64GB SSD CFD販売 CSSD-S6M64NMQ (VGC-RM50のシステムドライブをSSD化する) (2011年3月31日購入・2011年7月6日公開)
デスクトップパソコンVAIO「VGC-RM50」に購入時から搭載されていたハードディスク、つまりシステムドライブが限界のようだ。ハードディスクからの健康状態を伝える「S.M.A.R.T.」から、危険であることを通達されたのである。VGC-RM50は2007年1月30日に購入(ロードテスト第45回参照)したものであり、現在で4年2ヶ月。使用頻度から考えて、そろそろハードディスクが故障してもおかしくはない。 さて、この「VGC-RM50」に搭載されているハードディスクは、メーカー製のパソコンにしては珍しく、RAID構成になっている。200GBの7200rpmのハードディスクをRAID 0構成にし、400GBの高速ドライブにしているわけである。RAIDはそのレベルによって使用方法や目的が大きく異なるが、RAID 0は2台のハードディスクに同時にアクセスし、並行して読み書きを行うことで、1台の場合よりも高速に読み書きが行えるようになるという構成である。TV番組の2番組同時録画やビデオ編集を目的とした機種らしい構成と言えよう。しかしデメリットがある。片方のハードディスクが故障した場合、1台ずつばらばらに使用している場合は、壊れていない方のハードディスクのデータは無事であるが、RIAD 0構成の場合は1つのファイルが2台のハードディスクに分散して書き込まれるため、1台が壊れると、すべてのデータが救い出せなくなる可能性が高い。つまり安全性を低下させて高速化をする方法である。パソコンが古くなるにつれて、この方法が不安になっていたのも事実だ。そこにきて、この故障しかけているという診断なので、素直に従って交換することとした。 ちなみに、これを機にパソコン自体を買い換えるという方法もある。しかし、今回は故障箇所がはっきりしている上に、交換が簡単であること、またこれまでCPUの交換やメモリの増設、ハードディスクの増設などを行い、性能的にはまだ使えるレベルであることから、もう少し自分で交換して使うこととした。
RAID構成のハードディスクを交換してRAID構成を続けるとなると、両方のハードディスクを交換する事になる。そのため、通常は同じハードディスクを2台購入することになる。しかし、VGC-RM50のハードディスクは200GBのハードディスク2台で400GBである。現在ならば、1台でも十分にその容量以上のものを用意できる。つまり容量的には1台でも十分なのだ。また速度的にも、4年前と比べるとハードディスク単体での速度は大きく上がっているはずだ。現在の速度より遅くなるなら困るが、1台で同等の性能を得られるなら、無理して故障の危険性の高いRAID 0を使用し続ける必要はない。そこで、少し前にVGC-RM50内蔵のハードディスク(Seagateの「ST3200827AS」)でベンチマークテストを行ったときの結果と、現在内蔵されている、2TBのハードディスクWestern Digitalの「WD20EARS-00MVWB0」の結果を比べてみることとした。「WD20EARS-00MVWB0」は回転数が5400rpmのドライブで、速度よりも静音性や低消費電力をうたった低価格製品だが、667GBプラッタを採用しキャッシュも64MBある最新ドライブである。 これを見ると、驚くことにランダム4Kライト性能以外は、すべて「WD20EARS-00MVWB0」の方が高速という結果になった。かといってランダム512Kライト性能以外は大きな差ではなく、シーケンシャルライトにいたってはほぼ同じ速度となっている。しかし、VGC-RM50購入時に搭載されていたハードディスクは、「WD20EARS-00MVWB0」と比べると回転数が高速でしかもRAID 0構成になっているにも関わらず、同等レベルなのには目を疑った。そこまでハードディスクの性能は進歩していたのか。そこで、もう少しスペックを比べてみることとした。 比べてみると、性能の違いがよくわかる。大きく違うのはプラッタ容量だ。この4年ほどの間で、約5倍になっているとは、ハードディスクの進歩の速度には驚かされる。プラッタ容量が大きくなれば、プラッタの物理的なサイズは変わらないのだから、より密にデータが記録されていることになる。という事は同じ回転数でも、読み書きその速度は上がることになる。ST3200827ASの方が回転数は1.33倍高速だが、プラッタ容量は5分の1という大差になれば、さすがに速度は大きく劣ることになるのだろう。バッファ容量の差も少なからず影響しているはずだ。 ハードディスクの進歩についてはさておき、この結果を見る限り無理にRAID 0構成を続けなくても、十分な読み書き速度は得られることがわかった。ここで使用した「WD20EARS-00MVWB0」ならば2TBの容量で、2011年3月末現在で7,000円を切る価格となっておりコストパフォーマンスは非常に高い。また、せっかく交換するのだから少し高速化したいのであれば、7200rpmのドライブならば、2TBで1万円弱、1TBで6,000円前後とこちらでも十分安い。とりあえずRAID構成は解除する事は決まりである。
ところで、最近、ハードディスクに代わってSSDを搭載するのが流行っている。SSDとはSolid State Driveの略で、いってしまえばハードディスクのディスクの代わりにフラッシュメモリを使用した製品である。フラッシュメモリを使用するため、読み書き性能が圧倒的に速く、特にディスクの回転やヘッドの移動が不要なためランダムアクセスが比べものにならないほど速い。一般的にWindowsやアプリケーションの起動ではランダムアクセスが多発するため、ランダムアクセスが速いということは、Windowsやアプリケーションの起動が高速になるわけである。そのほか、動作音がほぼ無い点もメリットになるほか、ノートパソコンに使用する場合は消費電力が少なく、発熱が少ない上に耐衝撃性にも優れている点もメリットとなる。反面、フラッシュメモリを使用して何十GBの容量とするために、価格はハードディスクと比べるとかなり高く、また容量的にも数十GBからせいぜい数百GBまでとなっている。また、書き換え可能回数に上限があるため、頻繁にデータを書き換えるような使い方をすると、すぐに使用できなくなってしまう。そのため、WindowsやアプリケーションをインストールするシステムドライブだけSSDとして、起動を高速化し、データの保存には安価で大容量なハードディスクを併用するという方法が一般化している。 SSDは基本的にはハードディスクと同じように使用できる。インタフェースや電源は同じもので、サイズも2.5インチハードディスクと同等であるため、今回VGC-RM50にもハードディスクの代わりにSSDを取り付けることも可能なわけである。しかし、これまでは容量も20GBや30GBといった製品が多く、価格も数万円とかなり高価であることから、さすがに購入するのはためらっていた。しかし最近では特にパソコン雑誌でSSDの特集が組まれることが多く、新製品情報もSSDばかりで、ハードディスクの情報は隅に追いやられている。そこで、試しに詳しく調べてみると、なるほど特集記事が多くなるわけである。少し前に比べると容量が多くなり、64GB〜128GB程度の製品が普及価格帯の製品となっている。また価格もかなり下がっており、64GBの製品なら1万円台、128GBの製品でも2万円台で購入できるようになっている。つまり、SSDが手の届くレベルになっているのである。そこで今回はせっかくシステムの入ったドライブを交換する機会なので、一気にSSDへ交換することに決めた。VGC-RM50自体は古いため、あとどれだけ使用できるか分からないが、SSDを買っておけば新しいパソコンに買い換えても使用できるため問題ないだろう。
