デジタルカメラ SONY Cyber-Shot DSC-T77 (2009年1月7日購入・2009年1月25日公開)
ロードテスト第41回で紹介したデジタルカメラCyber-Shot DSC-T50が突然壊れた。2009年に入ってすぐのこと1月3日であった。電源を付けるとカメラ全体が小刻みに震え、液晶を見ると画面も二重に写ってしまっていた。当然、写真を撮ってもまともには写らない。DSC-T50にはレンズシフト方式の光学式手ぶれ補正機能が搭載されている。通常はブレを検知した時にレンズシフトを行うところが、どうやらブレを検知しなくても常にレンズシフトを行ったまま止まらなくなってしまったらしい。カメラを上に向けると正常に戻る事もあったが、まともに使える状態ではない。 修理することも考えたが、そういった故障だと1万円以上は確実にかかるという。それにデジタルカメラは頻繁に使うので、修理の期間何週間も使えないのは結構きつい。そこで新機種を購入する事とした。それにしても前回に使っていた、DSC-W1を購入したのが2004年8月9日で、2006年11月9日に故障した。そして今回のDSC-T50が2006年11月29日に購入し2009年1月7日に故障した。結局どちらの機種も2年2ヶ月〜3ヶ月で故障している。偶然だとは思うが不思議な現象である。
さて、機種を選ぶ上で、必須条件と希望条件を考えて見る。 【必須条件】 1、800万画素以上 2、レンズが飛び出ないタイプ 3、レンズカバーが大型で、スライドすることで電源が入る 4、3倍以上の光学ズーム 5、3cm以内のマクロ撮影 6、2.5インチ以上、20万画素以上の液晶ディスプレイ 7、光学式手ぶれ補正とISO1600以上の高感度撮影機能 8、専用バッテリを使用する。 9、640×480ドット30fps以上の動画撮影 10、顔認識機能 【希望条件】 11、1000万画素以上 12、広角28mmの広角レンズ搭載 13、5倍以上の光学ズーム 14、3.0インチ以上のタッチパネル式液晶ディスプレイ 15、1280×720以上のHD動画撮影機能 16、300枚以上のバッテリ駆動 17、できるだけ薄型、軽量であること となる。 画素数は800万画素以上で、できれば1000万画素以上が欲しい(条件1、11)。薄型軽量でレンズが飛び出ないタイプがよい(条件3、17)。また、今のDSC-T50のレンズカバーをずらすことで電源が入るという方式が非常に便利なのでこれは必須である(条件3)。3倍以上の光学ズームは必須だが(条件4)、これは広角側が35mmのレンズの場合で3倍ズームで105mmとなる。広角28mmの広角レンズが希望であるが(条件12)、その場合にズーム側が弱くなるのは困るので、その場合も105mm、つまり3.75倍以上の光学ズームとなる。光学式手ぶれ補正と高感度撮影機能は必須だ(条件7)。液晶は2.5インチ以上の大きさで、20万画素以上の高詳細な液晶であることは必須であるが(条件6)、できれば今使っているDSC-T50が3インチのタッチパネル液晶なので、それと同等以上が欲しい(条件14)。今流行の笑顔認識までは必要だとは思わないが、携帯電話にも顔を認識してピントを合わせる機能が付いている今、この機能は欲しい。 さて、各社から様々な機種が出ているものの、レンズが飛び出ないタイプは意外と少ないことが分かる。PanasonicとCanonからは該当機種がなく、SONYの約半数とオリンパスの4機種、カシオの1機種と富士フィルムの2機種、ニコンの2機種となる。またその中でオリンパスの3機種とニコンの2機種はレンズカバーをスライドさせて電源オンにできない。結局SONYの機種と、オリンパスの1機種、カシオの1機種、富士フイルムの2機種の中から選ぶ事になる。簡単にこれらの機種をまとめてみた。
