)号(3)例文(b)の日本語訳とコメント訂正》 (誤)========================================================= (b) Mr. Dolloby, not without some grumbling, gave ninepence. (“David Copperfield” by Charles Dickens) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#copper 「ドロビー氏は、かなりぶつぶつ言って9ペニー硬貨をくれた」 イギリスでは、かつて9ペニーに相当する銀貨があったようだ。 =============================================================== ▼ (正)========================================================= (b) Mr. Dolloby, not without some grumbling, gave ninepence. (“David Copperfield” by Charles Dickens) http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer02.html#copper 「ドロビー氏は、かなりぶつぶつ言って9ペンスをくれた」 =============================================================== ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ちなみに、EU(欧州連合)は ユーロの通貨単位について euro と cent の複数形は変化させずに使っている。英語表記でも原則として euros, cents とはしないのである。7 euro 35 cent。 例外として、スペイン語とポルトガル語は〔複数形〕を euros と cents と 表記し使っている。フィンランド語は、euroa や sebttia となる。またド イツ語や英語でも、紙幣や硬貨の枚数を言うときは〔複数形語尾〕s がつく。 蛇足ながら、イギリスはEU(欧州連合)加盟国であるが、ユーロではなく ポンドという通貨単位を利用している。Great Britain Pound や UK pound sterling と呼ばれているものだ。イングランド銀行が紙幣や硬貨を発行し ているが、スコットランド銀行など、他にもポンド紙幣を発行しているとこ ろがある。 ……………………………………………………………………………………………… 参考文献 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/refer.html ……………… http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english01.html http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/english02.html ──────────────────────────────────── □このメールマガジンは、以下のメルマガ・スタンドから配信されています。 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/ ・めろんぱん :http://www.melonpan.net ・メルマ! :http://melma.com/ 当メールマガジンは、無料でお読みいただけます。 □このメールマガジンの登録・解除は、下記のページからお願いします。 ・まぐまぐ! :http://www.mag2.com/m/0000190027.html ・めろんぱん :http://www.melonpan.net/mag.php?009453 ・メルマ! :http://www.melma.com/backnumber_175104/ □バックナンバーは、下記のページのリンクからご覧ください。 http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/index.html ∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋ <(` ) Chick Tack ( ) E-Mail Address : mit_desde1994@ hotmail.com / | 魔笛を観に行こう: http://tatsuku.web.fc2.com/ ∋ ∈ Chick Tack 英語5文型: http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/ 愛知哲仁 の ギリシア哲学への招待状:http://philos.fc2web.com/ ∈≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡∋ メール・アドレスは、コピーして、あて先欄に貼り付けてから、@ と hotmail の間の半角スペースを削除してください。面倒かけます。 ┛ Chick Tack のおすすめ英語教材・無料サービスなどの紹介ページ ┛ ┛ http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/books/recommend.html ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ┛ ● あとがき 貸借対照表の貸方と借方の数字が一致しました(≧ ≦)Ω 計算した結果、15,671円の差が生じていたのですが、調べてみると、1件転記 漏れがありました。1件だけで良かった。そのままの金額が目に入ってきまし た。 2件以上が絡むと、数字だけでは探せないので大事(おおごと)になります。 申告の目処がついて安心したのもつかの間、近所の高校や中学校が、次々と学 年末のテスト期間に入っていきます。 ・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・ (c) Matsumiya Institute of Thinking 2011 ・・・‥‥……──────────────────────……‥‥・・・ |