第160回
VPCF13AGJのブルーレイディスクドライブを交換する
パナソニック UJ-260
(2012年11月12日購入・2015年6月29日著)



VPCF13AGJのBDドライブを交換する

 ロードテスト第114回で購入したノートパソコン「VPCF13AGJ」は、CPUが4コア8スレッドのCore i7-740QMで、メモリも4GB、グラフィックチップはGeForce GT 425Mを搭載し、ディスプレイは明るく色域も広いフルハイビジョン液晶で、非常に快適に使用してきた。しかし、すでに2年以上使用してくると、いろいろと問題が出てくるもので、ロードテスト第133回ではハードディスクを交換した。しかし、実はもう一カ所故障している箇所があるのだ。それがブルーレイディスクドライブである。これまでに使ってきたノートパソコンも光学ドライブは故障しやすく、パソコンの寿命のかなり前に使えなくなっており、今回もこの例に漏れずと言った様子だ。ポータブルのMDプレイヤーなどの寿命も短かったが、やはり外部からディスクを入れて高速回転させるようなものは故障しやすいのだろうか。幸い、ディスクを使うことはそれほど多くなく、外付けのDVDスーパーマルチドライブやブルーレイディスクドライブを持っていたため、それで対応していた。しかし、何かと不便なのは確かなのである。かといって、修理に出すとその間、メインで使っているパソコンが無くなるのは大変だ。何より、ソニーのホームページで修理料金の目安が載っているのだが、VPCF13AGJのブルーレイディスクドライブの場合55,000円ということである。さすがにその金額を出す気は起きない。
 そこで、ふと思い出したのが、以前ハードディスクを交換した際にパソコンを裏返したのだが、ハードディスクとは別にブルーレイディスクドライブを固定するネジもあったという事である。つまり、ブルーレイディスクドライブを自分の手で交換可能なのではないかという事である。そこで、インターネットで調べてみると、交換したという報告がいくつもなされており、しかも簡単らしい。そこで、実際にネジを外してみると、簡単にドライブを抜くことができた(詳細は後述)。出てきたドライブは一般的なドライブで、パナソニックの「UJ-240」というドライブであった。コネクタ部も一般的なものと同じで、いくつかの固定用金属パーツが取り付けられているが、これもネジで取り付けてあるだけだ。これなら問題なく交換できそうである。

交換するドライブを選ぶ

 さて、今回交換するのはブルーレイディスクドライブである。しかもノートパソコン用の薄型ドライブでなくてはならない。こういった製品は自作パーツに当たるので、家電量販店ではなパーツショップが良いと言うことで、日本橋でんでんタウンのパーツショップを巡ってみることとした。ブルーレイの書き込み機能は必須と言うことで、探してみたのだが、意外と種類が少ない事がわかった。まず、自作パソコンに使用する光学ドライブは5インチベイ用のものであることが多く、ノートパソコン用の薄型ドライブの需要は少ないため、店舗におっては取り扱いがない、又は数点しか取り扱っていないという状況だ。その上、ドライブメーカーがパナソニックとパイオニア、ソニーオプティアーク、東芝サムスンしかなく、元々選択肢はかなり狭い。その中で探していると実際に取り扱いがあるのは、東芝サムスンはSN-506AB、ソニープティアークはBD-5750H、パナソニックはUJ-240とUJ-260、パイオニアはBDR-TD04である事がわかった。速度的にも薄型ドライブと言うことでほぼ同じで、SN-506ABとBD-5750H、UJ-260、BDR-TD04の書き込み速度は、BD-R(1層・2層)が6倍速BD-RE(1層・2層)が2倍速、DVD±Rが8倍速、DVD±R DLが6倍速、DVD-Rが6倍速、DVD+Rが8倍速、DVD-RAMが5倍速となる。さらに、SN-506ABとUJ-260、BDR-TD04はBDXL対応なので、BD-R(3層・4層)が4倍速、BD-RE(3層)が2倍速となる。一方UJ-240はBD-R(2層)が4倍速、DVD±R DLが4倍速と遅くなる点が異なる。最安値の店舗の価格で比較すると、SN-506ABは6,470円、BD-5750Hが5,770円、UJ-260が5,970円、UJ-240が4,970円、BDR-TD04が9,980円である。パイオニアの製品は品質は高いが価格が高いためBDR-TD04は除外、東芝サムスンのSN-506ABも他社と性能差が無い割には価格が高いため除外 し、残るパナソニックとソニーオプティアークとなる。パナソニックの方が音が静かであるという評判を聞いたことと、交換対象のブルーレイディスクドライブもパナソニックであり、同メーカーの方がトラブルが少ないだろうという事で、パナソニックの製品から選ぶこととした。「UJ-240」であれば全く同じドライブであるが、1,000円増して、上位の「UJ-260」が購入できる。こちらは、BDXLの読み書きに対応しており、一部書き込みが高速になっているという製品だ。BDXLは3層100GB又は4層125GBのブルーレイメディアであるが、需要が少ないのか、価格が3層BD-Rで1枚5000円以上とあまりにも高く普及はしていないため、現状ではほとんど意味がない。しかしせっかく交換するのだから少しでも機能アップしたい事と、将来性を考え「UJ-260」を購入した。BEST DO! 日本橋店で5,970円であった。