ハードディスクは回転数によって何種類かに大別でき、回転数とプラッタ容量でだいたいの読み書き性能が分かった。しかし、SSDは搭載するコントローラチップの性能やフラッシュメモリの性能などによって、読み書き性能に違いが出るため、製品によって読み書き性能に大きな差があり、しかもスペックを見ただけでは読み書き性能が判断しにくい。つまり、ハードディスクのように7200rpmで1TBという事だけ決めておき、あとは店頭で安いものを購入しようというような考え方はSSDには通用しない。幸い、各メーカーは製品の読み書き性能を記載するため(逆に言うと記載しないと他の製品と比較できない)、これを見てしっかりと機種を決める必要がある。 今回は急な出費となるため、それほど高価な製品を選ぶことはできない。そこでパソコン雑誌などを見て、容量が64〜128GBの製品から、いくつか候補を出してみた。 |
(Micron Technology) |
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とりあえず実売価格で、128GBモデルが27,000円以下、64GBモデルが14,000円以下という比較手に手ごろな価格の製品の主なものを一覧にしてみた。こうやってみると、様々な製品があり速度も様々だ。この中で注意点はインタフェースだ。Serial ATAなのは当然だが、最新のSerial ATA 3.0に対応しているか、これまでのSerial ATA 2.5止まりかという違いがある。Serial ATA 2.5の転送速度は300MB/sである。ハードディスクではそれほど問題にならない300MB/sという限界速度だが、SSDでは高速化が著しく、300MB/sを超える製品も出てきた。しかし、インタフェースがSerial ATA 2.5では、そこがボトルネックになって300MB/s以上の速度は出ない。そこで最新機種では転送速度が600MB/sのSerial ATA 3.0に対応している。一覧でも、シーケンシャルリード性能が300MB/sを超える製品は、すべてSerial ATA 3.0対応である。 それでは機種を見てみよう。Intelの「X25-M Mainstream SATA SSD」は2009年の発売の機種で、ロングセラーとなっている製品だ。発売から時間がたっているため性能面では劣るが、製品としての信頼性は高く、販売数が多いためインターネット上での情報も多い。他社が64GBまたは128GBとなっているのに対して、80GBという容量がラインナップされているのが珍しい。そのIntelの最新モデルが「SSD 510」で、Serial ATA 3.0に対応し、リード性能が450MB/sと他の製品よりさらに1ランク上の速度となっている。高性能な製品のため120GB未満のモデルはない。Micron Technologyの「Crucial RealSSD C300」は、インタフェースにSerial ATA 3.0を採用した最初の製品で、初めて300MB/sを突破した製品だけあって、発売からやや時間のたった今でも十分高速だ。その一方で価格はこなれてきているのもポイントだ。CFD販売の「SSD S6MQ」は、このMicron Technologyの「Crucial RealSSD C300」のOEM製品であり、全く同じ性能だ。ただCFD販売の製品の方がパソコンショップや家電量販店で販売されていることが多く手に入りやすい。そのCFD販売のSSDには下位モデルがあり、それが「SSD SNS1Q」だ。キャッシュを搭載していないため速度面では劣るが、その分価格がかなり安い。A-DATA Technologyの「S596 Turbo」は、Serial ATA 3.0に対応しておらず、読み込み速度は260MB/sと標準的だが、書き込み速度が速いのが特徴だ。またUSB端子を備え、外付けSSDとしても使用できる。Samsungの「470」はフラッシュメモリに高速なDDR NAND型を採用しており、書き込み速度はかなり高速だ。残念なのはSerial ATA 3.0に対応しておらず、読み書きの速度がともにSerial ATA 2.5の限界値あたりで頭打ちになっているように見えることである。 さて、まず気になるのは書き込み性能にこだわるかどうかだ。書き込みが高速なモデルは、読み込み速度に迫る書き込み速度である一方、それ以外の機種は、ハードディスクよりも遅い機種もある。書き込みは高速なのに越したことはないが、今回は外すこととした。理由は2点あり、一つは書き込みが高速な機種でSerial ATA 3.0に対応した機種が無く、読み込み性能がそれほど高くないこと、もう一つはSSDではWindowsやアプリケーションをインストールして高速に起動できるようにするのが目的であるため、アプリケーションのインストールといった作業の時ぐらいしか書き込み性能の良さを実感できない事が挙げられる。そのため、読み込み性能を重視することとした。 次に気になる機種は「X25-M Mainstream SATA SSD」である。信頼性が高く、インターネット上でも情報が多いというのは、初めてSSDを購入する身にとっては安心感がある。しかし、性能の割に価格が安くないのが気になる。価格が安いといえば「SSD SNS1Q」だが、SSDではキャッシュを搭載しているかどうかが性能に影響しやすいため、さすがにここまで価格重視にするのもどうかと思う。逆に「SSD 510」の性能は魅力的だが、価格は高く、SSDが本当に便利なものなのかこれから体感していく今回のようなパターンでは、やや欲張りすぎのように感じる。 結局、選んだのは「Crucial RealSSD C300」又はそのOEM製品の「SSD S6MQ」である。Serial ATA 3.0に対応し、読み込みが比較的速い割に価格がかなり安いのが魅力だ。速度と価格のバランスがちょうど良さそうである。