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*特別支給の老齢厚生年金がいよいよ61歳から支給に
2013
.03.02

1.老後生活の柱になる国の年金制度

 ご自身のお父様やお母様は1ヵ月どのくらいの年金を受けているか知っていますか?
 もし年金がなかったら、仕送りや同居が必要となってきますね。
 平均寿命が長くなり、親を扶養していくのは個人では難しい現状です。社会全体で高
齢者を支えるしくみ、それが年金制度です。老齢年金は老後生活の柱と言われています
 公的年金収入は65歳以上の高齢者世帯収入の7割を占めています。また、収入全て
が公的年金である高齢者世帯の割合は6割となっています。
 老後の生活にどのくらいの収入が必要でしょうか。
 65歳でリタイヤして80歳まで生きた場合15年分、100歳まで生きた場合35
年分の生活費が必要となります。
 しかし、自分が何歳まで生きるかは予想できません。国の年金制度の良いところは、
長生きしたときの安心に対応していることと、物価や賃金等の経済状況の変動にも対応
していることです。







(出典) 平成23年国民生活基確調査


2.老齢基礎年金と繰り上げ受給

 国民年金からの老齢年金は原則65歳から受けることができます。名前は「老齢基礎
年金」です。
 20歳から60歳まで40年間(480月)、すべて国民年金の保険料を納付した場
合、年金額は786,500円(月額6.5万円)です。現在は300月以上の保険料
納付が必要とされています。300月保険料納付の場合、年金額は、786,500円
x300/480≒491,000円です。
 また、65歳からの老齢基礎年金を60歳から早めて受けることができます。この場
合、1ヵ月早く受けると0.5%減額、60歳からだと0.5%x60ヵ月=30%の
減額となります。
 786,500円の年金額が70%の550,600円になり、もちろん65歳以降
も元に戻ることはありません。


3.特別支給の老齢厚生年金

 国民年金の保険料を300月以上納付し、そのうち厚生年金の加入期間が12月以上
ある人には今まで60歳から、特別支給の老齢厚生年金が支給されていました。
 法律で”当分の間60歳から”と定められていたのです。
 いよいよこの当分の間が終わり、昭和28年4月2日生れの男性の特別支給の老齢厚
生年金の支給は61歳からとなります。生年月日により61歳から64歳へと支給が遅
くなり、昭和36年4月2目生れの男性は65歳からの支給となります。
 女性については、昭和33年4月2日生れから61歳から64歳へと支給が遅くなり
昭和41年4月2日生まれからは65歳からの支給となります。
 男性と女性で、支給開始年齢が異なるため、同級生のご夫婦の場合、妻は60歳から
夫は63歳から老齢厚生年金支給というケースもでてきます。


(特別支始の老齢厚生年金の支給)

生年月日( )内は女性 \ 支給開始年齢 60歳 61歳 62歳 63歳   64歳
    ~S28.4.1(    ~S33.4.1)
S28.4.2~S30.4.1(S33.4.2~S35.4.1)  
S30.4.2~S32.4.1(S35.4.2~S37.4.1)    
S32.4.2~S34.4.1(S37.4.2~S39.4.1)      
S34.4.2~S36.4.1(S39.4.2~S41.4.1)        
S36.4.2~    (S41.4.2~    )          

※国家公務員等の退職共済年金の支結開始年齢については男性、女性の差はなく、
厚生年金の男性と同様となっています。


4.61歳からの年金支給

 60歳の定年退職後、継続雇用され、厚生年金に加入していた場合は、61歳までの
加入期間によって年金額が計算されることになります。
 もちろん60歳の定年後、厚生年金に加入していない場合は、60歳までの加入期間
によって年金額は計算されます。
 なお、ねんきん定期便の年金見込額は、受給権が61歳以降の人についても60歳ま
で加入したとして記載されている事に注意して下さい。
 60歳時点で44年(528月)の長期加入者に該当していても支給されるのは61
歳からです。
 特別支給の老齢厚生年金報酬比例部分+定額部分+加給年金が支給されます。


5.老齢厚生年金の繰り上げ受給

 支給開始年齢が61歳以降の人については、老齢厚生年金を60歳から早めて受ける
ことができます。1ヵ月早く受けると0.5%減となります。61歳から受けることが
できる人が60歳から受けると0.5%x12=6%減となります。
 この場合、65歳から受けられる老齢基礎年金も同時に繰り上げることが条件となっ
ており、0.5%x60=30%減となります。
 60歳以降も厚生年金に加入する予定のある人、在職老齢厚生年金、長期加入者、障
害者特例に該当する可能性がある人の繰り上げ受給は注意してください。対象となる方
は、年金事務所での正確な年金額のシミュレーションが必用でしょう。



(社会保険労務士・後藤田慶子)



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