なんどめだ、カリ城……(笑)

 野際陽子さんじゃないけれど《なんどめだ、カリ城》である……(笑)。
 何度見ても面白いからいいのだけれど……。嫌なら見なければいいだけの事であるし……(笑)。

 しかし、今年は正月早々(1/16)「風の谷のナウシカ」(何と前回TV放映から1年しか経っていない)を やり、3/12には「耳をすませば」、そして今日(3/26)「ルパン三世 カリオストロの城」である。
 やはり、少々やりすぎでは……(笑)。
 「風の谷のナウシカ」は、同タイトルDVDの発売の宣伝で、「耳をすませば」はジブリ絡み の「イノセンス」の劇場公開のこれまた宣伝を兼ねて……なのだろうが、さて今回は、よく判らない。
 まあ、ブツブツ文句を言いながら、時間になるとTVの前に座っているのであるが……(笑)。

        * * * * *

 さて、「ルパン三世 カリオストロの城」であるが、多分この作品を最初に見たのは、初映の劇場だったと 思う。今見ても25年も前の作品とは思えない完成度と素晴らしさで充分に楽しめたのだが、初見の折、 ぼくには、どうしても納得出来ない台詞があった。
 こういう言い回しをすれば、あれかと思われる方もあるだろう。
 そう、ラストシーンでクラリスの言う
   「ドロボーはまだ出来ないけど、きっとおぼえます。
というあの台詞である。
 生身の女の子はこんな“台詞”は口にしないよ……というのが、当時のぼくの感想だった。これは、男に 都合よく創られた“台詞”だ、と。
 当時、まだ若かったぼくには、この台詞を許容するだけの 余裕が無かった。
 いや、もう少し精確に語るなら、当時の、この台詞を起点として 巻き起こった異常なまでのクラリス人気に、嫉妬していたのだと、 今にして思う。

 ぼくは、当サイトで度々語ってきたが、映画にしろ、小説にしろ、まんが、アニメにしろ……何年か 経た後に読み返し(見返し)てみると、以前は気付かなかった発見があったり、以前とは違う感想を 持ったりするものだ。
 それは、とても嬉しい出逢いでもある。
 「カリ城」も(実は10年近くもぼくの中で封印されていたのだが)、ある時、ふと見直してみると、 当時、あれだけ拒絶していたあの台詞が、何の違和感も無く、 ぼくの中に入ってきていたのだった。
 それは、嬉しい発見であるとともに、少し驚きでもあった。
 何故、あれ程拒んでいたのか。
 不思議な程、違和感が無かった。
 この日を境に「カリ城」は、結構“オキニ”の作品になったのである。
 そう言えば「耳をすませば」も、初見の折には、あのラストシーンの「結婚」という台詞の唐突さに 違和感を感じたものだが、何度か見る内に、不思議と自然に受け入れられるようになっていった。
 これは、何なのだろう?

 さて今日、何度目か(いや、十何度目か)に見て(別にDVDを持っているので、わざわざCM付きで 見る事も無いのであるが)、取り立てて新しい発見があった訳でも ないが、あの台詞に就いて言うなら、ああ、こんなに一気に 言っていたんだなあ…と思った事だった。
 その前後の流れの宮崎駿の演出と(これは初見の折から“上手い”と思ったが)、島本須美の演技力に、 改めて感心したのである。
 それから、塔に幽閉されたクラリスに、最初にルパンが出向くシーン。隣の塔の屋根からワイヤー付の ロケット弾を打ち込もうとして(舐めた指を空にかざして)風向きを確認しておきながら、そのロケット 弾を取り落としてしまい、挙句、塔の屋根を走り降りて、結果的にクラリスの塔に辿り着く……という あのコミカルなシーンだが。
 最近の異様にハイテク化された「ルパン三世」のTVスペシャルの、逆のアンチテーゼに思えたのは、ぼく だけだろうか。
 これが「ルパン三世」のアニメの楽しさでは無かったか?
 宮崎駿は、25年も前から、ハイテクも結局は使う人間次第だと、 語っていたのだね。

 さて、次回のジブリ作品のTV放映は、夏かな?

(2004.03.26)


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