また、メーカー的に信頼性が高いのかどうか分からないところだが、2011年2月時点でのMicron Technologyのシェアは26.3%で、OEM先のCFD販売が23.6%なので、併せると49.9%となる。つまり、販売されるSSDの2台に1台はMicron Technologyの製品と言うことになる。製品の信頼度が低ければ、これほどまで売れないと思われるため、この点は安心である。また、1年前の時点でのシェアは13.5%だったことを考えると、「Crucial RealSSD C300」がいかに売れたかがよくわかる。また「Crucial RealSSD C300」自体のシェアだが、2011年2月時点で64GB版が19.2%でトップ、OEM製品の「CSSD-S6M64NMQ」も3位で、併せると26.8%にもなる。さらに128GB版も併せると33.2%になり、「Crucial RealSSD C300」が如何に売れているかが分かる。よく売れていれば、インターネット上での情報も多いため、いざ問題が発生したときに、情報が得やすいという点でも安心感があるだろう。 ちなみに600MB/sの速度で転送するためには、SSD側だけでなくパソコン側もSerial ATA 3.0に対応している必要がある。Serial ATA 3.0はごく最近搭載されだしたばかりで、4年以上前のパソコンであるVGC-RM50は当然対応していない。そのため、今回は最大300MB/sに制限されるが、近いうちにパソコンを買い換えても、今回のSSDを使い回すことに決めているため、その際には真の性能が発揮されるはずだ。
機種を決めたら問題になるのが、容量である。ハードディスクの場合、例えばWestern Digitalの5400rpmの機種を例にすると、2011年3月末時点で、1TBが4,980円、1.5TBが5,380円、2TBが6,880円となっており、容量の差ほど価格には差がないことが分かる。一方、今回購入するCFDの「SSD S6MQ」シリーズの場合、64GBが12,000円、128GBで23,000円と容量が倍になると価格がほぼ倍になっている。ハードディスクの場合は容量単価を考えれば最大容量のものに決まるが、SSDの場合はそうはいかないことになる。 さて、今回SSDに換装するVGC-RM50では、前述の様に200GBのハードディスク2台がRAID 0構成になっており、見た目上は400GBのハードディスクの様に見える。このうち約7GBがリカバリ領域になっており、Cドライブを約110GB、Dドライブを262GBとしている(Windows上での容量表示の関係で、合計は400GBにはならない)。Cドライブの空き容量は35GBあるので、実質Cドライブは75GB使用している事になる。この状態ならば128GBのものを購入するしかないが、1万円以上の価格差があることを考えれば、できれば64GBのもので済ませたい物だ。そこで、Cドライブのデータを減らすことができるか検討してみた。 まずは、デスクトップや共有フォルダにあるファイルは全てDドライブへと移した。マイドキュメントにはファイルを保存していないので問題ない。あと、容量が大きいのは送受信したメールデータである。Windows Liveメール上で、保存フォルダをDドライブに変更すると、これまでに送受信したメールデータも次回起動時にデータがDドライブに移動し、これから先送受信するメールもDドライブに入る様になる。しかし、これまでに送受信したメールデータはDドライブに「コピー」されているので、コピーが正常に行われたのを確認したらCドライブのメールデータは削除した。これでかなりさっぱりしたが、使用容量は60GB程度有り、64GBのSSDにすると空き容量がほとんどなくなってしまう。そこで探していたところ、動画編集ソフトでハイビジョン動画を編集する際に、解像度を落とした編集用のファイルである「プロキシファイル」が勝手に作成されている事が分かった。これが意外と大きく、12GBのあったため、削除すると使用容量は一気に48GBになった。ついでに今後勝手に作成されても大丈夫な様に、作成先をDドライブに変更した。そのほか、既にVGC-RM50に付いているアナログテレビチューナは使用していないので、関連するソフトウェアを思い切って削除したりし、さらに使用容量を減らすことができた。 しかし、これで安心していてはいけない。SSDに換装するとなると、アプリケーションの起動の高速化の恩恵を受けるためには、アプリケーションがCドライブにインストールされている必要がある。ところが、Cドライブの空き容量が少なかった頃に、いくつかのアプリケーションをDドライブにインストールしているのである。これではSSDの恩恵を受けられない。そこで、良く使用するソフトウェアや、起動に時間がかかるソフトウェアの中でDドライブにインストールしていた物をCドライブにインストールし直した。逆に、Cドライブにインストールしているソフトウェアの中で、ほとんど使わないソフトウェアはDドライブにインストールし直した。 そして最終的には、Cドライブの使用容量は43GBとなった。これならば64GBのSSDでも問題なさそうだ。購入する製品は「CTFDDAC064MAG-1G1」またはそのOEM製品の「CSSD-S6M64NMQ」とする事にした。ただし、128GBの製品が特価などで極端に安くなっていれば、そちらを購入するという条件付きである。
さて、それでは大阪日本橋のでんでんタウンの各パーツショップを見て価格調査を行った。その結果、128GBの「CSSD-S6M128NMQ」は19,750円〜21,970円と思っていたよりは安いが、64GBの「CSSD-S6M64NMQ」も9,980円〜10,970円といったところで、ちょうど価格は倍になっており全体的に価格が下がっているだけの様だ。128GBの方が特別お買い得というわけではないので、当初の予定通り、64GBの「CSSD-S6M64NMQ」を購入した。ちなみにCFDが販売しているOEM製品の方を購入しているが、OEM元のCrucial(Micron Technology)の方の「CTFDDAC064MAG-1G1」は10,570円〜11,980円と、CFDのものより1000円程度高いのが相場の様だ。またCFDの製品の方が販売している店舗も多く、実質的にはCFDが販売している方を購入するのが一般的な様である。 CFDの「CSSD-S6M64NMQ」はソフマップなんばザウルス2で9,980円(1%ポイント還元)で購入した。12,000円前後と思っていただけに、1万円を切る価格で購入できたのはうれしい事だ。ちなみに、これまではCドライブとDドライブを合わせて400GBあったため、64GBのSSDだけでは容量が不足することから、2TBのハードディスクもSeagateのBarracuda LPシリーズ「ST32000542A」も同時に購入した。これを現在容量が不足しがちな1TBのドライブと交換することで、1TBのハードディスクを捻出し、これをDドライブとして使用することにする。これに関しては次回のロードテスト第123回を見ていただきたい。
