引っ越し


25年間、住み慣れた下宿を後にした。

2007年3月1日(木曜日)、新しいアパートに引っ越した。アパートは2階建てで、部屋数は全部で14室。その中の1階の一室である。玄関のドアを開けると、6畳一間の他に、ネコの額(ひたい)ほどの台所があり、一応、バス・トイレ付き(小さな、本当に小さな浴槽と洋式便器が一室に設置されている構造ではあるが、いわゆるユニットバスではない。浴槽は、ただ置いてあるだけで簡単に動かせ、お湯を張った浴槽の栓を抜くと、洋式便器を含む浴室の床全体に水が溢れ、最終的には排水口へと流れる)。6畳一間には押し入れとエアコンが、台所の流し台にはガス給湯器とコンロが付いている。洗濯機は、前の下宿の大家から、只で譲ってもらうことになった(廃棄するとリサイクル料金が掛かるから?)。築25年と古いこともあって、1ケ月分の家賃2万円は安いが、他に電気・ガス・水道料金が掛かるから、1ケ月で3万円弱の出費といったところである。造りがしっかりしている割りに、家賃が安いこともあって「昔は(高級?)学生アパートであったが、現在は住人の大半が社会人だ」という話しであった(学生アパートであった頃の家賃は知らないが、もしかしたら値下げしたのかもしれない)

私が研究生として在籍するため、指導教員をお願いしている渡辺勇一先生が、来年の3月で定年を迎える。それまでに、私も何処か他所に移ることを余儀なくされている。従って、この時期に新しいアパートに引っ越しても、1年も経たずに、また引っ越しをしなければならない。だから、本当は引っ越しをするのは嫌だったのだが、前の下宿(築31年)は4月以降に取り壊すことが決まっていて、3月いっぱいで出るより他に選択肢がなく、是非もないところであった(1)。

1月27日(土曜日)、引っ越すに当たって新しいアパートの大家と正式に契約し、敷金(2万円)と1ケ月分の家賃(2万円)を納めて来た。それから、関連するところへの住所変更届けの提出であった。その日のうちに、両親と妹夫婦には、新しいアパートの住所と引っ越しの日時を知らせた。

1月30日(火曜日)、独立行政法人日本学生支援機構奨学事業部返還促進課返還第一係に住所変更届けを郵送し、新潟大学大学院自然科学研究科の学務係に宿所届け・授業料関係住所変更届け・研究生期間延長申請書を提出した。それから、郵便物の転送のために、新潟大学前郵便局に転居届けを提出した(2)。

2月8日(木曜日)、天気も良かったので、散歩がてら、新潟大学から徒歩で20分くらいのところに在る、第四銀行内野支店に行って来た。登録されている総合口座の、住所変更手続きのためであった。ついでに、電気・ガス・水道といった、公共料金自動支払いの申し込み用紙をいただいて来た。この用紙は郵送での手続きが可能なサービスであったが、郵送用封筒の「代金受取人払」が「差出有効期間平成19年2月14日まで」となっていて、私が引っ越しをした3月1日以降の申し込みには、80円分の切手を貼って出さなければならなかった。

2月17日(土曜日)、大家から新しいアパートの鍵をもらい、小一時間ほど掛かって部屋の間取りを調べた。これは、これから搬入する荷物の配置を考えるための、事前の段取りであった。このアパートは窓のカーテンと衣装ダンスが備え付けでないため、これら(または、これらの代用品)の購入を考えなければならなかった。後は、6畳一間の畳の上に直接、堅いものを置くと畳が痛むので、カーペットを新規購入するかどうかを決める必要があった。

2月18日(日曜日)、幾つか量販店をめぐって、衣装ケースなどを物色して来た。とりあえず、衣装ダンスの代用品として、突っ張り棒(1580円)を購入した。この棒を、扉が蛇腹になっている押し入れの中に設置して、ハンガーに吊るしたジャケットやシャツなどを懸けようという算段であった。

2月20日(火曜日)からは、毎朝、大学に行く前に新しいアパートに寄って、少しずつではあるが、徒歩で荷物を運ぶことにした。その日は手始めに、6畳一間にカーペット代わりの「ござ(畳み表)」を敷いて来た。これは普段から使っていたものであったが、痛みが少ないので、そのまま使うことにしたものである。それから3月1日(木曜日)に掛けて、ガラス製テーブル、椅子、本棚、木製テーブル、等々をひとつずつ運び込んで行った。

