急変!

 葉書を取りにいって帰ってきた夜、はづちちに「木曜日に先生が会いたいっていってるわ〜」と報告。
そして、夜中眠りについた頃、自宅の電話がなった。午前2時過ぎだった。はづちちがとってくれた。
深刻そうな顔・・・「すぐに行きます」といって、はづちちは電話を切った。
私は、すぐに初寿紀に何かあったと思った。「初寿紀が急変した。すぐに来てくれって」
私たちは、急いで着替え家を出る準備をした。何故か、はづちちは家を出る前にお仏壇に手をあわせた。
私も、一緒に手を合わせた。「御母さん、まだ連れて行かないで下さい。お願いします」と・・・

 車の中で「夢であって欲しい」と願うだけだった。高速を使い飛ばして病院まで行った。
病院に着くと、私はICUへはづちちは病棟へ行った。(どっちにいてるか分からなかったもんで・・・)
ICUへ行くと「初寿紀ちゃんは上ですよ〜」という返事。慌てて、病棟に走った。
病棟の前で、はづちちが待っていました。「ここで待っててくれって・・・」
待合室で、しばらく待った。落ち着かない。
 午前3時過ぎ、先生が来た。「午前1時ごろ、急変しました。多分、どこかに血栓がついてるのだと思います。今、血栓を溶かす薬を入れて
様子を見ています。心臓マッサージと人工呼吸をしています。大変、危険な状態です。全力は尽くしますが、今の所なんとも。
この時点では、手術も出来ませんし。もう少し様子を見ますので、ここで待っていてください。」
私たちは、ほとんど何も喋らす祈っていた。「初寿紀、戻ってきて」と、それだけしか言葉は無い。

 午後4時30分、外科の先生が来た。初寿紀の手術を担当してくれた先生。
「1時間ほど、血栓を溶かす薬を入れましたけど、変わりません。とてもきつい薬なので、これ以上入れることは出来ません。
心臓マッサージも3時間ほど続けてますが、戻ってきません。薬の為に、出血が見られます。鼻血が出たり内出血したりしています。
これ以上は、いくらやっても戻ってこないと思いますが・・・手術もできる状態じゃないですし・・・。
今から、面会してもらいますが・・・」ということで、面会に。
 病室で寝ている初寿紀は人形のようにピクリとも動きません。たくさんの点滴につながれて、呼吸器をして、心臓マッサージをされてます。
ベットは、所々血がついてます。先生がマッサージを止めると心電図は止まります。
先生が、「こうやって、マッサージを止めると戻ってきません。これ以上マッサージしても、戻ってこないと思いますが・・・
もし、ご両親が希望されるならまだマッサージを続けますが・・・どうされますか?」
血だらけで寝ている初寿紀に、もうこれ以上頑張らす気はありません。
「もういいです・・・」私たちの答えでした。「ごめんね、初寿紀・・・」

 先生は、「ごめんね・・・」と初寿紀の頭をなでてくらました。
「まだ、喘ぎはあります。辛いでしょうが、抱っこして最後見届けてください。」
初寿紀を抱っこして、息を引き取るまでずっと、声を掛けていました。
「ごめんね、よく頑張ったネ・・・おうちに帰ったら一緒にねんねしようね・・・ありがとうネ・・・ゴメンね・・・・」
だんだん冷たくなる初寿紀に一生懸命声を掛けていました。
 12月5日午前4時53分 4ヶ月と3日 初寿紀 死去
いつも初寿紀と遊んでくれてた看護婦さん達、一生懸命治療してくださった先生方にお礼を言いました。

 看護婦さんが「初寿紀ちゃん、最後にお風呂に入れましょうね。準備が出来たら呼びますね・・・」ということで
一旦待合室へ・・・はづちちは、家と私の実家に電話をかけに行きました。
私は、一人、待合室で大泣きしていました。
少しして、看護婦さんが呼びに来てくれました。
病室では、点滴も外されて綺麗な顔をした初寿紀が寝ていました。
「じゃ、お風呂入れましょうか」ということで、綺麗な服を用意してお風呂にはづちちと2人で入れました。
まだ少し暖かい初寿紀を抱いて、お風呂に入れました。
「初寿紀ちゃんはお腹にガーゼをかけとかないと泣くからね〜」といつも通りに接してくれた看護婦さんの態度がとても嬉しかったです。
「初寿紀、気持ちいい?えらいね、泣かないで〜」と言いながら初寿紀をお風呂に入れました。
そして、服に着替えさせて待っていました。
 
 先生がきて、「ちょっとお話が・・・」と。別室で、「お役に立てずですみませんでした。
こんなときに、言いにくい話なんですが、初寿紀ちゃんの死因を調べたいので内臓を預けていただきたいのですが・・・
無理にとは言いません。ただ、これから同じ病気のこのために役立てたいと言う事で・・・」とのこと。
私たちは、初寿紀の傷が大きくならないようにしてくれるならと言う事で肺と心臓を提供しました。
そして、その解剖が終るまで初寿紀についててやることにしました。
初寿紀は、個室へうつりました。大好きなプレイルームの前を通って。

 私の両親と妹、はづちちのお父さんとおばあちゃん、はづちちの叔父さん叔母さん、はづちちのお姉ちゃん家族が来てくれました。
そして、初寿紀に会ってくれました。交代で来られた初寿紀担当の看護婦さんが初寿紀がいてる部屋に来てくれました。
初寿紀を抱っこして、「よく頑張ったネ」と声を掛けてくれました。
 9時過ぎに、最後の手術です。先生は「これ以上傷を広げないようにしますね。」といってくれました。
「初寿紀、最後の大仕事やで、頑張っておいでや」と声を掛けエレベーターまで見送りました。
はづちちのお父さんとおばあちゃん、お姉ちゃんは先に帰りました。
 お昼過ぎ、やっと最後の手術は終りました。
病棟の看護婦さんに御礼を言って、霊安室へ向かいました。
霊安室には、初寿紀が手を組んで寝ていました。病棟の婦長さんが「スタッフが最後の挨拶をしたいといってるので、
ちょっと待っててくださいね・・・」ということで、しばらく待ってました。
看護婦さんは「抱っこしてもらっていいですよ」と言ってくれたので、私はずっと抱っこしていました。

 初寿紀にかかわってくれた先生方、看護婦さんが次々に会いに来てくれました。
ICUの主任さんは泣きながら「昨日は、あんなにお話してくれたのにね・・・」と言ってくれました。
病棟の看護婦さんは、初寿紀を抱っこしてくれたり、頭をなでてくれて
「よく頑張ったネ。」「えらかったね。」「もうしんどくないよ」と、たくさんの声を掛けてくれました。
たくさんの病院のスタッフさんに見送られ、初寿紀は病院を後にしました


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はづにっき