こうやってみると各社のスペックは似通っていることが分かる。また、いずれも希望条件の「広角28mmの広角レンズ搭載」「1280×720以上のHD動画撮影機能」「300枚以上のバッテリ駆動」は満たせないことが分かる。この中で、オリンパスのμ1050SWは光学式手ぶれ補正を備えていないのでまず候補から外れる。カシオのEX-V8は7倍ズームと言うことに惹かれるが、高感度が最大ISO800であり、今のDSC-T50より劣る事、マクロ撮影が弱いこと、他の機種に比べて分厚いことなど、ズーム以外は他よりも弱いため除外する。富士フイルムのFinePix Z250fdとソニーの2機種は良く似ているが、FinePix Z250fdの方が光学ズームが若干強く、ソニーの方がマクロ機能と高感度撮影が強い。どちらを購入しても良さそうだが、今現在使っているのがソニーであり、ソニーの2機種の方がメモリースティックを流用できること、液晶がタッチパネルになっていることから、こちらから選ぶ事にした。 後はDSC-T77とDSC-T700の2機種のどちらにするかだ。違いは、DSC-T700の方が液晶が大きく、液晶の画素数も高いこと、内蔵メモリが3.71GBある事である。代わりにDSC-T77の方が薄型で軽い。DSC-T700の92.1万画素液晶は、私の持っているハイビジョンビデオカメラ「HDR-SR11」(ロードテスト第56回参照)にも採用されている液晶で、実際に使ってみてその良さが分かっている。撮影時に相手の表情が判別できたり、ズーム時に対象物が判別しやすかったりと便利であったため惹かれるところだ。ところが実際に店頭で使用してみると、それほど綺麗に見えない。おかしいと思い調べてみると、どうやら映像処理の関係か、撮影時およびプレビュー時は間引かれて表示されるということだ。つまり高画素の恩恵にあずかれるのは再生時のみとなる。その上に、液晶が高解像度なわりに各アイコンが高解像度化されていないのか、ジャギーが目立って逆に汚く見える。もう一つのメリットの内蔵メモリであるが、コチラも調べてみると、内蔵メモリとメモリースティック間でのデータのコピーや移動ができないらしい。これまでメモリースティックをデジタルカメラから抜いてパソコンに挿し込むことで写真が見たり、パソコンに転送したりしてきた。しかし、内蔵メモリに記録してしまった場合、デジタルカメラをUSBケーブルで接続しなければならず、これが不便に感じるのだ。そうなると結局内蔵メモリを使わない恐れがある。以上から液晶の高画素と大容量の内蔵メモリはそれほどメリットになりそうもない。それなら安くて薄型のDSC-T77で十分だ。 発売からしばらく経ち、かなり価格が下がっている今がチャンスである。ヨドバシカメラマルチメディア梅田で25,800円で20%ポイント還元で購入できた。ちなみに、ここで歴代私の所持してきたデジタルカメラがどのように変わったか気になったので比較表を作成してみた。
これを見ると色々とおもしろい。まず当然のこととして画素数がどんどん上がっている。9年半で5倍になっている計算だ。その一方で価格はどんどん下がっている。3分の1以下である。それ以外に近年の機種では手ぶれ補正機能が搭載され、最高ISO感度もどんどんあがっている。また画面が大型化、高画素化する一方でビューファインダーが無くなっている。起動時間や撮影間隔は初代のCP-800からDSC-W1に変わる際に大きく改善しているが、その後は大きく変わっていない(むしろ高画素化に伴って遅くなっていることも)。この辺りで十分高速と言うことなのかもしれない。また本体サイズがどんどん小型化、そして軽量化されているのも分かる。CP-800から見ると、今回のDSC-T77は重量は約半分、厚みは半分以下になり、かなり携帯しやすくなっている。
まず手にとって思うのは、「薄い!」と言うことだ。これまで使ってきたDSC-T50もかなり薄い機種だが、それより更に最薄部で5.1mm、最厚部で8.4mmも薄型化しているのだ。この薄さで光学式手ぶれ補正と光学4倍ズームが入っているのが信じられないほどだ。さすが「光学式手ぶれ補正搭載で世界最薄」を謳っているだけはある。次に思うのが「デザインが上品」と言うことだ。今回はブラウンを選んだのだが、単に全体をブラウンにしただけでなく、上面の金属そのままの部分がシルバーモデルの「銀色」のままでなく、ブラウンに合う「金色」になっているのが高級感を醸し出している。この辺りはさすがにソニーといえる部分である。
