以東岳 (いとうだけ)

(1,771m、山形県・新潟県)  194座

三方境から以東岳と狐穴小屋

日暮沢〜竜門山〜狐穴小屋〜以東岳・往復(3泊4日)


大井沢−日暮沢〜竜門山〜竜門小屋・・・1/3
竜門小屋〜以東岳〜狐穴小屋・・・2/3
狐穴小屋〜竜門山〜日暮沢・・・3/3


2010年7月15日(金)

自宅800−岩槻IC−(東北道・山形道)−1510西川IC−大井沢・民宿(泊)

 この山は朝日連峰の北端にあり、主峰の大朝日岳に次ぐ名峰といえる。
 私はこの山へ登りたいと思ってからもう10年以上が経ってしまったが、それは私に強いコダワリがあったからだ。

 そのコダワリとは、かつて紅葉の季節に小朝日岳から大朝日岳、竜門山まで歩いたことがあるので、今度は竜門山から以東岳まで歩いてみたいと言うことと、時期は6月下旬から7月上旬、沢筋には雪渓がたっぷり残り、稜線には花々が咲き乱れる時、という期間限定だった。
 そのため、この時期は梅雨の真っ只中ということもあって、今まで何回も計画しながら雨で中止している。

 今週は北海道の日高へ行く予定だったが天気が悪そうなので急遽キャンセルし、天気が良さそうな以東岳へ行くことにした。時期は少し遅れてしまったが、この時期に晴れるのはめったにない。10年越しの憧れの以東岳へ行ける時がついにやって来た。

 今日は大井沢の民宿泊まりなので、のんびりと朝8時に家を出た。貧乏人は首都高などは使わずR16で岩槻ICへ向かった。

 東北道の安達太良付近では、電光掲示板に「只今の気温36℃」との表示。今日もうだるような暑さだ。

 山形道へ入り、西川ICで降りた。そしてR112を走って行くと月山ICのすぐ横を通るではないか。月山ICで降りた方がはるかに近いが、安物のバカナビは“戻る”ということを知らないから困る。ここから大井沢へ向かって行った。

 今日の宿は「民宿橋本荘」である。宿の前から小朝日岳がそそり立って見えた。また反対側にはお椀を伏せたような月山が見えた。


(小朝日岳)

(月山)

 今日は今年初めてセミの声を聞いた。
 部屋にはクーラーがなく、なかなか寝付けなかった。

2010年7月16日(土)

大井沢の宿410−日暮沢500〜723水場〜921清太岩山〜1038ユウフン岳1050〜1155竜門山〜1212竜門小屋(泊)

 朝4時10分に宿を出発。
 約20分ほどで日暮沢へ着いた。しかし心配した通り7、8台ほど置けそうな駐車場はすでに満車で、路肩駐車も20台位あった。私も50mほど先の路肩へ駐車した。これでまずは安心。

(写真は日暮沢小屋、下山してから撮ったもの)

 日焼け止めクリームをたっぷり塗り、虫除けスプレーを全身にかけて出発。
 小屋の手前で後ろから来た人に、「おはようございます」と声を掛けられて驚いた。顔が真っ白でオバケかと思った。日焼け止めを塗ったのだろうが歌舞伎役者のようで男か女かも分からなかった。「あんなに塗らなくても・・・」と苦笑い。

 日暮沢小屋の前では10人位の若者が出掛ける準備をしているところだった。ここへ泊まった人も多いようで駐車場は昨夜から満車だったのかも知れない。小屋の前でホースから出ている水を一口飲んで行く。

 朝は涼しくていい。暑くなる前に少しでも登ってしまいたい。
 道端にアジサイが咲く広い道を行くと、いきなり急登になった。とにかく今日は熱中症にならないようにゆっくり行こう。飯豊の丸森尾根を登った時は暑さでブッ倒れるかと思ったが、昨年の8月には中央アの経ケ岳で熱中症らしい症状でフラフラになってしまった。今日は絶対に熱中症になる訳にはいかない。

 しかし、いくらゆっくり歩いても汗が噴き出して来る。昨夜の飲み過ぎで二日酔いぎみの体内からアルコール分が絞り出されているようだ。

 30分も登った所に絶好の休憩ポイントがあった。まずはここで休憩。私が休んでいると10人ほどの高校生らしいパーテーが登って行った。
 ここからも急登が続く。汗が滝のように流れる。ぺースがグーンと落ちた。

