iBook G3, OS 9.1


これまで使用していたPC(Macintosh Performa 6210, OS 7.5.1)が、ここ何ヶ月かハードディスクを認識できなくなり「システムが入ったCDから再起動を10数回ほど繰り返して漸く立ち上がる」という最悪の事態になった。丸8年、活躍してくれたPCだが(9年目に突入)、このままデータが失われてしまうのも困るので「そろそろ買い換え時かも?」と思い、2004年1月15日(木曜日)、通信販売で中古のPC(iBook G3, OS 9.1)を購入した。値段は、消費税、配送料込みで「96,790円」である(1)。

購入してみて、誤算に気付いた。現在では当たり前のことかもしれないが、プリンター(Hewlett Packard LaserJet5L)やフィルムスキャナー(Canon CanoScan FS 2710)を接続するのに、USBポートしか見当たらない。私のPC周辺機器は、USBポートに対応していなかったのである。その日の夕方、昔からの知り合いである出入りの業者(信成科学の榎本忠夫さん)が訪ねて来てくれ、彼の家にある要らない「SCSI対応コンバータ」を安く譲ってくれることになった。問題は、それがMacintoshに対応していないことだが「ドライバをどこからか手に入れれば、使えるんじゃないか?」という彼の話を聞いて、私もそれに期待していた。

いざ試しにと、時間が空いたときにフィルムスキャナーに接続し、PCに認識させるために電源のスイッチを入れてみた。すると「USB装置"I-O DATA USB2.0-SCSI Bridge"に必要なドライブが使用できません。インターネット経由でドライバを探しますか?」というメッセージが表示され、OKボタンをクリックすると「ソフトウエア・アップデート」というコントロールパネルが起動し「ドライバを探しています」というメッセージの後、今度は「この装置(デバイス)のソフトウエアは見つかりませんでした。必要とされるソフトウエアの最新バージョンについては装置(デバイス)の製造者にお問い合わせください」というメッセージが表示された(最近のPCは賢いね!!)。インターネット上に、どうも必要なドライバは、なさそうである。

そこで裏技として、他社製品(Logitec)のMacintosh用USBドライバをダウンロードし、インストールしてみた。しかし、PCのシステム・プロフィールに「これらのシステム機能拡張は使用可能」と表示されても、USB装置そのものがドライバを認識できず、この試みは失敗に終わった(賢すぎるのも困り者である)。やはり、フィルムスキャナーの高額な値段を考えれば、Macintoshに対応したUSB装置(USB-SCSI変換ケーブル)を正規の値段で購入する以外に選択肢は、なさそうである(これだけで6,500〜7,300円する!!)。しかしプリンターに関しては、USB対応のものを中古ででも見つけて購入したほうが、安く上がりそうである。

1月20日は少し賢くなった日であった。接続するLAN(Local Area Network)ケーブルに、クロスとストレートがあることを初めて知ったのである。そもそもの新しい(とは言っても中古の)PCを購入するきっかけとなった、なかなかハードディスクにアクセスできない以前のPCから、Macintoshの「ファイル共有」機能を使って、研究データや論文原稿などを購入したPCに早急に移すのが、目下の至上命題であった。ところが以前のPCでは、これに関する機能を全て取り外してしまっていたので、システムの再インストールから必要な機能拡張書類やコントロールパネル書類を取り出すのに午前中を潰してしまった。

どうにかファイル共有機能が使えるようになって、双方のPCをLANケーブルで繋いでみたが、設定は正しいはずなのに、どうやっても互いを認識してくれない。半ば困りかけていたところに、また榎本さんがタイミングよく訪ねて来てくれ、原因がLANケーブルにある可能性が高いことを教えてくれた。それが、クロスとストレートの違いなのである。この問題を解決する方法は「使用しているLANケーブルがストレートのときは、2本のケーブルの間にハブをかましてやる」ことだそうで、この彼の説明を聞いて、すぐに私も「なるほど」と同意することが出来た。彼は本当に「打てば響く」と言おうか、こっちが知りたい情報を的確に話してくれるので、非常に助かっている(尋ねたことには答えようとせず(答えられず?)、こっちが知りたくもない情報を得意げに話す、どこの誰かとは大違いである。ちなみに、私は「へえ〜」と言える無駄な知識は大好きである)

その日の午後7時頃、接続に必要な「LAN: 5ポートスイッチングハブ; ET-FSWH5L2, I-O DATA PLANT」を、榎本さんが家から持って来て貸してくれた。こうして接続したPC(OS 9.1)のセレクタで見た「AppleShare」のファイルサーバウインドーに「Performa 6210」の文字が現れたときには、ちょっと感動してしまった。彼も小一時間ほど付き合ってくれて、ほとんどのファイルを移すことが出来た。「感謝、感激、雨あられ」である。

でも、ここで疑問に思う自分がいることに気付いた。別に、こんな「ハブをかます」などの面倒なことをせずとも、単にクロスケーブルで互いの「Ethernetポート」を繋いでやるだけでいいのではないのか?