それでは早速、購入した「CSSD-S6M64NMQ」を見てみよう。箱はかなり小さく、メーカー製の増設メモリのようなイメージだ。箱から出してみると、非常にシンプルな製品が出てきた。サイズは2.5インチハードディスクと同じなのだが、見た目はずいぶん異なる。3.5インチハードディスクなど比べると小さいのは同じだが、2.5インチハードディスクは表面に凹凸があり、表面積を増やして放熱能力を高めようという工夫が見られる。それに対して、「CSSD-S6M64NMQ」の表面は完全に平面で、ただの金属の箱の様だ。しかもハードディスクなら表面は光沢感のある金属質で、裏面は黒いプラスチックのようなものだが、「CSSD-S6M64NMQ」はザラザラした非光沢であるため、印象が異なる。また、表面は四隅にネジがあるだけでロゴも何も無いため、一見するとSSDとは思えないほどだ。 裏面も同じ表面素材ではあるが、こちらにはラベルが貼られており、型番やシリアルナンバーの他、容量や「SATA 6Gb/s」の文字も見える。また、裏面の縁にはSerial ATAのコネクタが見えるため、やっとSSDらしく見える、このコネクタは一般的なハードディスクと同じであるため、ハードディスクから換装する際に気にする必要がない。ところで、ハードディスクと最も異なるのは重量だ。ハードディスクの重さになれていると、思いの外軽くて驚く。SSD自体が軽いのもあるだろうが、容量が64GBとラインナップされている中では容量が少ない方なので、搭載しているチップ自体が少ないこともあるのだろう。
ちなみに付属品には、取り付け用のネジの他に、3.5インチハードディスクサイズにするためのアダプタも付いている。ノートパソコンに搭載する分には2.5インチ同士なので問題ないが、デスクトップパソコン使用する事もあるために、3.5インチベイに合う様にアダプタが付属しているのだが、なかなか親切である。このアダプタは非常にシンプルで、金属板の両端を少しだけ立ててあり、3.5インチハードディスクの底面と側面のねじ穴の位置に穴が開けられている。また、中央のSSDを取り付ける部分も少し盛り上がっているが、これは「CSSD-S6M64NMQ」を裏側からネジ止めするため、ネジが飛び出さない様にするためと思われる。
今回、SSDに換装するにあたって、これまでのシステムをそのままSSDに引っ越しさせる方法と、SSDに換装する際にシステムのリカバリを行い、1からSSD上でシステムを構築する方法がある。後者の方が良いとは思うのだが、様々なソフトをインストールし、設定も行ったこの環境を1から作るのは非常に面倒だ。そこで、今回はこれまでのシステムをそのままで、SSDに引っ越しすることとした。 といっても、単純にWindows上でCドライブの内容を全てコピーするだけでは駄目である。Windowsを起動している状態では、システム関係のファイルがコピーできないため、それだけではWindowsを起動させることができない。ドライブの内容を丸ごとコピーできるソフトを利用する必要がある。フリーソフトをいくつか組み合わせても実現できるが、システムドライブの換装やSSDの利用という初めてのことづくしなので、できるだけトラブルが少ない様にと、市販のソフトを利用することとした。数種類のソフトが出ているが、今回はコピー元がRAIDドライブであること、コピー先がSSDであること、コピー元よりコピー先の方がドライブ全体の容量が少ないこと、そのためコピー元のハードディスクの中からCドライブの内容だけをコピーしたいことなど、容量の大きなハードディスクに買い換えて環境をコピーする場合と比べると特殊である。そのため、そういった状態でも問題なくコピーが行えるソフトが必要である。しかし各ソフトの公式ホームページを調べてみると、なかなか可能だと断定できない場合が多かった。そこで各社にメールで問い合わせをして決めることとした。その結果、質問内容と答えが大きくずれていたり、できるとは思うが保証していないという返信が多い中、アーク情報システムだけが問題なく行える旨の返信があった。そこで、アーク情報システムの「HD革命CopyDrive 4」を使用する事とした。 このソフトはWindowsが起動していない状態で直接CD-ROMから起動することもできるが、Windows上でどのドライブをどのドライブにコピーするか、空き容量はどうするかといった事を設定しておき、再起動すると、Windowsが起動する前にコピー処理を行ってくれる。ロードテスト第107回で紹介した、ハードディスク用クレードルの「裸族のお立ち台eSATAプラス」を使用して「CSSD-S6M64NMQ」を接続し、コピーを行った。コピー元のハードディスクはパーティション分けがなされており、CドライブとDドライブ、リカバリ領域がある。今回はこのうちCドライブのみをコピーするように設定した。この際、「リカバリ領域などをコピーしないと起動できないことがある」というメッセージが表示されるが、無視して進む。これが後々問題となる訳だが、とりあえずこのときはCドライブを「CSSD-S6M64NMQ」へコピーが完了した。「HD革命CopyDrive 4」の操作は非常に簡単でわかりやすかったため、マニュアル等を見ることもなく、手軽にコピーが行えた。やはり市販のソフトを購入して良かったと思う。
それでは、取り付けに移るとしよう。取り付けるパソコンVGC-RM50は前面からハードディスクの取り外しが可能になっている。前面のハードディスクベイは4基あり、上2段が購入時に搭載されていたハードディスクだ。そこで、一番上のハードディスクを取り外して、SSDと交換することとした。 交換自体は簡単で、VGC-RM50の前面のパネルを2つ外すと、ハードディスクにアクセスできる。ハードディスクのコネクタは前方側にあるので、これを抜いて、レバーを起こして引っ張ると、ハードディスクケースごと抜ける。このケースは4カ所のネジを外すと上蓋が外れ、なかからハードディスクが出てきた。ちなみにこのケースは振動防止のためのもので、ケースの側面4辺と先ほど開けた上蓋にはクッションが取り付けられており、それによってハードディスクをしっかり押さえることで振動を防止している。ネジ止めなどはされていない。購入時からずっとこの状態であったため、クッション材とハードディスクが密着してしまい、簡単には外れなくなっているが、隙間からマイナスドライバーを挿し込んではがしていくと、無事に元のハードディスクを取り出すことができた。