では早速撮影してみよう。前面パネルをおろすと撮影できるのは、これまで使ってきたDSC-T50と同じである。前面パネルも厚みが4mmから1mm以下に薄型化しているため、手をかける上面部分が小さくなっているがパネルの前面を指でスライドさせれば問題なくスライドさせられる。かといって前面パネルが側面まで回り込んでいるためか、簡単にスライドしてしまう事はないので、ポケットやカバンの中で勝手に電源が入ることも無いだろう。電源ボタンを押す場合と比べて、非常に簡単に電源オンができるため、手軽にスナップ写真を撮れるほか、暗闇でも小さな電源ボタンを手探りで探す必要がないため、電源を入れやすい。
もう一つ電源を入れる時に気付くのが、DSC-T50にあったモード切替スイッチが無くなっていることだ、DSC-T50では「再生」「静止画」「動画」に切り替えられ、電源を入れるとそのモードで起動していた。しかし、今回は前面パネルをスライドさせると、とりあえず「撮影モード」に入る。その後、背面から上面に斜めに切り込まれている部分に付いている「再生ボタン」を押すと、再生モードに入るという訳だ。また動画撮影モードは、電源を付けた後に「撮影モード」の設定画面から「動画撮影」を選択することで行える。今までは動画と静止画は切り替えスイッチで対等の関係であったが、今回は、風景や夜景、プログラム撮影、高感度撮影などの撮影モードの一つに動画撮影が含まれるようになった。確かに従来はカバンやポケットの中で切り替えスイッチが動いていて、さっと取り出して撮影しようとすると、再生モードや動画撮影モードになっていて驚く事も多かっただけに、電源を入れるととりあえず前回の撮影モード(静止画なら静止画、動画なら動画)で起動するのは良くなったと言える。 撮影しようとして気付くのは液晶画面が前の機種より小さくなった事だ。実は前回のDSC-T50と今回のDSC-T77はどちらも同じ3.0インチ液晶である。ならば同じ大きさかと言えば実は表示方法が異なる。DSC-T50は縦横比が4:3の3.0インチ液晶であり、撮影時は全画面に表示される。一方今回は縦横比16:9の3.0インチ液晶である。ちょうどスクエアテレビからハイビジョンテレビの比率に変わったわけである。しかし、撮影する写真は通常縦横比4:3の画像である。230,400ドットという事であるから640×360ドットとなる。ここに4:3の画像を表示すると480×360ドットとなり左右に80ドットずつ使用しないエリアが出来てしまう。ではここはどうなっているかというと、タッチパネル式の設定ボタンが並んでいるのである。確かに、DSC-T50では通常はボタンが並んでおらず、「オンスクリーンキーボタン」を押すとメニューが表示された。しかし、撮影画像に重なって表示されるため画面が見にくくなってしまっていた。その点では、今回の方式なら「オンスクリーンキーボタン」を押すことなく、始めから設定ボタンが表示されているので、直接設定項目を開けて便利だと言える。しかし撮影画像表示域が小さくなってしまったのは残念である。ちなみに撮影画像を16:9にする「16:9+」モードにすると全画面表示されるが、L判写真に印刷しにい比率で、しかも画素数が700万画素になってしまうこのモードを使う人がそれほど多いとは思えない。操作は便利だが見にくくなってしまったと言う、メリットとデメリットが混在している。 実はこの問題は購入前に店頭で試用した際に気付いていた。上位機種DSC-T700の3.5インチ液晶の撮影画像表示域がちょうとDSC-T50と同じくらいだったのである。しかし、そのために上位機種を選ぶのもどうかと思ったのと、液晶画面自体はDSC-T50より明るく色鮮やかになっていたので、何とかなると判断した結果である。たしかに撮影画像表示域だけで2.4インチ相当の大きさがあるし、撮影する画像は綺麗に見えるので決して悪い液晶ではない。ただしDSC-T50より液晶の表面が柔らかく感じるのは少し不安だ。タッチパネル液晶なのだから触れても大丈夫だと思いながらも、触った瞬間に波紋が出るのが気になる。機能上は問題なくても、タッチパネル液晶はもう少し固い方が安心感がある。