2月24日(土曜日)、先日とは別の量販店をめぐって、新しい生活に必要と思われる物品を探して来た。ある量販店(コメリ西内野店、内野店)は他と比べて値段も安かったので、押し入れ収納ケース(3段×2=4500円)、パイプハンガー(シングル=980円)、木ネジ(洋灯×4=98円、洋折れ×4=98円)、カーテン([100×176cm]×2=980円)を購入し、その足で新しいアパートに寄って、早速、カーテンを吊るして来た。

2月25日(日曜日)、この日は新潟大学の入学試験で構内に入れなかったので、これ幸いと、半日がかりで大量の荷物を運んだ。まず、木製の古いベッド一式、未使用の寝具一式、衣装ケース、及び春物・夏物・秋物・冬物の衣類、等々である。

2月27日(火曜日)、前の下宿の大家から「2台ある洗濯機の1台を持って行っても良い」という許可を得たので、設置してある場所から1台の洗濯機を取り外し、綺麗に洗って、いつでも運べる状態にしてから、大学に行った。この日は午後2時半に仕事を早々に切り上げ、下宿に戻って、洗濯機、木製の整理棚、書籍類、等々を運んだ。洗濯機の設置に思ったよりも手間取り(何度やっても水がもれ、この日の取り付けは断念することとなった)、この日は結局、午後7時過ぎに作業を終えて下宿に戻り、最終的な荷物の整理と掃除をおこなった。

2月28日(水曜日)、冷蔵庫の電源を切って中身を取り出し、綺麗に掃除して、いつでも運べる状態にしてから、大学に行った。この日も午後2時半に仕事を切り上げ、下宿に戻って、冷蔵庫、食器棚、食器類、衣装ケース、衣装類、書籍類、タイヤ、等々、残りの荷物の大部分を運んだ。それから、量販店に、新しい下宿を見回していて思い付いた品々を買いに行った。購入したのは、トイレ用のサンダル(838円)、トイレの消臭力(ラベンダー=268円)、玄関掃除用の庭箒(シダ=198円)、エアコンのリモコン用の単4乾電池(日立マクセル・アルカリダイナミック×10=547円)である。

3月1日(木曜日)、この日の朝まで使っていた寝具一式、その他諸々の荷造りを済ませ、後は運ぶだけの状態にして、部屋を出た。6畳二間の一室で使用していた厚手のカーペットは、昨晩のうちに丸めて下宿の玄関先に出しておいたのだが、これの処遇を大家に確認してから大学に行った(「向いの家の奥さんが、カーペットを庭に敷いて除草剤代わりに使っているから、あげれば喜ぶよ」という話しであった)。この日も午後2時半に仕事を切り上げ、下宿に戻って、寝具一式、着替え、テレビ、等々を自動車に積んだ。それから前の下宿の大家に部屋の鍵を返し、お世話になった25年間の挨拶と、お茶を済ませて、自動車へと乗り込んだ(3)。

新しいアパートの駐車場に自動車を置き、隣に住んでいる大家に挨拶に行くと「今朝から2回もガス屋(内野農産株式会社)さんが来ている」と言われた。「この日、ガス屋が来る」という話しは聞かされていなかったが、新規契約が済まないうちはガスが使えず、風呂にも入れないことになるので、このことも念頭に入れる必要があったのかもしれない。大家がガス屋に電話をしてくれて、午後5時15分頃、再々度、新規契約と説明のために来てくれることになった。それまでの空き時間を有効活用し、東北電力と新潟市上下水道に電話連絡し、こちらも新規契約を結んだ。ガス屋との契約では「維持管理の保証金として10000円が要る」と言われ、予定外の出費ではあったが、その場で支払った。

この後は、新しい部屋で間取りを考えながらの荷物の整理整頓である。新しく購入した押し入れ収納ケース(3段2組)は、当初の予定では押し入れの下の段に入れて使うつもりでいたのだが、僅か1cm違いで入り切らず(轆[ころ]を取れば余裕で入るのだが......)、上の段に入れた。そのため、ここで使うつもりで買った「突っ張り棒」は、玄関を上がったところの壁に渡して物干し竿の代わりに使うこととし、ジャケットやシャツなどを懸ける衣装ダンスの代役として、組み立てたパイプハンガーを6畳一間の片隅に置いた。

3月2日(金曜日)、第四銀行宛てに、公共料金自動支払いの申し込み用紙(電気・水道)を郵送した。それから、新潟大学に近い、内野農産株式会社経営のガソリンスタンドに、液化石油ガス(=LPガス)用の預金口座振替申込書を持って行った(公共料金自動支払いの申し込み用紙には、北陸ガスと越後天然ガス[都市ガス?]の記載しかない)

