第124回
2GB DDR2-800メモリ
CFD販売 D2N800CQ-2GLZJ
(ネットブックパソコンAcer「Aspire One D250」のメモリを2GB化する) (2011年4月9日購入・2011年8月17日著)


今回のロードテストではバルクメモリを増設して、問題なく動作しております。ただし、メーカー製パソコンの場合は同じ製品でも、カタログに記載されているスペック以外の細かい部分に関しては途中で変更になることがあります。また、メモリの製造ロッドによっても相性問題は発生することもあります。そのため全てのAspire One D250で今回紹介しているメモリモジュールが正常動作すると保証するものではありません。また本文中にもあるように、メモリの交換を行った場合、メーカーの保証が受けられなくなりますのでご注意下さい。

Aspire One D250のメモリを交換する

 ロードテスト第85回で、ネットブックパソコンAspire One D250(AOD250-Bb83)を紹介した。ネットブックパソコンとしては標準的なスペックで、CPUがAtom N280(1.66GHz)でメモリは1GB、チップセットはIntel 945GSE Expressで、チップセット内蔵グラフィックを使用する。ハードディスクは160GBで5400rpmのものを搭載、OSはWindows XP HomeEditionである。このAspire One D250は39,800円という価格の安さもさることながら、ネットブックパソコンの中でも軽量でコンパクトで、しかもキーボードが使いやすく、ディスプレイも見やすい上に、バッテリ駆動時間も長いとあって、お気に入りである。頻繁に持ち歩いては、カフェで待ち合わせの待ち時間にホームページを作成したり、ホームページを閲覧したり使っていた。CPUが遅いこともあって、動作は全体にのんびりしているが、ロードテスト第89回で、USBメモリを使用して、アプリケーションソフトの起動を高速化したりして、それなりに満足して使っていた。ハイビジョン動画の再生や、静止画編集にはパワー不足だが、外でそういった作業をすることはほとんどないので、あまり問題にはならない。
 しかし、あるとき、ふとしたことからメインメモリの空き容量を見ると、Internet Explorerを1つ起動しているだけにもかかわらず、空き容量が10%程度しかないことに気がついた。Windows XPなので、メモリは1GBでも十分かと思っていたが、これではいくつかアプリケーションソフトを起動すると、不足する可能性がある。そこで、メインメモリの増設を検討する事とした。
 ところで、Aspire One D250は、メモリスロットが1基しかない。そこに1GBのメモリモジュールが挿さっている事になる。メモリ容量を増やすためには、このメモリモジュールを交換するしかない。ところがAspire One D250のマニュアルやホームページ等を見ると、標準1GB、最大1GBとなっているのである。つまり、メモリを交換しての容量アップは行えないことになっているのだ。しかし、Intel 945GSE Expressチップセットの仕様上は2GBまで使用できるはずである。また、バッファローなどのホームページで、Aspire One D250を検索すると、独自に2GBまで対応している事になっている。つまり、バッファローでの動作検証では2GBメモリも正常に認識すると言うことである。またネット上のブログなどでも2GBへの増設の成功例が複数見られるため、ここは思い切って増設を行ってみる事とした。

メモリを選ぶ

 バッファローのホームページでAspire One D250の対応製品として書かれているのは、「D2/N667-2G」及び「D2/N800-2G」である。これは、一般的なDDR2-667またはDDR2-800の200ピンのS.O.DIMMメモリであり、形状や規格が特殊と言うことはなさそうだ。安心感をとるなら、正式に対応しているバッファローの製品を選びたいところだが、「D2/N667-2G」の場合、実売価格で11,500円となり、39,800円のパソコンに取り付けるには高価に感じる。そこでバルクメモリを使用することした。バルクメモリなら2,980円〜3,980円とかなり安くなる。逆に言うと、この価格なら失敗しても大きな損はないと言える。また、CPUなどの性能が低いため、メモリを増設してもスピードが遅いことは代わりがないと思われるAspire One D250ではあるが、この位のならお金をかけても良いかと納得できる価格である。
 バルク版のメモリはたくさんあるが、ノーブランド品は避け、ブランド品で最も価格が安かった、CFD販売の「D2N800CQ-2GLZJ」を選んだ。DDR2-800対応であり、DDR2-533までしか対応しないAspire One D250にはいささかオーバースペックの製品だが、DDR2-533の製品は既にほとんど見かけず、DDR2-667の製品はあるものの、価格差は全くないため、余裕の大きいDDR2-800対応の方が良いという事で、「D2N800CQ-2GLZJ」を選んだ。Amazon.comで2,680円であった。

交換作業を行う

 数日で「D2N800CQ-2GLZJ」が送られてきた。プラスチックが製品の形に形成されて、2枚のプラスチック板で挟む様な形の、「ブリスターパック」である。パッケージには「Elixir」のロゴが入っているとおり、Elixir製のメモリで、CFDはElixirから特別に選別をしたメモリモジュール供給をうけ、さらにCFDにおいて最終出荷検査を行ったという信頼性の高い製品だ。「永久保証」や「JEDEC規格準拠」の文字も見えることから、安価ながら品質は高そうだ。パッケージから出してみると、「D2N800CQ-2GLZJ」はごく一般的なSO-DIMMメモリである。裏表それぞれに8つずつチップが並んでいる。