実際に撮影してみると薄型になったわりにホールドしやすい事が判る。背面は四辺とも斜めに面取りされているが、構える時に持つ右手部分だけはリストストラップ取り付け部を兼ねたグリップが付いており、これが意外としっくり来る。またシャッターボタンは自然に人差し指が来る部分にあるので、押しやすい。問題はズームレバーで、シャッターボタンの右側にあるのだが、やたらに小さいのだ。操作できないという事はないが、はっきりと手の感覚で分からない所が不安になる。確かにこの位置にシャッターボタンを配置するとその右にスペースがないのは分かるが、もう少し工夫して欲しかったところだ。三脚用のねじ穴はあるので三脚も問題なく使用できる。ところで、この三脚用の穴を見ていると、厚みが結構ぎりぎりに見える。薄型にしつつ三脚用のねじ穴が用意できるぎりぎりのラインかもしれない。ちなみにバッテリとメモリースティックDuoは底面から挿し込む形となる。それらのフタは比較的しっかり作られており安心感がある。
撮影自体は非常に快適だ。反応も非常に良くシャッターチャンスを逃すこともなさそうだ。ここで、DSC-T50より良くなった点と悪くなった点を1つずつ。良くなった点は「オートマクロ」モードの存在だ。DSC-T50ではマクロ設定が「マクロ」「拡大鏡」「切」の3つから選ぶが、「切」では50cmまでしかピントが合わず、それより近づく場合は「マクロ」に設定しなければならなかった。まあ、当然のことなので特に不満に思っていなかったが、今回のDSC-T77では「マクロ」「拡大鏡」「オート」の3つになっている。「オート」にしておけば自動的にマクロになるので、8cmまではオートで撮影できる。細かい変更点だがありがたい機能だ。一方撮影モードが「オート」の時に、フラッシュの「強制発光」が選べなくなったのは残念だ。「発光禁止」と「自動発光」の選択肢はあるのだが、「強制発光」はプログラムオートモードにしなければならない。ロードテスト用の写真撮影などではどうしても強制的にフラッシュを光らせたい事がある。DSC-T50では出来ただけに残念だ。 操作メニューは比較的分かりやすい。日本語の説明も出るしタッチして選択できるので素早く設定が可能だ。その上に、液晶にメニューが表示されると言うことは暗闇でも操作ができると言うことなので、便利である。
再生画面は非常に便利だ。液晶が綺麗なので撮った写真も色鮮やかに見える。また、ズームレバーをワイド側にすると12枚並んだサムネイル画像になるし、逆にズーム側にすると8倍まで段階的に拡大できるため、撮影後の表情確認などが行え便利だ。しかしズーム側に一度倒すといきなりすると2倍になるのはびっくりした。その後ワイド側に倒してみると1.8/1.6/1.4/1.2/1.1倍もできるようだが、とりあえずこれらを飛ばして2倍表示になるらしい。DSC-T50では徐々にズームできたが、その方がズームする箇所が分かりやすくて私は良かったように思う。 今回よりスマイルシャッター機能が搭載されたので試してみた。液晶左上にある「スマイルマーク」を押すとスマイルシャッターモードに入り、もう一度スマイルマークを押すまで解除されない。スマイルシャッターモード時には画面の左端にバーが表示され、相手の笑顔度によりバーが上がり下がりする。三角マークの所までバーが上がるとシャッターが下りるようになっている。試しに色々な表情で試してみたが、確かにある程度の笑顔でないとシャッターが下りない。口角だけを上げたり、手で顔を歪ませたりと色々してみたが、かなりの確率で笑顔だけを認識している。認識した際のシャッターも高速なので、一瞬笑っただけでもしっかり笑顔で撮影できていた。複数の顔も認識できるので集合写真などでは便利だ。ただし、複数の顔を認識した場合、誰か一人でも笑顔になるとシャッターが下りるらしい。全員が笑っている写真が撮りたい場合は注意が必要だ。また、スマイルシャッターはオマケとしても、顔検出によるピント合わせだけでも十分便利である。またタッチパネル液晶を生かして、タッチした箇所にピントを合わせることも出来る。
