第83回
PCI Expressスロット用eSATAインタフェースボード
バッファロー IFC-PCIE2ES
(2009年8月26日購入・2009年9月30日著)



eSATAインタフェースカードを増設する

 ロードテスト第84回で、センチュリーの「ドライブドアSATAボックス5BAY EX35ES5」を購入した。詳しくはロードテスト第84回に譲るが、この製品はハードディスクを5台収納可能なケースなのである。パソコンとの接続はハードディスクが何台になってもeSATA1本のみであり、1台ずつに1本接続が必要なわけではない。その点では便利なのだが、接続するeSATAポートはただのeSATAポートではなく「ポートマルチプライヤ」に対応したeSATAポートでなくてはならないのである。「ポートマルチプライヤ」とは1本のケーブルで最大15台の機器を接続を可能にしたeSATAの規格の一つである。もちろん、全てのeSATAポートが対応しているわけではない。
 今回、この「ドライブドアSATAボックス5BAY EX35ES5」を接続するのは、デスクトップパソコンSONY VGC-RM50である。この機種には元々はeSATAポートはないが、ロードテスト第69回で、外付けBlu-rayディスクドライブに付属していたブラケットを使用して、マザーボード上のSerialATAコネクタをeSATAに変換の上、背面ブラケット部に出すことで、eSATAポートを増設した。しかしマザーボード上のSerialATAコネクタでは「ポートマルチプライヤ」には対応していないので、このコネクタは使えないのである。また、そもそもこのコネクタには前述のBlu-rayディスクドライブをつないでいるので空きがない。
 そこで「ポートマルチプライヤ」に対応したeSATAインタフェースカードを増設することとした。eSATAインタフェースカードはPCIスロット用のものとPCI Expressスロット用のものがあり、VGC-RM50はどちらにも空きがあるが、「ポートマルチプライヤ」に対応しているのはPCI Expressスロット用の製品が多いようだ。また最大で5台つなぐ事を考えるとを考えると133MB/sのPCIスロットより、片方向250MB/s、双方向500MB/sのPCI Express(1Xの場合)の方が転送速度に余裕がありそうだ。そこでPCI Expressスロット用の製品の中から安定性や不具合の低さを重視して、有名メーカーの中から比較的安価だった、バッファローの「IFC-PCIE2ES」を購入した。Amazon.comで4,432円。この製品はコネクタが2つあり、両方とも「ポートマルチプライヤ」に対応しているため、今回1台接続する以外にもいろいろと使えそうである。また、「IFC-PCIE2ES」の公式ホームページには「同形状のeSATAでも、PCI接続の製品(転送速度 理論値150MB/s)に比べ、PCI Express x1接続の本製品は転送速度は300MB/s(理論値)となり、さらに高速化されています。」と書かれているため、やはりPCI Express用の製品を選んで良かったと言える。

「IFC-PCIE2ES」を増設する

 さて、早速増設してみよう。「IFC-PCIE2ES」は小型のパソコンに採用されているLowProfile PCI Expressにも対応できるよう、LowProfile用の交換ブラケットも付属するが、VGC-RM50は標準サイズなので、購入時に取り付けられているブラケットのまま増設作業を行う。

「IFC-PCIE2ES」のカード自体はずいぶんコンパクトだ。また、PCI Express 1X対応なので、端子部分は非常に短い。

「IFC-PCIE2ES」の背面ブラケット部である。eSATAコネクタが2つ並んでいる。Low Profile用の交換ブラケットも付属する。

 VGC-RM50に増設するためには、側板を外して内部にアクセスしなければならない。これまでメモリ増設、eSATAブラケット増設、CPU交換と何度も開けてきたので慣れたものである。背面のねじを2本外して、側板をスライドさせると取り外すことができる。側板全体が取り外せるので内部全体が見えて作業がしやすい。これまでのメモリ増設やCPU交換では、さらに真ん中を通る金属のバーや、3.5インチシャドウベイなどの取り外しも必要だったが、PCI Expressカードの取り付けは側板を外すだけで可能である。空きスロットは二つでPCIスロットとPCI Expressスロットの2つがあるので、PCI Expressスロットの方を確認する。そして、ねじを1本取り外して背面ブラケットカバーを取り外す。あとは「IFC-PCIE2ES」を、差し込むだけだ。マザーボード上のPCI Express用のスロットに傾けずに垂直に差し込む。VGC-RM50のPCI Expressスロットはより高速なx4対応だが、「IFC-PCIE2ES」はx1のカードなので、スロットの端子に対して「IFC-PCIE2ES」の端子は短いが問題なく使用できる。少し力を入れて奥までぐっと差し込んだら、背面ブラケット部のねじ止めをして増設完了である。一つだけ気になる点はeSATAのコネクタの位置だ。ブラケット用の穴の真ん中辺りでなく、ずいぶんと端ぎりぎりにコネクタがあるのだ。コネクタの端がかろうじてフレームに隠れていないという位置だ。これでコネクタが差し込めるのか少々気になる。

デスクトップパソコンVGC-RM50の側板を外したところである。今回は側板を外すだけで作業が可能だ。写真では下がパソコンの背面になるので、左右の真ん中の下あたりにPCI Expressスロットがある。

黒い細長いパーツが、PCI Expressスロットである。ここに「IFC-PCIE2ES」の端子(金色のところ)を差し込む。スロットはPCI Express x4対応だが、「IFC-PCIE2ES」はPCI Express x1対応なので、スロットに対して端子が短いが問題なく使用できる。


PCI Expressスロットに「IFC-PCIE2ES」を差し込んだところである。カードは小さいため奥の方に挿ささっている。端子が短いためこのままでは多少ぐらつくが、背面ブラケット部をねじ止めすればしっかり固定される。

VGC-RM50の背面のカードスロット部分である。左端の縦長のコネクタが二つ並んでいるのが、今回増設した「IFC-PCIE2ES」である。なぜか金属フレームぎりぎりの位置に端子があるが、ケーブルは何とか接続できる。

 増設も完了したのでパソコンを起動してみるとしよう。ちなみに起動時に付属のCD-ROMからドライバをインストール必要があるが、インストールが終わると特に問題なく動作した。続いて「ドライブドアSATAボックス5BAY EX35ES5」を接続してみる。気になったコネクタの位置だが、ブラケット部の周囲の金属パネルにコネクタ周囲のプラスチック部分が接触し、奥まで押し込めないのではという気もしたが、「ドライブドアSATAボックス5BAY EX35ES5」が問題なく認識され、内蔵した複数のハードディスクも正常に認識した。どうやらコネクタはちゃんと差し込めているようだ。また、複数台のハードディスクが認識されているということは、「ポートマルチプライヤ」機能も正常に働いたという事だ。「ポートマルチプライヤ」対応のインタフェースカードなのだから当たり前といえば当たり前だが、1本のケーブルで複数のハードディスクが認識しているのをみるとホッとした。



 今回の「ポートマルチプライヤ」対応eSATAインタフェースカードの増設は非常に簡単に、しかも比較的安価に行うことができた。eSATAポートがなく、インタフェースカードの増設を考えている人は、eSATAの速度を十分に発揮できるPCI Expressの製品を、また今は必要なくても今後必要になる可能性もあるので、ぜひ「ポートマルチプライヤ」対応のものを選んでおいていただきたい。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
バッファロー http://buffalo.jp/
IFC-PCIE2ES http://buffalo.jp/products/catalog/storage/ifc-pcie2es/



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