続いて「CSSD-S6M64NMQ」を取り付ける。今回は3.5インチハードディスクと交換になるため、「CSSD-S6M64NMQ」には3.5インチアダプタを取り付ける。そしてハードディスクケースに収納する。3.5インチアダプタの長さが3.5インチハードディスクより短いため、左右はきっちり収まる物の、前後は余裕ができてしまう。VGC-RM50のハードディスクケースにはねじ穴もないことからしっかりと固定することはできないが、SSD自体、ハードディスクのように振動する物ではないため、この状態でも問題ないだろう。あとは上蓋を閉めて完了と思ったのだが、思わぬ落とし穴が待ち受けていた。 このハードディスクケースは前述の様に振動防止のために側面の4辺と上蓋にクッション材が付けられている。この側面の内、手前側だけ高さが半分になっていて、上半分が空いている形になっている。そして、このケースにハードディスクを入れる際、ハードディスクは上下逆さまに入れる。ハードディスクのコネクタは側面の下の方にあるため、上下逆さまに入れることでコネクタが上の方になる。そしてちょうど、先ほどのケースの上半分が開いている部分からコネクタが見え、ケーブルが挿せるという仕組みである。ところが、SSDは3.5インチハードディスクと比べると縦横の大きさが小さいだけでなく、厚みも小さくなっている。具体的には、3.5インチハードディスクは厚みが26.1mmなのだが、「CSSD-S6M64NMQ」は9.5mmしかない。これではSSD自体が空いている隙間よりも深く沈み込んでしまい、コネクタが見えなくなってしまうのである。このままでは「CSSD-S6M64NMQ」がVGC-RM50に取り付けられない。ネジ止めもできないため、上の方に浮かせておくこともできず、かといって無理矢理ケーブルを挿して、ケーブルの力だけで浮かせておくのも、コネクタに負担がかかりそうで問題だ。
何か良い物はないかと言うことで、ヨドバシカメラマルチメディア梅田に探しに行ってみた。これで何も無ければ、下に厚い金属板でもかまして、高さを稼ぐしかないと考えていた。しかし、今の世の中探せばある物である。SSDを3.5インチサイズに変換するアダプタは数多く発売されていたのだが、その中に上の方にSSDを固定できる製品がいくつかあったのである。そもそも、この製品はSSDや2.5インチハードディスクの厚みが、3.5インチハードディスクの厚みの半分以下であることに目を付け、3.5インチベイにSSDや2.5インチハードディスクを上下2段に搭載できる様にするアダプタである。このアダプタの上段に「CSSD-S6M64NMQ」を取り付けることで、3.5インチハードディスクを裏返した時のコネクタの位置に近い高さまで持って行くことが可能であることが分かったのである。そういった製品の中で、作りがしっかりしていそうなオウルテックの「OWL-BRKT06(B)」を購入した。ヨドバシカメラマルチメディア梅田で1,080円(10%ポイント還元)であった。
それでは、「OWL-BRKT06(B)」に「CSSD-S6M64NMQ」を取り付けて見よう。「OWL-BRKT06(B)」を見てみると、金属製でしっかりしているため、安心感がある。前述の様に、「OWL-BRKT06(B)」は2.5インチハードディスクやSSDを2段搭載できる様になっているが、今回は高さを稼ぐ必要があるため、上段に取り付けることとする。2.5インチ幅と3.5インチ幅の2重に立っている金属の内側に「CSSD-S6M64NMQ」を取り付ける必要があるため、ネジ止めなどに多少手間取ったが、無事に取り付けることができた。そこで、3.5インチハードディスクと高さを比べてみると、まだ「CSSD-S6M64NMQ」+「OWL-BRKT06(B)」の方が1〜2mm程度低い様だが、ほぼ同じ高さにできた。 それでは、もう一度VGC-RM50のハードディスクケースに入れてみることにしよう。「CSSD-S6M64NMQ」付属のアダプタと同じく、幅は3.5インチハードディスクと同じだが、奥行きは短いため、ハードディスクケースにピッタリ収まるわけではなく余裕があるが、問題なく収納できた。肝心の高さは、と言うと、無事にハードディスクケースの開いている部分から、コネクタ見える様になった。ぎりぎりながらコネクタ全体が出ているので、ケーブルを挿すのに問題なさそうだ。これで一安心である。
それではハードディスクケースをVGC-RM50の元の位置に戻す。ハードディスクケースは、コネクタ部を手前にして内蔵し、その後、手前に出ているSerialATAのデータケーブルと電源ケーブルを接続する事になる。その、ハードディスクケースを無事に元の位置に戻し、ケーブルを接続しようとした時問題が発生した。ケーブルが届かないのである。原因は、「CSSD-S6M64NMQ」が2.5インチハードディスクのサイズしか無いことである。3.5インチハードディスクも「CSSD-S6M64NMQ」も、VGC-RM50に搭載する向きの場合、コネクタは前面の右寄りになる。これはどちらでも変わらないのだが、「CSSD-S6M64NMQ」は2.5インチハードディスクの幅しか無く、アダプタを付けて3.5インチハードディスクの幅にしている。その際アダプタの中央に取り付けることになるため、左右に隙間が空くことになる。という事はコネクタの位置も、3.5インチハードディスクと比べるとやや左側に寄ることになる。SerialATAのコネクタは右側から出ているためやや遠くなってしまったのだ。ほんの数センチの事だが、ケーブルの長さにまったく余裕がなかったため、どうやっても接続する事ができない。これは困った事である。延長ケーブルを使っても良いが、足りないのは数センチなので今度は長くなりすぎてしまい、前面パネルを閉じられなくなる危険性があるので、避けたいところだ。 何とかならないかとVGC-RM50を眺めていたところ、4段あるハードディスクベイの段によってケーブルの長さに若干の違いがある事に気がついた。今回はVGC-RM50に元々取り付けられていたハードディスクが1段目と2段目であったため、1段目に「CSSD-S6M64NMQ」を取り付けたのだが、1段目と2段目よりも3段目と4段目の方がケーブルが少しだけ長いのだ。そこで試しに3段目に「CSSD-S6M64NMQ」を取り付けて見ると、ギリギリではあるもののケーブルが接続できた。段を変えると接続できるとは盲点であったため、無事に接続できてうれしいと同時にホッとした。 ちなみに、3段目と4段目のケーブルが長い理由だが、よくよく考えると偶然ではなさそうだ。1段目と2段目はVGC-RM50の元のハードディスクが搭載されていた。これはシステムドライブであるため、メーカー製パソコンであることを考えると、これを交換する事は想定されていないのだろう。そのため、ギリギリの長さで接続したと思われる。一方、3段目と4段目は、VGC-RM50購入時は空きベイとして用意されており、ユーザ自身が増設する事になるため、若干ながらケーブルに余裕を持たせておいたのでは無いだろうか。 何はともあれ、3段目に搭載していたデータ保存用ハードディスクを1段目に、「CSSD-S6M64NMQ」を3段目に取り付けることで、ようやく増設の物理的な作業が完了した。ついでに、Dドライブ用として、余剰となった1TBのハードディスクを2段目に取り付けた。