購入時に気になっていたのが連写性能だ。DSC-T50は最大5枚までの連写と言うことで、バッファメモリを使う連写だと考えられるが、DSC-T77は最大100枚である。100枚となると直接メモリカードへ記録するタイプの連写だと思われる。一般的にバッファメモリを使うより連写速度が遅い印象があり気になっていたのだ。そこで、実際に撮影スピードを計測してみた。計測方法は、ストップウォッチをスタートさせると同時に連写を開始し、写真に写ったストップウォッチの表示から何秒目に何枚撮影できているかを確認した。メモリカードにはSONY製のメモリースティックPRO Duo MARK2の4GBを使用した。 これを見ると1.2枚/秒の連写性能となる。決して速くはないが、DSC-T50と比べて遅いとは感じない。また、100枚目まで速度が落ちないところは使いやすそうだ。また、100枚の連写が終了した後、1秒ほど「処理中」の文字が出ただけで、すぐに撮影が再開できたのもうれしい所だ。 最後に気になったのがバッテリの保ちである。前のDSC-T50の撮影枚数が400枚だったのに対して、DSC-T77は220枚と半減している。バッテリを見るとその意味が分かり、かなり薄くなってしまっている。バッテリ容量も1220mAhから680mAhとなっている。本体が薄型化したため仕方がないところなのだろう。実際に使ってみると、たしかのバッテリの減りが早い。DSC-T50だと持ち歩いて気になった場面で撮っていても、1週間は保っていたが、今は3日程度でバッテリ残量が1になってしまう。丸一日の外出の際は予備のバッテリが必要かもしれない。
続いて実際の撮影画質を見てみよう。
昼間に撮影した画像である。等倍にまで拡大してみても、奥のジャングルジムや木々など、細部までしっかり表現されている。唯一暗部に若干のノイズが発生してしまっているが、これはコンパクトデジタルカメラでは仕方がないレベルだろう。空の色も綺麗に出ていて、全体的に色も自然な鮮やかさで問題はなさそうである。
続いて暗所での撮影である。地下鉄の駅で入線してくる電車を高感度モードで撮影した。なお、これまで使っていたDSC-T50と今回購入したDSC-T77で比較を行っているが、画総数が異なる事から両方とも同サイズになるように縮小している。ちなみにどちらも高感度モードで撮影しているが、DSC-T50は最高のISO1000で撮影されており、DSC-T77はISO1600で撮影されていた。シャッター速度はそれぞれ1/80秒と1/100秒となっていた。 まず画像を見ると、DSC-T50では本来無い色がノイズとして入っており、単色のはずの表面がむらむらしている。また、赤い色の所に黒が入り色も変わってしまっている。一方、DSC-T77は表面は荒れているものの、偽の色が混ざることが無く全体にはノイズが少ない印象だ。しかも、DSC-T77の方がISO感度が上がっているにも関わらずノイズが少ないのは驚きである。 もう一つ言えることは、DSC-T77の方が暗い所でも被写体ブレを起こしにくいと思われることだ。今回はどちらも動きのある電車もぶれることなく撮影できたが、DSC-T50は最高のISO1000になってしまっており、これ以上くらい場所だとさらにシャッター速度が落ちてしまう。一方DSC-T77は今回でもDSC-T50よりもシャッター速度が速い上に、更にISO3200まで上げる余裕がある。 以上より昼間の画像は全く問題なく、さらに暗部で高感度モードを使用した場合でもノイズが思いの外低く抑えられていることが分かった。もちろん、被写体ブレが起きない場所では光学式手ぶれ補正だけで十分ぶれない画像が撮れる。ソニー独自の画像処理エンジン「BIONZ」が高感度撮影時のノイズ低減を謳っており、その効果がはっきり見える。画質は思った以上の満足いくものであった。