「UJ-260」の外見を見る

 購入した「UJ-260」は言うまでもなく一般的な薄型のブルーレイディスクドライブである。前面のベゼル部分にはブルーレイのロゴの他にDVD-R/RWロゴ、DVD+R/RWロゴ、CD-R/RWロゴが所狭しと並んでいる。それでは実際の交換作業に入ろう。

「UJ-260」である。一般的な薄型のブルーレイディスクドライブである。

「UJ-260」の前面である。ベゼル面にはブルーレイのロゴの他にDVD-R/RWロゴ、DVD+R/RWロゴ、CD-R/RWロゴが所狭しと並んでいる。


「UJ-240」を取り外す

 それでは、ノートパソコン「VPCF13AGJ」から、ブルーレイディスクドライブ「UJ-240」を取り外そう。ACアダプタやバッテリを抜き、裏返すと、左側にブルーレイディスクドライブが位置することになる。トレイの出てくる付近にあるネジと、少し離れたちょうどドライブの背面の当たりになりそうなネジの2本を外す。ちなみに、「VPCF13AGJ」はブルーレイディスクドライブ以外にハードディスク部とメモリスロット部のフタを外すネジがあるが、それぞれにマークが付けられている。ネジの横に点が1つマークされているネジはメモリスロットのフタ用、点が2つマークされているのはハードディスクのフタ用、点が3つマークされているのはブルーレイディスクドライブ用である。今回は点が3つマークされたネジ2カ所を外す。この状態で、トレイ部分を持って引き出すと、簡単にブルーレイディスクドライブ「UJ-240」を取る出すことができる。取り出してみると、一般的な薄型のブルーレイディスクドライブが出てきた。背面部分と裏面のへこんだ部分に小さなネジ穴が付いた金属パーツが取り付けてあり、これによりドライブを固定しているらしい。先ほど外した2本のネジは、この部分にあたる。

「VPCF13AGJ」を裏返してバッテリを外した状態である。左側にブルーレイディスクドライブが内蔵されている。

2カ所のねじを外す。ブルーレイディスクドライブを固定しているねじの横には点が3つマークされているので、外すねじがわかりやすい。

ねじを外して引き抜くと、ドライブごと簡単に取り外すことができる。

取り出したドライブ「UJ-240」である。写真の下面と、左面(隠れていて見えない)に小さな金具が取り付けられており、これで「VPCF13AGJ」本体と固定している。

 取り外した「UJ-240」と、今回購入した「UJ-260」を並べてみると、形も同じで、コネクタの形状や位置も全く同じだ。これならば問題なく交換ができそうだ。ただ、製品自体は一般的だが、ベゼル部分はパソコン本体の形状に合わせた独自のベゼルパネルが取り付けられている。そこでこれを取り外して、新たに取り付ける「UJ-260」の方に取り付けなければならない(取り付けなくても動作はするが外見上の統一感は失われる)。形は特殊だが、取り付け方法自体は一般的なベゼルパネルとおなじである。まず、イジェクトホールに細い針金や極細ドライバーなど細いものを挿し込みロックを外して、トレイを引き出す。そして3カ所のツメを外すことになる。まず、ベゼル側と反対側から見て右側面のツメを外す。さらに、ドライブを裏返して、右側に水平にあるツメを外す。さらに、その横のベゼルとドライブの機械部分の境にあるツメも外す。特に後の2つはツメを外しにくく、片方を外して、もう片方を外そうとすると、外していたツメが戻ってしまったりと、かなりコツが必要だ。それでも、ツメを割らないよう丁寧に外していくと、何とかベゼルパネルを外すことができた。