 急登を登り切った所で先ほどの学生が休んでいた。私も休憩だ!ふと周りを見るとブナの大木があった。あのブナが日差しを遮ってくれているので助かる。 ここで20分も休んでしまった。

 そこからわずかに下ると道はなだらかになったが、またすぐ登りになった。先ほどまでのようなメチャクチャな急登ではないが、やはりシンドイ。ゆっくりゆっくり登って行った。

 樹木の間からギラギラした太陽が照りつける。天気が良いのは有難いが、風が無いのが辛い。

 コロビツの水場へやっと着いた。7時23分。水場までこんなに遠いとは思わなかった。
 ちょうど学生達が出掛けるところだった。水場は登山道から遠そうなのでそのまま登って行った(登山道から10m位だった)。

 登り切った所で大休止。正面に清太岩山が見えた(清太岩山ではなかった)。

 清太岩山まで私が持っている地図では2時間30分になっているが、私はもう3時間になろうとしているのに、まだこんな所でウロウロしているとは情けない。

 道端にはマイズルソウやアカモノ、ウラジロヨウラク、ギンリュウソウなどが咲いていた。
 時々、涼しい風が吹きわたり、生き返るようだ。樹木も低木になって来た。

 正面に2つのピークが見えて来た。ユウフン岳と竜門山に違いない。
 もうメロメロだった。「誰か竜門山まで連れててくれ〜!」

 しばらくすると、左手に小朝日岳から大朝日岳、西朝日岳の稜線が遠くに見えた。竜門山はあの稜線上にあるはずである。ということは先ほどユウフン岳と竜門山と思った山は、清太岩山とユウフン岳ということになり、まだ清太岩山へも着いていないことになる。ガグッと力が抜けた。

 右手遠方に見える以東岳は山頂部分に雲がかかっていた。

 三角点が立った清太岩山へやっと着いた。何とここまで4時間以上もかかってしまった。

 ユウフン岳との鞍部で昼食にした。しかし宿で作ってもらったオニギリを1個食べるのがやっとだった。

 正面右手に寒江(かんこう)山が立ち並び、その奥にある以東岳の山頂にかかった雲が少しずづ消えて来た。

 ユウフン岳の山頂では若い男性が1人で昼食を摂っていた。前に来た時はここに「熊糞(ユウフン)岳」と書かれた標識が立っていたが、雷にやられてしまったそうだ。またこの辺では熊のことをユウというらしい。

 竜門山直下で雪渓を登るようになった。雪渓をほじって食べた。これが最高に旨かった。

 竜門の分岐へ11時55分着。こんなに時間がかかるとは思わなかった。
 ここからはミヤマウスユキソウ(別名:ヒナウスユキソウ)やハクサンイチゲ、ミヤマリンドウなどの写真を撮りながら竜門小屋へ下って行った。

(写真は竜門山の下りから竜門小屋。背後は寒江山、遠くに以東岳)
 竜門小屋へ12時12分着。小屋の前で頭からホースの水を被る。あ〜、生き返るなぁ〜。
 小屋の前にザックを放り出して思案する。というのは今日は狐穴小屋まで行く予定だったからだ。ここへ泊まった場合、明日の予定をどうするかである。

 ここから以東岳を往復することも可能である。それに水場にあった「ビールゆずります」との誘惑に勝てない。やはり今日は無理せずここへ泊まることにしよう。

 管理人がいないと困ると思って持ってきた缶ビールを冷やして飲んでいると、管理人がやって来た。管理人に以東岳へ行く方法を尋ねると、
「ここからのピストンは8時間かかる。それよりも荷物を持って狐穴小屋まで行き、荷物を置いて往復した方がいい」
 とのことだった。明日はアドバイス通り行動しよう。

 管理人から800円でゆずってもらった缶ビールを飲みながら、群馬から来たという4人のパーテーと山談義。

 管理人に、「日暮沢から竜門まで4時間のコースを6時間でも着かなかった」というと、「コースタイム4時間というのは古い地図ですよ。コースタイムを変えてもらいました。このコースは早い人で5時間、普通の人で6時間です」と言われる。私は少し救われたような気がした。

 小屋はピカピカのフローリングでトイレは水洗。避難小屋とは思えないほど立派な小屋だった。今日は定員50人に対し40人位だろうか。
 明日は頑張って以東岳の山頂へ立ちたい。


(黄色:ミヤマコウゾリナ、白:シロバナニガナ)

(ミヤマクルマバナ)

(ミヤマウスユキソウ:別名ヒナウスユキソウ)