前述のようにバッテリ容量に不安が残るため、バッテリを追加購入することとした。DSC-T77で使用できるのは「NP-FD1」である。ヨドバシカメラマルチメディア梅田で5,280円(10%ポイント還元)で購入した。 さて、購入して初めて気付いたのだが、このバッテリはDSC-T77に付属しているバッテリと品番が異なるのである。今回購入したのはNP-FD1であり、DSC-T77付属のバッテリはNP-BD1である。容量は680mAhと変わらないのだが、デザインも若干異なる。
よく見ると、DSC-T77付属のバッテリは「LITHIUM ION」と書かれているのに対して、今回購入したバッテリは「InfoLITHIUM(インフォリチウム)」となっている。インフォリチウムとは、機器とバッテリー間で使用状況に関するデータ通信を行う機能を持ったリチウムイオンバッテリーである。そのため、DSC-T77の液晶ディスプレイに3段階のバッテリ残量表示ではなく、分単位の残量表示が行えるようになるという。これまで使っていたDSC-T50は付属のバッテリがインフォリチウム対応であったが、今回は付属のバッテリは対応していないことに初めて気がついた。DSC-T77を購入する際の注意点だろう。また、始めは、追加したバッテリを予備として、長時間の外出時のみ利用しようと思っていたが、インフォリチウムに対応したNP-FD1の方を常用し、DSC-T77付属のバッテリを予備にまわすことにした。
今回DSC-T77を購入すると、購入特典としてヨドバシカメラオリジナルの「ボ撮ルンです」が付いてきた。前々から気にはなっていた商品である。店頭で500円とかなり安く売っているが、もらえるのはうれしい。早速使ってみるとしよう。
この「ボ撮ルンです」は、ペットボトルを三脚代わりに出来るというアダプタである。「ボ撮ルンです」はペットボトルのキャップの上から被せることができるようになっている。ゴム製でペットボトルの周囲のギザギザに併せて内側がギザギザしているので、しっかりと固定できる。そして「ボ撮ルンです」の上部には三脚用のネジが用意されている。つまり「ボ撮ルンです」をペットボトルに被せることで、三脚用のネジ穴を使ってデジタルカメラをペットボトルの上に固定できるのである。しかも、ただ固定できるだけではなく、どの方向にでも30度傾けることができるので、カメラを上向きや下向きに固定でき、これを使えば三脚が無くてもセルフタイマーで全員で写真撮影ができるのである。また、このアダプタ自体は小さいものなので、デジカメと一緒に持ち歩いても苦にならないのがよい。しかも、キャップの代わりに取り付けるのではなく、キャップの上から被せるので飲みかけのペットボトルの上からでも安心だ。使ってみると意外と便利である事が判る。ちなみに三脚用ねじ穴が中心から極端にずれている機種や、250g以上の機種などでは使用できない。またズーム時にレンズが飛び出す機種はバランスに気をつけなければならないという。その点、DSC-T77は軽量だし、ズーム時にもレンズは飛び出ず、三脚用ねじ穴も中心近くに付いているので「ボ撮ルンです」に向いていると言える。ただ、ペットボトルの中身が少ない時はバランスを崩しやすそうなので注意して使用した方が良さそうだ。
突然の故障により買い換える事になったが、DSC-T77は比較的良い製品であった。特にこれまでの機種より更に薄くなった本体と、ブラウンとゴールドのオシャレなデザインは気に入っている。また画素数もアップし、光学ズーム倍率も最高感度もアップした。連写が最大100枚になったことや、マクロがオートになった事なども細かいながら便利な改善点だ。確かに今流行の広角レンズではないし、バッテリ駆動枚数も減ってしまったが、「気軽に持ち歩いて撮影する」という点が追求されており、また持ち歩きたくなるデザインをしていることが私にぴったりであると感じた。 (H.Intel) ■今回の関係メーカー・ショップ
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