3月3日(土曜日)、午前中2時間かかって、懸案だった洗濯機の取り付け作業を完了した。日曜日は洗濯の日だから、なんとか間に合って良かった(ダメだった場合、コインランドリーに行くことを覚悟していた)。「やり方が悪いからだ」と断言する人もいたが、私くらいの歳になると「自分に何が出来て、何が出来ないのか?」が、よく分かるようになる。他人よりも手先は器用なほうだから、今回のように、何度やっても上手く出来ないときは「道具のほうに問題がある」と考えるのが正解である。

洗濯機に水を供給するホースの先端にあるプラスチック製の取り付け口(硬質ゴムが中に入っている)を4ケ所のビスで蛇口に取り付ける作業で、水もれの原因は、洗濯機用水道の蛇口の形状にあった。この取り付け口を、試しに台所用水道の蛇口に取り付けてみると、水もれはピタリと修まったのである。この発見に至るまでの試行錯誤に要した時間は、およそ2時間中の1時間50分。ここで考えた。発想の転換である。台所用水道の蛇口と同型のものが、風呂場にあった。幸いにして、余り使う予定もない。よし、洗濯機用水道の蛇口と、そっくりそのまま取り替えてしまおう。これで解決であった。取り付け後、洗濯機用水道を全開にして水を流しても、水もれは全く起きず、快適そのものであった。

3月4日(日曜日)、量販店に行って、新しい暮らしに足りないと感じていた品々を購入した。風呂上がりに使う足拭き用のバスマット(1280円)、トイレットペーパー(シングル60m×12ロール=338円)、等々である。引っ越しに関する諸々の懸案事項は、これで一段落といったところである。

3月11日(日曜日)、先日の足りないものの購入から1週間ほど暮らしてみて、また足りないものが出て来た。そこで、量販店に行って、風呂のタイル掃除用のデッキブラシ(368円)と鏡(1080円)を購入した。他にも足りないと感じているものがあって(例えば、浴槽掃除用ブラシ、トイレ掃除用ブラシ)、それらは追々、買い揃えて行くことになる。

それにしても、1年も経たずに、また引っ越しである。この次は完全に新潟から離れることになるので、大学の現在いる部屋の膨大な荷物も一緒に持って行かなければならない。前述の住所変更届け以外にも、新しい所属の住所変更届け(例えば、学会、友人、知人に対して)や、銀行からの自動引き落としに関連する様々な契約事項(例えば、奨学金の返還、ホームページを開設しているプロバイダーとの契約、電気・ガス・水道といった公共料金)を処理しなければならない。今から、頭の痛い問題である。

最後に、蛇足ではあるが、新潟大学理学部は改修工事の真っ最中で、平日の騒音に悩まされている。しかも、保守点検やアスベスト工事のため、週末の稼ぎ時の土日に停電することが多く、非常に困惑している。明日の3月24日(土曜日)も、午前9時から午後7時まで停電だそうで、当初の予定は全て前倒しである。

[脚注]
(1) 下宿を取り壊すことを私が大家から聞いたのは2006年2月18日で、それから1年間以上の猶予があったわけだから、直ぐにでも、どこか他所に移れば良かったのかもしれない。しかし「それまでには就職先が決まって、新潟を離れることになるかもしれない」という微かな希望があったので「わざわざ引っ越すのは割に合わない」という判断が働いたわけである。
(2) 新潟大学前郵便局の話しでは「旧住所宛ての郵便物は、3月1日から1年間、新住所宛てに配達される」ということであったが「毎月初めに旧住所宛てに配達されるはずの郵便物が(この会社には住所変更届けを提出していないので)、未だに(この独り言をアップした時点で)届いていない」という現実をかんがみるに、1月30日に提出した郵便物転送のための転居届け用紙は、適切に処理されていない可能性が高いと思われる。この分じゃ、私の転居を知らないで出した郵便物は、宛先不明で戻されるか、どこか他に紛れてしまうんだろうなあ。
(3) この下宿には大学4年からお世話になっているので、長いもので、もう25年になる。毎月の家賃を光熱水料込みで25000円前後として計算すると、支払った下宿代の合計は、ざっと見積もっても軽く750万円を超えることになる。大都会での暮らしでは考えられないくらいの安さであろうが、毎月の生活費が込み込みで(研究生の授業料や旧日本育英会の奨学金の返還を含んで)10万円で暮らしている私にとっては、大きな出費である(もうちょっと稼ぐ気になれば収入も増えるのだろうが、そうすると、今度は調査・研究、並びに未発表データを学術論文にする作業に時間を費やせなくなってしまうので、そのバランス感覚が難しいところである)。


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