取り外した「UJ-240」(右・下)と、今回購入した「UJ-260」(左・上)である。「UJ-240」には固定用の金具が取り付けられているが、それ以外は形状やコネクタの位置などは全く同じである。

ベゼル部分を取り外すために、まずイジェクトホールに細い針金や極細ドライバーなどを差し込み、ロックを外してトレイを引き出す。

写真のようなツメを3カ所外していき、引き抜くとベゼル部分が外れる。少し難しい作業だが、丁寧にやっていけば問題なく行える。

ベゼルパネルを取り外したい状態である。固定用金具も外してある。


「UJ-260」を増設する

 ベゼルパネルが取り外せたので、「UJ-260」のベゼルパネルも同じ要領で取り外して、「UJ-240」と「UJ-260」を比較してみよう。まず、取り外したベゼルパネルを見てみる。「UJ-260」のものと並べてみると、「VPCF13AGJ」に取り付けられていた「UJ-240」のものはかなり厚みがある一方、「UJ-260」のものはいかにもパネルと言った感じだ。しかし、並べてみるとツメの位置や形状が全く同じであることが分かる。これならば、ベゼルパネルの交換も問題なさそうだ。肝心のドライブ本体の方だが、ベゼルパネルを外した状態で比べるとうり二つで、アクセスランプの位置まで同じだ。裏側を見るとコネクタの位置も同じだし、ネジ穴の位置も同じであるため、取り付け用の金属パーツも問題なく取り付けられそうだ。

取り外したベゼルパネルを裏側から見たところである。奥が「VPCF13AGJ」のドライブ「UJ-240」から取り外したもの、手前が「UJ-260」に取り付けられていたものである。ツメの位置が全く同じである事が分かる。

同じく取り外したベゼルパネルである。上が「VPCF13AGJ」のドライブ「UJ-240」から取り外したもの、下が「UJ-260」に取り付けられていたものである。「UJ-240」のものは、「VPCF13AGJ」の側面形状に合わせて、かなり厚めのベゼルパネルが取り付けられていたことが分かる。

ベゼルパネルを取り外した状態のドライブである。左が「UJ-240」、右が「UJ-260」である。メーカーが同じ事もあって、アクセスランプの位置まで全く同じである。

 とりあえず「UJ-260」に、「UJ-240」に取り付けられていたベゼルパネルと金属パーツを取り付ける。予想通り問題なく取り付けられた。その後、「VPCF13AGJ」の元の位置に挿し込む。そしてネジをしっかり止めれば完成である。問題なく取り付けができ、取り付け後のベゼル部分も周囲と一体化し、元と何も変わらない状態となった。Windowsを起動すると自動的にドライバが組み込まれ使えるようになった。DVDやブルーレイの読み込み・書き込みも問題なく行える。また動作音に関しては「UJ-240」よりも静かになった印象だ。元々それほどうるさくなかったが、さらにアクセス音が小さくなったように思う。

「UJ-240」に取り付けられていたベゼルパネルを「UJ-260」に取り付けたところである。問題なく取り付けられた。

さらに、固定用に金属パーツも付け替える。こちらも問題なく取り付けられた。

「UJ-260」を「VPCF13AGJ」に取り付ける。取り外したときと逆の手順で挿し込み。ねじで固定する。

「VPCF13AGJ」のブルーレイディスクドライブ部分である。交換したのが分からないほど綺麗に収まっている。




 今回は故障したブルーレイディスクドライブの交換を行った。メーカー製パソコンではあるが、大型の機種と言うこともあり簡単にブルーレイディスクドライブを取り外すことができたため、苦労なく交換ができた。BDXL対応という少しだけ性能アップし、修理に出す金額の10分の1近い安さで修理ができた。取り付けられている光学ドライブが簡単に取り外せるか、そしてそのドライブが一般的なものかを判断できれば、自分で修理するのも簡単で安くすむと言えるだろう。


(H.Intel)


■今回の関係メーカー・ショップ
パナソニック http://panasonic.jp/