山岳道路での駐車


ゴールデンウイーク期間中、都会から田舎、特に山あいの村を訪れる観光客に、常識のない連中が多い。

2005年4月28日〜5月1日、及び5月14〜15日の合わせて6日間、長野県北安曇郡白馬村で毎年恒例の両生類生息状況調査をおこなった。今回は、ハクバサンショウウオが長野県希少野生動植物保護条例で「普通指定種」としての指定を受けて初めての調査で、県の担当者4名を交えての調査も一日だけ実施された。この種は白馬村の天然記念物として文化財保護指定を受けているが、今回の条例で県レベルでの規制が掛かったことになる。もちろん、私たちの調査は、常に正式な許可を取っておこなわれているものである。

4月29日(金曜日)の午前10時12分頃、私たちが「奥の湿原」と呼んでいる場所に行こうとして自動車を走らせていると、舗装されていない山道の途中で、乗用車4台が道をふさいでいた。両脇はシラカバの林で、これ以上はどうやっても先に進めそうにない。クラクションを鳴らしてみたが、何の反応もない。どうも山菜採りか何かで、林の奥深くまで入り込んでしまっているようであった(1)。

このままでは全く埒(らち)が明かないので、来た道を引き返して、遠回りながら迂回路を走ることにした。ところが、この迂回路、日陰のところどころに融け切らない積雪が20〜50cmほど残っていて、これらの積雪を自動車で乗り越えるのには勇気が要った。こんな事態もあろうかと、まだ自動車にはスタッドレスタイヤを履かせていたこともあり、オートマチック車では滅多に使わないローギヤを選択することで、なんとか亀の子状態にならずに済んだのは、不幸中の幸いであった。

尾張小牧ナンバーの乗用車の持ち主は「そこから先は自動車が行かない」と勝手に判断して、天下の公道である山岳道路をふさいでしまったのだろう。だが、ここでは都会の論理は通用しない。上には山小屋もあるのだから、迷惑駐車も甚だしいところである。こういった人々には、もっと他人を思い遣る想像力を働かせて欲しい。そうすれば、世の中は確実に良くなって行くはずである。

[脚注]
(1) 今回、問題となる乗用車のナンバーを公表することは控えるが「多摩ナンバーの乗用車2台と野田ナンバーの乗用車1台が、縦3列に並べて道路脇に駐車している真横に、尾張小牧ナンバーの乗用車1台が駐車して完全に道をふさいでいる」という状況であった。


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