パッケージは「ブリスターパック」で簡素だが、Elixir製のメモリの中から特別に選別したメモリーモジュールを、さらにCFDで最終出荷検査を行ったという製品だ。


「D2N800CQ-2GLZJ」はごく一般的なSO-DIMMメモリで、裏表それぞれに8つずつチップが見える。

 それでは、増設作業に入ろう。まず、Aspire One D250のACアダプタを抜き、バッテリも外す。もちろん、作業前に金属に手を触れて、静電気を逃がしておくのも忘れない様にする。Aspire One D250を裏返すと、いくつかネジ止めされたフタがあるが、メモリのサイズからすると、真ん中にあるフタの内部がメモリスロットの様だ。ネジが見あたらないが、丸い「Acer」ロゴのシールをはがすと、現れる。つまり、メモリ交換を行うと、メーカー保証の受けられなくなるようで、それを判別するためにシールが貼られているらしい。スペック上もメモリ増設ができない様になっていたのは、仕様上ではなく保証上の問題の様だ。とはいえ、最悪動かなくてもメモリを元に戻せばよいし、安い機種なので壊れた際に修理に出すことは考えにくいので、思い切ってシールをはがす。ちなみにこのシールは綺麗にはがすことはできず、はがそうとするとモロモロになるため、爪で削り取るような格好ではがす。そのため、交換作業後に再度張り直すことは不可能だ。シールをはがすと、中からネジが姿を現した。ただのプラスネジで、特殊な形状ではないので、ドライバーでネジを外してふたを開ける。中には一般的なメモリモジュールが、一般的なメモリスロットに取り付けられていた。

今回増設するネットブックパソコン「Aspire One D250」の裏側である。ちょうど真ん中辺りにあるフタの内部がメモリスロットだ。

「Aspire One D250」のメモリスロット部を拡大した写真である。ネジの上に丸い「Acer」ロゴのシールが貼られている。これをはがすと、メーカー保証が受けられなくなる。

「Acer」ロゴシールをはがすと、中からネジが現れた。

フタを外すと、標準搭載のメモリモジュールが見える。ごく一般的なメモリスロットだ。

 左右のストッパーを左右に開くと、メモリモジュールが少し起き上がってくるので、手でもう少し起こしてから引き抜く。取り出したメモリモジュールと「D2N800CQ-2GLZJ」を比較すると、「D2N800CQ-2GLZJ」ではチップが両面に8つずつ取り付けられているが、取り外したメモリでは両面に4つずつである。容量が半分なのだから当然だ。片面に8つではなく両面実装されているため、「D2N800CQ-2GLZJ」とほぼ同じ厚みだ。それ以外に、金属端子部分や左右の切り欠きの位置も全く同じで、これなら物理的に取り付けられないと言うことはなさそうだ。

標準搭載のメモリ(上)と、今回購入した「D2N800CQ-2GLZJ」(下)である。標準搭載のメモリは容量が半分の1GBなので、搭載しているメモリチップの数も半分だが、メモリモジュール全体の形状は全く同じだ。

 それでは、「D2N800CQ-2GLZJ」を取り付けよう。先ほどの逆で、「D2N800CQ-2GLZJ」を斜めにしっかり挿し込んだら、基盤と並行になるまで倒す。奥までしっかり挿し込めていれば、倒したときに、左右のストッパーがちょうど「D2N800CQ-2GLZJ」の丸い切り欠き部分にはまるはずだ。これで増設作業は終了である。


「D2N800CQ-2GLZJ」を「Aspire One D250」に増設する時は、切り欠きに合わせて斜めに挿し込んでから、基盤と並行になるまで倒す。

左右のストッパーがしっかりはまっている。これで増設作業は成功である。


動作を確認する

 それでは、肝心の2GBのメモリモジュールが動作するか確認してみよう。「Aspire One D250」の電源ボタンを押して、Windows XPが起動するかを緊張しながら待つ。すると、何の問題もなくWindows XPが起動した。システムのプロパティを見ると、しっかり2GB認識されており、あっけないほど問題なくメモリの2GBへの交換が成功した。
 増設後の使い勝手だが、ベンチマークテストなどを行っても数値では差が出にくいため、ベンチマークテストは行っていない。実際に使ってみても、CPUが遅いこともあって、劇的に速くなったという印象はないものの、画像の多いホームページを閲覧する際や、画像の編集をする際などに何となく快適になったような気がする。もちろん、メモリ増設を行ったという意識から、そう感じるだけかもしれないが、メモリが2GBになった事で、安心感が手に入ったと言える。

メインメモリの2GBへの増設はメーカー保証対象外の行為だが、無事にWindowsが起動し、Windows上でも問題なく認識されていた。




 今回はネットブックパソコン「Aspire One D250」のメモリを交換し増量をはかった。メーカーの動作保証外だがあっけなく2GBのメモリが動作した。もちろん、全ての「Aspire One D250」で成功するとは限らないし、別のメモリモジュールでも動作するかは不明だが、一般的なバルク品のメモリモジュールで対応できる可能性が高そうなのは確認できた。また、価格が2,680円と非常に安いため、もともと安価なネットブックパソコンにかける金額としても、納得できるだろう。メモリモジュールが安くなった今、増設してみるのもおもしろいのではないだろうか。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
CFD販売 http://www.cfd.co.jp/
「D2N800CQ-2GLZJ」のページ http://www.cfd.co.jp/memory/elixir_ddr2n.html