さて、いよいよ「CSSD-S6M64NMQ」から起動してみるわけだが、その前にやらなければならないことが1つ、確認することが1つある。 まず、Windowsのインストールされたハードディスクが3段目になったことを設定しなければならない。起動時にF2キーを押して、BIOSを表示させる。その中の「Boot」のページの「Hard Drive Order」を見ると、搭載しているハードディスクが表示されているが、1段目のベイに搭載したハードディスクが一番上になっている。これでは1段目に搭載したハードディスクから起動しようとしてしまうわけだが、当然データ保存用のハードディスクなので、OSが見つからず起動しなくなってしまう。一方、Windowsをインストールした「CSSD-S6M64NMQ」は3段目のベイに搭載したため、3つめに表示されている。ちなみに、BIOS上では、「CSSD-S6M64NMQ」のOEM元の「C300 MTFDDAC064M」として認識されている(Micron Technologyの型番はC300 CTF…だが、なぜかC300 MTF…と表示されているが)。そこで、「Rard Drive Order」を選択してEnterキーを押し、さらにカーソルキーで「C300 MTFDDAC064M」を選択した状態で「+」キーを押すと、順番を上位に移動させることができるので、一番上に持って行く。これで、「CSSD-S6M64NMQ」内のWindowsから起動する様になった。
もう一つ確認事項は、RAIDが解除されているかどうかの確認である。RAID設定したドライブを外しているため、解除されているとは思うが、奇しくも1段目と2段目に同じドライブを取り付けているため、間違ってRAID化されてしまって、データが消えてしまっては大変だ。そこで、同じくBIOSの「Advanced」ページの「RAID Configuration」の項目をを「Hide」から「Show」に変更する。そして、BIOSを終了して再起動すると、起動時に「Press to enter Configuration Utility...」と表示される様になるので、ここで「Ctrl」+「I」キーを押すと、RAIDの設定画面に入る。ここで、Portの0と1のドライブの横に「non-RAID Disk」と表示されていることを確認する。これで、RAIDも解除されていることが確認できた。
それでは、いよいよWindowsの起動である。電源ボタンを押すと、電源が入って、Windowsのロゴが……表示されず、「Operating System not found」になってしまった。何か設定を間違ったかと、BIOSを確認するが、問題ない。ここで思い出したのが、「HD革命CopyDrive 4」を利用して、Cドライブを丸ごとコピーした際に、「リカバリ領域などをコピーしないと起動できないことがある」というメッセージが表示された事だ。これは念のために表示されただけだと思っていたのだが、もしかして本当にリカバリ領域がない場合は起動しないのだろうか。そこで、もう一度コピーをやり直してみることとした。幸いCドライブの使用容量は約43GBで、リカバリ領域は約7GB。「CSSD-S6M64NMQ」のフォーマット後の容量は約60GBなので、空き容量のことを考えなければコピーは可能だ。せっかく取り付けた「CSSD-S6M64NMQ」と1TBのハードディスクを取り外し、元のハードディスク2台を取り付け、今度はリカバリ領域とCドライブを丸ごと「CSSD-S6M64NMQ」にコピーした。そして再度「CSSD-S6M64NMQ」と交換し、起動してみると、なんと問題なく起動するではないか。どうやら、本当にリカバリ領域が無いと起動できない様だ。
さて、Windowsが無事に起動したが、時間を計るまでもなく圧倒的に起動が速い。デスクトップ画面が表示されるまでの時間も早いが、その後の常駐ソフトの起動も非常に速い。また、いくつか起動に時間がかかるアプリケーションソフトを起動してみたが、明らかに速くなっており、SSD化の効果が現れている。 ところで、リカバリ領域込みでコピーした結果「CSSD-S6M64NMQ」の空き容量は9.6GBとなっていた。1割以上は空いているので、このまま使用することも可能だが、今後新しいアプリケーションソフトをインストールする可能性もあることを考えると不安がある。そこで、この状態でリカバリ領域を削除してみることとした。何もさわっていない今なら、起動しなくなっても再度コピーすることが可能なので、今の内にできる限り試しておく方が良さそうだからだ。さて、Windows標準の「コンピュータの管理」機能の「ディスクの管理」ではリカバリ領域自体は認識している物の、削除はできなかった。そこで、無理矢理ではあるが、パーティション管理ソフト「Acronis Disk Director Suite 10.0」を起動してみると、リカバリ領域を削除できる事が分かった。ダメ元でリカバリ領域を削除し、その分をCドライブの容量に回すように設定をし、パソコンを再起動する。すると、Windowsの起動前にパーティションの変更が行われる。そして、なんとすんなりWindowsが起動してしまった。パーティション領域がなくなり、「CSSD-S6M64NMQ」の空き容量も16GB強と増えている。 結局、ディスクのコピー時にリカバリ領域を削除するのでは駄目だが、コピーしておいて後でリカバリ領域を削除するのは問題ないらしい。もしかすると、パーティション管理ソフトを使用して削除したことによって、なんらかの設定が行われたのかもしれない。なぜなのかは不明だが、とりあえずうまくいって良かったというところだ。ちなみに、ハードディスク上のリカバリ領域が無くなるので、念のためリカバリディスクを作成してから行っている。
それでは、ベンチマークテストを利用して、「CSSD-S6M64NMQ」の速度を計測してみよう。使用したベンチマークテストは「CrystakDiskMark 3.0」で、テストデータは1000MB、テスト回数は5回としてテストを行い、さらにそれを3回繰り返して平均値を出している。計測したパソコンは今回「CSSD-S6M64NMQ」を接続したSONY「VAIO VGC-RM50」で、CPUやメモリなどがアップグレードされている。CPUはCore 2 Quad Q6600(2.40GHz)、メモリは3GB、OSはWindows XP Home Edition SP3である。比較対象として、VGC-RM50の元のハードディスクでもテストを行っている。ちなみに、前述の様にVGC-RM50は4年以上前のパソコンであるため、Serial ATAポートはSerial ATA 2.5又は2.0となっており、最大転送速度が300MB/sとなる。その上、そもそも搭載しているチップも古いため、最新のSerial ATA 2.5ポートよりも遅い可能性もある。