榎本さんに尋ねると「クロスケーブルは需要がないので、ストレートケーブルより高い。2,000〜3,000円、するんじゃないか?」と言われた。「たかがケーブル一本に、そんな法外な値段はないだろう?」と思い、使ってないケーブルがあったら安く譲ってもらえるよう、彼に頼んでみた。それから直ぐに、彼が自宅から持って来てくれた未使用の「LANケーブル(クロス)1m; UTP-01-5ECR, Planex Communications」の値段は、288円であった。予想外に安かったことに彼も驚き「お金は要らない」と言ったのだが、只で譲り受けるのも悪いので、私が購入しているブルックスファームコーヒーの100gパックとの物々交換を申し出た。彼の好意に感謝する意味も含めて、100gパック3袋、締めて800円相当を渡すと、彼は「わらしべ長者みたいだ」と喜んでくれた。なんの、なんの、こっちも買い物に行く手間が省けて、万々歳である。

2月に入って少し時間が空いたときに、新旧のPCの「Ethernetポート」をクロスケーブルで繋ぎ、色々と「ファイル共有」機能を試してみた。これで明らかになったのは、以下の点である。いずれも、新PCから旧PCにアクセスしたときに可能な操作である。

(1) 旧PC内にあるファイルを新PCで読み込むことが出来る。
(2) 旧PC内にあるアプリケーションソフトを新PCで立ち上げることが出来る。

私が目論んでいたのは「新PCで、旧PCに接続してあるプリンターやフィルムスキャナーを使用しよう」とするものであった(2)。これが可能なら、わざわざUSB対応のプリンターやUSBポートに繋ぐためのSCSI対応コンバータを購入する必要もなくなるからである。ところが、私が期待していた肝心な操作は、どうも無理なようである。これで、しばらくは(USB対応のプリンターやUSBポートに繋ぐためのSCSI対応コンバータを購入するまでは)、なんとか騙し騙し旧PCを立ち上げ、プリンターの使用に際しては「新PCで作成したファイルを旧PCで読み込む」ことで、逆にフィルムスキャナーの使用に際しては「旧PCで作成したファイルを新PCで読み込む」ことで、それぞれ対応するしかなさそうである。

1月24日は、大変な日だった。はっきり言って、Macintoshのディスクトップにあるメニューは使い難いので、自分が使い易いようにカスタマイズするのが一般的である。そのため以前のPC(OS 7.5.1)で使用していた色々な便利グッズ(ツールバーをカスタマイズするナウメニュー、スーパーブーメラン、等々)が新しいOSで使えるかどうかを確かめるのに、丸一日を費やしてしまった。結局、ほとんどのグッズで、立ち上がる途中にPC(OS 9.1)が凍ってしまい「安全ピンでCD-ROMドライブを開けて、システムが入ったCDからPCを立ち上げ、ハードディスクドライブを開いて、凍る原因となった機能拡張書類やコントロールパネル書類を取り外す」という操作を何回か繰り返す羽目に陥ったのである。

今回は通販での購入ということもあり、商品を受け取ってから14日以内に、初期不良などの不具合を確認しなければならなかった。また、商品の保証期限は、リサイクル法との関連で30日間しかなかった。そのため、他の仕事に優先して、購入したPCを期限内に色々と試してみる必要があった。その過程で、損したかもしれない点と、得したかもしれない点が、ひとつずつ出て来た。

「損したかもしれない」と感じるのは、PCの内部バッテリが、電源を入れた「充電状態」でも消耗していく点であった。これが度重なるので、どうみても「バッテリが、へたっている」としか思えなかった。説明書きには「リチウムイオンバッテリ、最大5時間の連続使用が可能」とある。まだ電源から外して使用する機会がないので、どのくらいバッテリが持つのか分からないし、PCの置いてある部屋が夜中、寒すぎてバッテリが消耗している可能性も捨て切れないので、この件に関するクレームは付けないことにした。

その一方で「得したかもしれない」と感じるのは、PCのハードディスクの容量が増えていたことである。この機種の元々のハードディスクの容量は「10GB」で、インターネットショッピング商品の紹介項目にも、そう記してあった。だから私も、そのつもりで購入を決めた。ところが、PCのシステム・プロフィールで調べると、ハードディスクの容量は「30GB」に拡張されていた(実質的な容量は、27.94GB)。これは「通販会社が気付かなかった」とは考え難いので、単なる記入間違いの可能性が高い。問題は「この拡張が、中古PCの値段に、どう反映されていたのか?」という点である。まあ、でも、気持ち的には得をしたのかもしれないね(3)。

[脚注]
(1) 今どき、これだけのお金を出せば、Windowsなら、かなり高性能で新品のPCが買えてしまう(例えば、Dell)。でも私の場合、問題なのは「これまでのファイルが使用可能か?」という、PC同士の互換性なのである。それにはMacintoshがベストなことは言うまでもないが、そのMacintoshでも、インストールするOSには制約があり、OS X(10)ではダメなのである。また私の場合、何度も言うようだが、PCとその周辺機器、及びソフトウエアの購入は全て自腹である。これに対し「国公立大学の研究室は、研究費(一般に校費=国民の税金)で、新品のPCとその周辺機器、及びソフトウエアを何台も購入することが可能であり、研究室に所属する教官・大学生・大学院生は、それらを自分のものとして、当たり前のように使用している」という事実を、一般の方々も知っておいたほうがいいと思う。
(2) 新PC(iBook G3, OS 9.1)には「USB Printer Sharing」というコントロールパネルがあり、旧PCに接続されているプリンターがSCSI機器でなければ、いわゆる遠隔操作が可能なようである。でも、これだったら直接、USBポートにプリンターを繋げばいいだけの話である。
(3) これまで使用していたPC(Macintosh Performa 6210, OS 7.5.1)のハードディスクの容量が「500MG=0.5GB」しかなかったことを考えれば、10GBでも30GBでも、たいして変わりないのかもしれない。


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