●カラ期間とは?
老齢の年金を受けるためには、保険料を納付した期間と免除された期間をプラスし
て25年(300日)の受給資格期間(※)が必要です。
カラ期間とは、25年の期間計算には入れますが、年金額には反映されない期間の
ことです。
昭和36年4月から昭和61年3月まで、サラリーマンの妻は国民年金には任意加
入でした。任意加入しなかった期間は、女性の代表的なカラ期間です。(20歳以上
60歳未満の期間)保険料の納付期間と免除期間だけでは25年ない方も、カラ期間
があれば条件を満たすことができるかもしれません。
(※)受給資格期間を25年から10年に短縮する法案が平成28年11月16日
に可決、成立されました。平成29年9月分の年金から対象です。

◎離婚時の厚生年金の年金分割について
(請求は2年以内に)
●合意分割とは?
平成19年4月以降に離婚した場合、婚姻期間中の厚生年金保険の保険料納付記録
の多い人から少ない人へ、その納付記録を分割できることになっています。分割の上
限は、婚姻期間中の両者の保険料記録の合計額の半分まで、分割割合は両者で協議し
て2年以内に年金事務所に請求します。まとまらないときは裁判所が割合を定めます
専業主婦の場合、半分まで受けることができますね。
●第3号分割制度とは?
離婚した場合、平成20年4月以降の期間について、第2号被保険者の厚生年金保
険の保険料納付記録の2分の1の額を、その被扶養配偶者の第3号被保険者へ分割す
ることができます。「第3号分割」では、第3号被保険者だった人の年金事務所への
請求だけで分割が行われます。

●遺族年金とは?
・国民年金に加入中の方が亡くなった時、その方によって生計を維持されていた子
のある妻、子のある夫、または子に遺族基礎年金が支給されます。
(子とは、18歳に年度末(3月31日)までの子をいいます。)
・厚生年金に加入中の方が亡くなった時(加入中の傷病がもとで初診日から5年以
内に亡くなった時)は、その方によって生計を維持されていた遺族(1.配偶者ま
たは子、2.父母、3.孫、4.祖父母の中で優先順位の高い方)に遺族厚生年金
が支給されます。
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【事例】
厚生年金加入中の夫(55歳)が亡くなった。
妻は専業主婦(50歳)、子(16歳)
夫の加入履歴から計算した老齢厚生年金は98万円であった。
(受ける年金の種類や時期、年金額)
①子が18歳になった年度末まで
→(夫の)遺族基礎年金+(夫の)遺族厚生年金

②上記以降、妻が65歳になるまで
→(夫の)遺族厚生年金+(夫の)中高齢寡婦加算

③妻が65歳以降
→(妻の)老齢基礎年金+(夫の)遺族厚生年金

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妻が65歳になると、値宇高齢寡婦加算がなくなり、自身の老齢基礎年金を受ける
ことなります。年金を受けていても、自身の国民年金の保険料納付は大切ですね。
(社会保険労務士・後藤田慶子)
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