一方「CSSD-S6M64NMQ」は最大転送速度600MB/sのSerial ATA 3.0に対応しており、実際に「CSSD-S6M64NMQ」の最高性能を出すにはSerial ATA 3.0が必要だと言われている。つまり、VGC-RM50では、Serial ATAの転送速度がボトルネックになり、真の性能が出ないと考えられる。そこで、CFD販売の公式ホームページに、Serial ATA 3.0ポートに接続した場合のテスト結果が掲載されていたため、こちらとも比較できるようグラフに入れた。ちなみにCFD販売の公式ホームページのテストに使用したパソコンはCPUがPhenom II X6 1090T(3.2GHz・6コア)、メモリが4GB、OSがWindows 7 Ultimate (32bit) であり、CPUなどの性能もVGC-RM50より高いことも考慮に入れる必要がある。 さて、結果を見てみよう。シーケンシャルリードの性能を見ると「CSSD-S6M64NMQ」の速さが際だっている事が分かる。VGC-RM50に接続した場合でも280.13MB/sと、ハードディスクとは比べものにならない速さだ。さすがにSSDと言えよう。ちなみに、CFDのホームページの参考値(Serial ATA 3.0ポートに接続した場合)では324.50MB/sとなっているため、やはりSerial ATAポートがボトルネックになっているようだ。VGC-RM50の性能がSerial ATA 2.5の最大転送速度の300MB/sに近い280.13MB/sとなっている事からも、いかにもといった感じだ。たしかに「CSSD-S6M64NMQ」の真の性能は発揮できていないが、それでも十分高速であるといえる。また、古いパソコンながら、なかなかの転送速度だとはいえそうだ。 続いてシーケンシャルライト性能を見てみると、こちらは68.94MB/sとハードディスクより劣る。このことは、64GBの容量の製品を選んだ時から分かっていたことなので、驚きはしない。実際に「CSSD-S6M64NMQ」に書き込みが発生するのは、今回の様にハードディスクからシステムを丸ごとコピーしたり、ソフトウェアをインストールする際だけなので、その際に多少時間がかかる事さえ気にしなければ大丈夫だろう。また、遅いとは言っても70MB/s近い速度なので、それほど遅いわけでは無いとも言える。ちなみに、VGC-RM50に搭載した場合と、CFDのホームページの参考値では若干の差が出ているが、300MB/sを大きく割っているため、Serial ATAの速度がボトルネックになったとは考えにくい。このあたりがCPUやメモリなどの違いだろう。 続いて、ランダム512Kの速度を見てみよう。VGC-RM50に標準搭載のハードディスクでは、リード・ライト共に速度がシーケンシャルの3分の1以下に低下しているが、「CSSD-S6M64NMQ」は1割も低下していない。さすがにSSDと言ったところだ。512Kなので比較的大きなデータのランダムアクセスであるとはいえ、262MB/sもの速度を出しているのは驚きと言えよう。またライト性能も23%ほど低下しているとはいえ、ハードディスクほどではないため、シーケンシャルでは負けていたライト性能がハードディスクを上回っている。この事も考えると、データ書き込み時の使い勝手もそれほど劣ることはなさそうだ。 最後に、ランダム4Kの速度を見てみよう。リード性能では28.79MB/sとさすがにシーケンシャルの10分の1程度になっているが、ハードディスクが0.46MB/sしかないことを考えると雲泥の差である。アプリケーションの起動時などはこの差が影響するため、SSDの優位性が検証できたと言える。またライト性能は5.05MB/sとなっており、こちらもハードディスクより数倍高速だ。 さて、このグラフを見て気になったのは、VGC-RM50に接続した際のランダムライトの性能が、CFDのホームページに掲載されている参考値と比べると低く、特にランダム4Kライトでは、参考値では55.76MB/sとなっているのに、VGC-RM50に接続すると5.05MB/sと約11分の1しか速度が出ていない事である。書き込み性能は気にしないとは言っても、同じ製品でここまで差があるのは気になるので、インターネットで調べてみた。すると「パーティションアラインメント」というのが原因のようである。 最近、大容量ハードディスクを中心に、セクタサイズが512Bから4KBに拡大された製品が主流になってきている。ハードディスクを大容量化する上で必要な物と言うことだが、このハードディスクを使う際は、標準で4KBセクタに対応しているWindows VistaやWindows 7で使う分には問題ないものの、非対応のWindows XPで使用する際は注意が必要である。セクタサイズが4KBのハードディスクを、512Bにしか対応しないWindows XPで使用すると、書き込み先頭位置がズレてしまい、その結果セクタが正常に割り切れない状態になるため、ランダムライトの性能が大きく低下してしまうのである。結果Windows XPには非対応であったり、ジャンパピンや専用ソフトでの設定が必要になったりしていた。今回の「CSSD-S6M64NMQ」も4KBセクタの製品だったようで、VGC-RM50はWindows XP、CFDのホームページの参考値はWindows 7であったためこのような差が出たという事らしい。 さて、これを解決する方法を探していると、Windows XPで使う限りは「Paragon Alignment Tool」というソフトウェアを使うしかないようだ。 このソフトウェアなら、データを削除せずに「パーティションアラインメント」の問題が簡単操作で解決できるという事だ。今の世の中、問題があっても解決する方法が何かしらある物だと驚く。しかし、問題はこのソフトウェアが3,780円(ダウンロード版の場合)である事だ。せっかく1万円以下で購入したSSDに3,780円もかけるのはいかがな物だろうか。悩んだあげく、今のままで使う事とした。理由として、VGC-RM50自体が古いため、いつ買い換えることになってもおかしくなく、その際はWindows 7になるので、この問題は発生しなくなる事がある。つまり近々あると思われるパソコンの買い換えまでの辛抱であると言う事なのだ。その上、そもそも影響されているのは書き込み性能だけで、読み込み性能は十分に性能を発揮しているため、今回のようにWindowsやアプリケーションの起動の高速化を目的としている場合、書き込み性能の遅さは致命的ではない。よって、パソコンを買い換えたときに真のランダムライト性能が実感できるのを楽しみに、今はこのまま使うことにしたのである。
