「シャクナゲ紀行」
A瑞牆山−2/2


 小川山との分岐を過ぎると、急登になった。
 岩に乗ったり、岩の間をすり抜けたりしながら登って行く。

 途中で若夫婦にアッと言う間に追い越された。お父さんは乳幼児を背負っていた。お父さんはエライ!

 この辺は岩と針葉樹が多く、シャクナゲは少ないが、花は咲いたばかりで瑞々しい。

 峠のような所で富士見平小屋からの道と合流した。

 ロープ場を越え、ハシゴを登って行く。またシャクナゲのトンネルになった。


 シャクナゲのトンネルを潜って行くと、突然、パッと開けた山頂へ飛び出した。山頂には10人位がいた。


(山頂からの八ケ岳)

(金峰山)

(大ヤスリ岩)

 この山頂へ初めて立ったのはもうずいぶん前だが、ここから見る金峰山や八ケ岳、甲斐駒や南アルプスは少しも変わっていなかった。ただ前回登ったのは3月末ということもあって、見渡す山々に残雪がないことだけが「変わったこと」かも知れない。

 ここで展望を楽しみ、シャクナゲを愛でながら昼食にした。昼食を摂っている間にも下る人、登って来る人が入れ替わる。さすがは日本百名山だ。

 下山は分岐まで戻り、富士見平小屋を目指して行く。ここからは岩場の下り。所々にピンクのテープやペンキマークがあるが、ルートハンティングも要求される。

(写真左:下って来た道を見上げる)
(写真右:こんな所が正規の登山道、ちょっと信じがたいが本当です)

 3、40分も下ると、またシャクナゲの群落になって来た。このコースもシャクナゲが多い。

 途中で小型のツルハシを持った一人のオジさんに会った。一瞬、シャクナゲ泥棒かと思ったが、何とボランティアで道普請をしているという。
 見れば大きな石をどかし、窪んだ所に土を入れて均した跡があった。「どうせ家にいても何もすることがないから・・・、皆に気持ち良く登山がしてもらいたいと思ってねぇ・・・」という。
 ご立派な旦那さんだ。なかなかマネが出来るものではない。頭が下がる思いだった。

 桃太郎岩のベンチで小休止。

 このベンチから2、30mほどで涸れ沢へ出た。いよいよここから登り返し。ギアチェンジをするが足はヨタヨタだ。

 その急登も10分ほどで終わり、なだらかな道を下って行く。
 富士見平小屋の屋根が見えると、ハルゼミの鳴き声が煩いほどだった。小屋の前には4、5張のテントがあった。ここでテントを張って瑞牆山と金峰山をピストンするのも良さそうだ。

 小屋から瑞牆山荘へ向かって下って行くと、5分ほどでみずがき山自然公園との分岐があった。地図では林道へ出るはずだが・・・、と思って右手を見ると車が1台止まっていた。なるほどここからが林道の始りだった。

 その林道を2、3分も下ると、「瑞牆山荘、みずがき林道」の標識があった。ここから「みずがき林道」へ向かって山道へ入って行く。

 この辺はシャクナゲの木は多いが、花は全くなかった。もう散ってしまったのだろうか。

 雑木林の木漏れ日の中を下って行く。道は良く整備されて歩きやすい。それに熊が出て来そうな感じはしない。

 次の分岐に、「芝生広場、みずがき林道」の標識があった。サテ、どっちだろう。ここは芝生広場方面へ右折して行く。

 さらに5、6分ほど下った所にも同じ標識があった。ここも芝生広場を目指して右折する。すぐに小さな沢に丸太の橋があった。これが天鳥川だろうから正しかったようだ。

 すぐに今朝車を止めた駐車場が見えた。

 帰りに、みずがき山自然公園まで行って、瑞牆山の写真を撮った。駐車場には車が20台ぐらいあり、マイクロバスまであった。

 今年のシャクナゲは、あまりにも開花が早過ぎた。一週間早めて行ったが、それでもぎりぎりセーフだった。
 それにしても瑞牆山のシャクナゲの群落は凄かった。不動滝コース、富士見平小屋コースとも群落だったが、不動滝コースの方が多かったような気がする。
 私は瑞牆山荘からピストンせずに不動滝から周遊して大正解だった、と思った。

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