それでは、ベンチマークテストで数値の比較をしていても、いまいち実感がわかないので、続いては、実際にWindowsの起動にかかる時間を比較してみよう。ベンチマークテストを実行したときと同じSONY「VAIO VGC-RM50」のCPUやメモリなどがアップグレードした機種(CPUはCore 2 Quad Q6600(2.40GHz)、メモリは3GB、OSはWindows XP Home Edition SP3)で、起動にかかる時間をストップウォッチで計測し、3回の平均値を出している。SSDに換装前のハードディスク(ST3200827AS) RAID 0構成の時と、「CSSD-S6M64NMQ」に換装した後でそれぞれ計測しているので、比較してみよう。 まずはWindowsの起動時間である。構成1と構成2があるが、これは下の表を見てもらいたい。 つまり、現在VGC-RM50には、数多くの内蔵SSD/ハードディスクと外付けハードディスク、eSATA接続しているBlu-rayディスクドライブと、USB接続しているDVDスーパーマルチドライブが搭載されている。この、普段使用している状態が「構成2」となる。しかし、この構成では、電源ボタンを押した後に各ハードディスクの起動や認識などに時間がかかり、実際にWindowsが起動ロゴが表示されるまでにずいぶん長い時間がかかる。そこで、取り外しにくい内蔵SSD/ハードディスクと、最低限としてBlu-rauディスクドライブだけを残し、全ての外付けハードディスクとDVDスーパーマルチドライブを外したのが「構成1」であり、「構成2」の場合と比べると、Windowsの起動ロゴが表示されるまでの時間はかなり短い。つまり、SSDからの読み込みの比率が高くなるため、SSDの効果が分かりやすくなると思われる。また、それぞれ、電源ボタンを押してから、デスクトップ画面が表示されるまで(デスクトップの画面にはなっているがアイコンは表示されていない状態)、全ての常駐ソフトが起動するまで、ハードディスクのアクセスランプが消えるまでの3段階の時間を計測した。 これをみると、起動時間は劇的に早くなっていることが分かる。「デスクトップ画面が表示されるまでの時間」は意外と早くなく、構成1では17%、構成2で23%高速化しただけである。しかし、SSDはここからが高速である。デスクトップ画面が表示されてから全ての常駐ソフトが起動するまでの時間が、構成1でわずか16秒、構成2でわずか18秒しかかかっていない。ハードディスクではそれぞれ78秒と97秒かかっていた事を考えると、約5分の1に短縮されている。また常駐ソフトが起動してからも、ハードディスクの場合は1分近くハードディスクへのアクセスが続いていたが、SSDの場合は10秒ほどでアクセスランプが消えるため、デスクトップ画面が表示されてから30秒以内で普通通り使用できるようになるわけである。SSDの読み込みの早さが効いた形だ。結果、構成1では3分29秒のところが1分32秒、構成2でも4分51秒のところが2分7秒と、半分以下になっている。またWindowsの起動時間が2分以上早くなるのは、待ち時間が短く非常に便利である。
続いて、実際にアプリケーションソフトの起動にかかる時間を比較してみよう。計測したパソコンや計測方法はWindowsの起動にかかる時間を計測したときと同じである。また、同じアプリケーションソフトの2回目の起動は高速になるため、1回計測するごとにWindowsを再起動して計測している。 結果を見ると、各アプリケーションソフトでばらつきはある物の、軒並み高速化している。いつも使用する際に起動に時間がかかり待たされる印象の強い、動画編集ソフト「VideoStudio X3」や、静止画編集ソフト「PhotoImpact 12」では、ハードディスクの時の46〜65%も高速化し、大幅にストレスが軽減された。同じく「OpenOffice.org 3.3」の「Writer」や「Calc」が72%と76%高速になり、起動時間は約4分の1である。一方で、高速化の恩恵が少なく見えるのが、「TMPGEnc Authoring Works 4」と「TMPGEnc Video Mastering Works 5」、「Internet Explorer 8」であるが、これらはいずれも起動時にインターネットアクセスが発生するという共通点がある。前の2つは、起動時にライセンス認証をインターネット経由で行い、「Internet Explorer 8」は「起動時に表示させるホームページ」に設定したページが表示されるまでの時間なので、同じくインターネットアクセスが必要だ。SSDにしたところで、このインターネットアクセスの部分は高速化しないため、高速化率が低く見えるのだろう。それでも、「TMPGEnc Authoring Works 4」と「TMPGEnc Video Mastering Works 5」は5〜6秒短縮されているため、早くなったことが実感できるレベルだ。またハードディスクの時から起動が比較的高速だった「一太郎 2008」と「筆まめ Ver.19」でも、SSDにすることでそれぞれ58%と68%高速化したのには驚きだった。ハードディスクの時ですら、わずか5秒前後の起動時間が、SSDにすることで1.5〜2秒程度まで高速化できるとは思ってもいなかった。本当に一瞬で起動する感じだ。 以上より、アプリケーションソフトの起動は、ハードディスクの時の起動時間の長い短いに関わらず、どのアプリケーションソフトでも十分に高速化の効果が得られることが分かった。しかも「何割か早い」といったレベルでは無く、「何倍も早く」なっているのである。使い勝手は大幅に良くなったと実感できる。 今回はシステムドライブをSSDに換装した。古いパソコンと言うことで、十分な性能が出るか不安だったが、Serial ATAポートが古いことがボトルネックになっている以外、十分にSSDの高性能ぶりを発揮できている事がベンチマークテストで確認できた。また、初めてのSSDということで、Windowsやアプリケーションソフト起動時間に大きな差が出るかも分からなかったが、満足いく結果であり、大幅に高速化したためSSDに交換した甲斐があったという物だ。交換に工夫が必要で手間がかかったが、増設が便利なようにハードディスクを前面からねじ止め無しで交換ができるようになっていたことと、リカバリが簡単なようにハードディスクリカバリになっていたことなど、利便性を考えて工夫されていた点が逆効果になってしまっただけで、SSDへの換装自体が難しいとは感じなかった。また、「CSSD-S6M64NMQ」自体も、64GBという容量ながら1万円を切る価格で購入でき、その割に性能はかなり高い点で非常に満足がいった。SSDが低価格化・大容量化し手が届きやすくなってきているので、Windowsやアプリケーションソフトの起動が遅いと感じている人は、SSDへの換装を検討してもよい時期にさしかかっていると言えるだろう。 (H.Intel) ■今回の関係メーカー・ショップ
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